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131話 -レノア先生の感想-

 


「さっそく暴れてくれたな」


 僕は担任のレノア先生に呼び出された。


「すいませんでした」


「ずいぶんとあっさり謝るんだな。もう少し言い訳とかが聞けるものだと思っていたぞ」


 牙のような八重歯が見える。


「言い訳と言われても………僕としては望んでいたことではなかったのですが、あの状況ではああするしかなかったと思っています」


「ヒサシ、ホツダ、ノリオ、テツオ、タツは全員足を引きずって真面に歩くことすらできなくなっていた。心が痛んだりとかは無いのか?」


 そんな名前だったんだ、知らなかった。


「全くありません」


 正直に言った。


「あの時向こうは5人でしたし、大した理由もないのに僕に対して暴力をふるおうとしてきました。もし何もしなければそうなっていたのは僕だったはずです。僕は学校に勉強をしに来たんです、あいつらに殴られたり蹴られたりするためじゃありません。自分の身を守るために仕方がなかったのだと思っています」


 自分の声が思った以上に大きくなっていることに少し驚いた。


「さすがだな」


 レノア先生がニヤリとした。


「さすがはシャイタン・サブレの愛弟子だ」


 え!?


「先生はサブレさんのことを知っているんですか?」


「なにいってるんだモルン」


「なにがですか?」


「学校に入るときに提出した書類の身元保証人がシャイタン・サブレだったじゃないか。学校としては当然身元保証人がどんな人物くらいは調べるだろう」


「な、なるほど」


 恥ずかしさで体が熱い。そういえばそうだった、すっかり忘れていた。


「まあ別に調べなくても噂くらいは誰でも知っているさ。王立魔法アカデミーに稀代の天才が現れたってのは、当時飲み屋でよく話題に上がっていたよ。それだけじゃなくてつい最近も特級騎士リシュリーと闘技場でやり合ったじゃないか、あの試合はあたしも見に行ったんだけど興奮したよ。才能のある奴同士がバチバチにぶつかり合ういい試合だった。天才って言われてんのも納得だね、普通魔術師は近距離戦が苦手って相場が決まってるのにそれを覆す戦い方だったよ、あれは」


 やっぱりサブレさんは有名だったんだな。なんだか少しうれしい。


「シャイタン・サブレも入学早々にやらかしているそうじゃないか。まさにモルン、あんたと全く同じ状況だ」


「そう言われてみればそうです」


 なんだか少し怖いくらいだ。よくあること、なのかなぁ?いやいやそんなことあるわけないよね。僕は編入だからともかくとして、サブレさんの時は新入生が沢山いるわけだから、その中で目を付けられる人というのはかなり珍しいはずなんだ。


「あのぅ………」


「なんだ?」


「退学とかじゃないですよね。あの、僕としては本当に自分の身の安全のためにやったわけでなにか恨みがあったりとかそういうのは一切なかったんです。僕はただ普通に勉強がしたいだけで、あの、退学とかは本当に困るんです」


 せっかくサブレさんが入れてくれた学校を一日目で退学するわけにはいかない。


「なかにはそういうことをいう先生もいたよ」


 えぇ………。


「けどまぁ今回は大丈夫だな」


「本当ですか、ありがとうございます」


「本当のことを言うとだな………よくやった、と言いたい気持ちもある」


「え?」


「まぁなんだ、あいつらは普段から態度が悪くてないっちょどっかでとんでもなく酷い目にでもあってくれないかな、とは思っていたんだよ日ごろからな。だからまぁスカッとはした。一応は教師という立場だからぶん殴るわけにもいかないから我慢していたんだ」


 楽しそうに喋っている。


「こっちがちょっと言葉に詰まっただけでやいのやいのうるさいったらなかったんだ。まだ慣れてないんだからしょうがないだろっての、そんなに学校が嫌なら来るなってんだよ、ろくに授業なんか聞いてないくせになんでわざわざ来るのか本当にわからなかったんだよ。だからここ最近で一番うれしかったね、あいつらがのたうち回ってる様は。対した実力もないくせに口だけは達者な奴らがちょっと蹴られただけで脂汗垂らしながら涙まで流していたのは本当に傑作だった。もっともっとやれって思ってたよあの時はさ、酒でもかっ食らいながらもっといい席で見てたかったよ。あたしだったらもっとガッチリやってたよ、ああいう奴らはちょっとくらい痛い目にあったって覚えられないんだ、猿よりも頭が悪いからね。だからアンタの師匠のシャイタン・サブレ位はやってくれないと、それくらいじゃないとああいう奴らは懲りたりしないし、なんだったら仕返ししようなんてことを考えたりするんだ。本当に馬鹿だよね、大体わかりそうなもんだけどね見れば自分が勝てそうかどうかなんてさ。これはよそでは言うなよ、今の言葉は先生としてじゃなくて個人としての気持ちを言っただけなんだからな」


 すごい量の言葉を一気に吐き出した。どうやらレノア先生はあいつらに対して相当なストレスを感じていたらしい。


 とりあえず退学にはならないことがわかった。心配でずっと気になっていたからほっとした。後悔は全くしていないし、悪いのは向こうだとは思っているけど、学校がどういう判断をするのかが心配だった。


 そして今の先生が話している時に気になったことがある。



「もしかして先生、あの時近くに居ましたか?」




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