144話 -シロロ-
「あのぅ………君はいったいどこから来たの?」
僕は聞いた。周囲は子供たちがにぎやかにスープを食べている音がしている。
「私?シロロって呼んで」
「えーとそれじゃあシロロはどこから来たの?」
「うーん、まあそれは言えないかな。けどこの街じゃないよ」
「言えない理由があるの?」
「まあちょっとね」
「なるほどー」
全然分からない。子供をさらっていた犯人を倒した僕たちは藁が山と積まれた荷馬車の中から7人の子供たちを発見した。その中には少し前のこの建物に来た3人の子供たちもいた。
僕たちは後から来たイゴセさんと一緒に近くにいた兵士の人に事情を説明して、ほかでも騒ぎになっていたさらわれた子供たちを親御さんのもとへと返した。幸いなことに子供たちは傷ひとつなくただ眠っているみたいに目を擦りながら起きてそれぞれの家庭に戻っていった。
孤児院の子供たちもいったんみんなの元に戻った後で予定していた通りにこの場所に来て試作のスープの味見をしてもらっている。少し心配だったけど子供たちの食べっぷりを見る限りは大丈夫そうだ。
けどひとつ問題。
藁の山の中にひとりだけさらわれてない子がいたんだ。真っ白い髪の毛の、といっても白髪とは全然違ってひかり輝くような色をした髪の毛の背の高い女の子。
「なんで藁の中にいたの?」
「え?なんか温かそうだったから。子供の匂いもしたから一緒に入りたくなった」
「それじゃあシロロはあの男にさらわれたわけじゃないの?」
「あ、そういうこと?そういうんじゃないよ、私は自分からあの中に入ったんだよ、眠たかったからさ。それより私も食べていい?お腹すいちゃったよ」
「うん、いいけど」
「よっしゃー、それじゃあ肉だけ食べよう」
「それはちょっと………ちゃんと野菜も食べようよ」
「えーあたしは肉が好きなんだけど」
「好き嫌いはよくないです、野菜をたくさん食べたほうが体にいいんですよ」
そういってウミカは器に野菜をたっぷりすくって笑顔でシロロに手渡した。
「うあーなんかこの子めっちゃ怖い目してるね」
あ、サブレさんと同じこと言ってる。
「っていうか面白んだけど、全然肉が入ってないんだけど」
シロロは大きく笑いながら言った。
「お肉は子供たちも大好きだからもうあんまり残ってないんだよ」
「うーん、たしかにあんまり残ってないなぁ、これは最初に確保しとかないと駄目だったか」
鍋の中をのぞき込みながら言う。
「うん、シンプルだけどイケるね」
「よかった。こんな大きな鍋で作るのは初めてだったからうまくできてるか不安だったんだ。この分だと大丈夫そうだ」
「へーそうなんだ、全然大丈夫だと思うよ」
「シロロは空に帰るの?」
「ちょっと待ってよなんで帰らないといけないの、まだ来たばっかりでなにもしてないよ」
「何かやりたいことがあって来たんだ?」
「もちろんだよ、ギャンブルって絶対楽しいんだから」
「ギャンブル?」
「ここって丁度いい場所なんだよね、広いし人間は多いし」
「え?」
「ちょっとここの場所貸してよ外でいいからさ。人間たちにギャンブルの楽しさを教えてあげたいんだよね。何を隠そうあたしはそのために来たんだ」
エッヘン見たいな感じに胸を反っているけど、どういう感情でそんなことをやっているのか理解できない。
「ごめんシロロ、何を言っているのかよく分からないんだけど」
「もしかして余ってる場所がないとか?」
「そういうわけじゃないんだけど」
土地は十分な広さがあるので使っていない場所も多い。というか基本的には建物の中しか使ってない。
「だったら見せてあげるよ、口で説明するより見るほうが早いと思うからさ。ちょっと一緒に来てよ」
僕とウミカは促されるままに建物の外へと向かった。子供たちはそんな僕たちには一切構わずにスープを食べ続けていた。




