第一章:「不思議な生き物」
少年は忌々しげにキノコの残骸を投げ捨て、歩みを再開した。だが、周囲の世界が変貌し始める。もはや苦みだけが問題ではなかった。まぶたに鉛のような重みがのしかかり、増していく眩暈が地平線を歪ませていく。一歩一歩がふらつき、裸足の下の地面がまるで水に変わってしまったかのようだった。
キノコの毒が、回り始めていた。
視界は霞み、平衡感覚が完全に失われる。木の根に足を取られ、少年は地面に激しく倒れ込んだ。立ち上がることもできず横たわっていると、口の端から唾液と白い泡が混じり合って溢れ出した。それは先ほど口にした毒性の証だった。死の冷たさが、その小さな体を侵食し始めているようだった。
しかし、目の前の草むらの間で、何かが動いた。
それは小さな球体の塊だった。ゼリーのような質感で、透き通った青い色をしており、日の光を浴びてキラキラと輝いている。少年は最後の一振りの意志を振り絞り、救いを求めるように震える手を伸ばして、その生き物を捕まえた。
それは少年の手のひらにすっぽりと収まるほど小さかった。触れると驚くほど冷たく、まるで凍えることのない氷のように、彼の苦痛を和らげてくれた。少年が霞む視界を凝らすと、その生き物には二つの黒い点があった。それはまるで小さなスイカの種のように見え、無垢な好奇心で彼をじっと見つめていた。
喉を焼くような苦みと毒の炎を消し去りたい一心で、少年は二度と考えなかった。彼は瞳を閉じ、その小さな生き物を口の中へと放り込んだ。




