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第一章:「好奇心と空腹」

困惑がそのエメラルドの瞳を曇らせた。それが何かも分からぬまま、少年は手を鼻先に近づける。その液体からは、金属質の奇妙な臭いが漂っていた。本能はそれを知っているはずなのに、記憶が正体を掴ませてくれない。


動物のような剥き出しの好奇心に突き動かされ、彼は指を口に含み、その味を確かめようとした。だが、舌に触れた瞬間に強い不快感が走り、すぐさま吐き出した。味気なく、鉄の味が混じったその液体は、ひどく忌まわしいものだった。


少年は再び、汚れた己の手を見つめた。涙は流さなかった。ただ、自らの血の跡をじっと見つめ、静寂に包まれる。その沈黙は、彼が完全に独りであることを残酷に突きつけていた。


やがて、空腹が訪れた。口に含んだ深紅の液体の刺激が、眠っていた感覚を呼び覚ましたのかもしれない。それは経験したことのない、不快な感覚だった。腹の底が奇妙なほど強く鳴り響く。まるで腹の中に小さな生き物が潜んでいて、注意を引こうと暴れているかのようだった。


少年は重い体を引きずるようにして、立ち上がった。小さく裸の足が、土の粗さと湿った草の冷たさを直に感じる。あてもなく歩き始めたその瞳は、ただ周囲を鋭く観察していた。内側に広がる空虚を満たしてくれる何かを求めて。

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