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145話

 


「ジャンバラヤジャンバラヤジャンバラバンバンバン、バンバンバン………」


 腕にはめていたドクロの数珠を手に掛けてシロロが不気味な呪文を唱えながら祈っている。


「ちょっとシロロ、大丈夫なの?」


「ジャンバラヤジャンバラヤジャンバラバンバンバン………」


 返事がない。


「なんかダメそうだ」


「ダメそうって、どうするのモルン」


「どうするって言われてもどうもできないよ」


 僕の後ろに隠れてしまったウミカに言う。心なしか空が曇ってきているような気がする。大粒の雨が急に降りそうな黒い雲だ。


「ジンジンジンジンジン出てこい、私の望みを叶えたまえ!キエーーーーーーーー!!」


 雷鳴。


「きゃあ!」


 僕の背中に妹がベッタリと張り付いた。ウミカは昔から雷が大嫌いだったから仕方がない。


「偶然、だよね?」


 僕の問いに答える人はいない。


「えええぇ!?嘘でしょ………」


 シロロがこすり合わせる手から、いや、ドクロの数珠から黒い煙が立ち上がっていく。


「ちょっとシロロ!危ないよ!」


「ウンバラバラバラウンバラバラバラ………………」


 ダメだ全然届いていない。


「キエーーーーーーーーーーー!」


「やめてよシロロ、その「キエーーー」っていうのが怖いんだよ。というかいいかい祈るのを止めよう、なんかすごく怖いんだよシロロ!」


 雷光。


「うわぁ!?」


 僕はとっさに目をつぶった。背中にはウミカの体温を感じる。暗闇の中に一心不乱に祈り続けるシロロの姿が浮かぶ。あたりの空気は少し甘くてスパイシーな香辛料みたいな香りがする。


 あきらかに何か良くないことが起きている気がする。けどどうする?力づくで止める?けど今のところあやしいっていうことだけで何かされたわけでもないのに?どうしよう、いったいどうしたらいいんだろう?シロロはいったい何をしているんだろう。


「ほーほっほっほー愉快愉快、なにかお呼びですかなお嬢様」


 その声に目を開けると、青色の皮膚をして黒い髭を生やした人間ではない何かがそこにいた。


「おっすー。何ポイント残ってるっけ?」


「今のポイントは53万6千ポイントですな」


「ドラゴンクルーンってひとついくらだっけ前に聞いたけど忘れちゃったよ。あっ、ちゃんと壊れないでこの世界に完全対応してるやつだよ」


「もちろんです。私ははいい加減なものをお渡ししたりはしません。お客様第一主義、それが私ですからね。そうですな100ポイントでいいでしょう」


「あれ?そんなもんだっけ、もっともっと高かった気がしたんだけど」


「今回は特別価格です、お嬢様のこれからの活躍に期待を込めた価格ですよ。ただし100ポイントなのはひとつだけで次からは1台につき1万ポイントですよ」


「ラッキー!それじゃあひとつちょうだい」


「ほーほっほっほー愉快愉快、お買い上げありがとうございます。See you next time!」


「ジンばっばーい!」


 青い皮膚のなにかが煙の塊を残して消えた。


「モルン、さっきの何?」


「わかんないよ」


 分かるはずがない。


「でもなんかシロロと仲良さそうに話してたから大丈夫じゃない?もういなくなっちゃったし」


「あっ!」


 ウミカが空を指さす。


「雨雲が消えてる」


「あの変なのがいなくなったからなの?」


「多分そうじゃない?わかんないけど」


 僕たちが話している間にわからない何かが残していった煙が消えて、その場所に色とりどりの光を放つ長方形の何かがあった。


「おまたせー!」


 振り返ったシロロが笑顔で手を振ってくれたけど何が起きたのかさっぱり意味が分からなかった。



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