バイオレット・オブ・フィアー
たぶん好みはひとによる。
私はダメでした。
……韓国人、マ?
SNSで見かけた、信じられない文面。
ブルーベリーを米と一緒に炊く??
でも調べてみたら、日本ブルーベリー協会の事務局で話題沸騰!とか出てきた。
色んな意味でなんやそれ。
どこからツッコミ入れたらいいかわからないよママン。
でも一番信じられないのは、それ知ってまず最初に「そういえば冷凍庫にブルーベリーあるな」って、間髪入れずに試そうとした自分だよ!
少しはためらいなさいよ!
別に韓国の皆さま方や日本ブルーベリー協会を疑うわけではないが、念のため即日レッツトライは止めておく。
だって炊飯器空いてないし。
というわけで、数日後の公休前夜。
炊飯器は、空。
冷凍庫に入っていたおやつ用のブルーベリーの量も十分。
ただし違和感はある。
ごはんを炊くのに、手にはブルーベリー(の入ったジッパーバック)
「あー、でも日本でもみかんごはん?とかもあるっつーし……ありなのか?」
あとレモン鍋とか。
とりあえず一合だけ試しに炊いてみることにする。
失敗しても勢いだけでかっこめる量。
余ったブルーベリーは食べちゃえ。果実酒にするには足りないし。
「見た目がただの黒っぽい粒だから、意外と違和感ないな……いや、あるわ」
黒い粒はともかく、じわりと果汁がとぎ汁に混じって紫がかっていく様子は、だいぶ異様な光景だ。
青は減退色だというが、紫もたいがいである。
少なくともフレンチのフルコースにこの色のランチョンマットを敷かれたら、ちょっと食べるのをためらうかもしれない。
いや、私なら気にせず食べるか。
せめて色が違えば、と思いながら「フルーツ ごはん」で検索してみる。
……すげぇ、意外とある。
タイにはマンゴーともち米で食べるデザートとかあるらしい。
あとパイナップルにカレーチャーハン詰めるとか。
あ、日本でも似たようなものはあるか。
要するに前者はいちご大福とかフルーツ大福みたいなもの、後者はカレーにりんごとはちみつ入れるのと大して変わらない。
なんなら、似たような組み合わせが即座に出てくる日本食もなかなか怖いな。
食に関しては貪欲だからな日本人。
ふぐの卵巣しかり、こんにゃくしかり。
そんな風にいろいろと検索して遊んでいるうちに、ピーという甲高い音と共に炊飯器が鳴いた。
「えっ?もう炊けた?」
変な匂いとか、甘い匂いとか全然しなかった。
もしかして思ってるより普通なのかも……?
おそるおそる開けた炊飯器の中身を見て、私は思わずピィ、と悲鳴を上げた。
鮮やかな紫色のダークマター(※推定)がそこにあった。
それはもう、びっくりするほど濃い紫。
ぽつぽつと存在を主張する黒い粒(※果実)も相まって、なんかもう食べ物かどうかもあやしい。
いや、たべものなんだけど。
「匂いは……特にしないな」
うわ、白いしゃもじが紫に染まってる。
なにこれ怖い。
とはいえ、炊いたからには食べねばなるまい。
とりあえず少量。
普段は使わないお茶碗に、少量だけ盛り付ける。
あまりの色のインパクトに、愛用のどんぶりは怖くて使えない。
「いただきます……」
一瞬だけ、ふわっとお酢のような匂いがした気がする。
気のせいかも知れないが。
「うぅ……なんか、へんな感じ」
ときどきぬるっとしたブルーベリーの果肉の食感と、ときどきぷちっと種のような感触がする。
ちょっと酸味があるかな?というぐらいで、味は思ったよりふつう。
見た目ほど嫌な感じはしないが……
「白飯が恋しい……」
確かに私は、白米に胡麻ドレッシングかけて食べたりするような悪食だけども。
そして、このままでも食べられなくはないけども。
「アントシアニンだと思えばなんとか……」
塩をかけつつ、お茶で流し込むようにその紫の物体を消化しながら、私は誓う。
「これ食べたら視力がめっちゃあがるとかでない限り、もう二度と作らない……」
もし今度誰かに「苦手な食べ物」を聞かれたら、即座に「ブルーベリーごはん」と答えよう。
たぶん、二度聞きされるけど。
ちなみに私の苦手な食べ物は「わさび」「かいわれ」「鷹の爪」です。
何故なら齧ったときにびっくりするから(なので少量なら食べれなくはない)
ちなみに食べ物ではないですが、ホラー映画とかお化け屋敷も苦手です。
何故ならびっくりするから。(こっちは少量でも無理)
たいがいの人には「ホラーが苦手なのと好き嫌いを同列に扱うな」と言われます。
だってびっくりするのヤなんだもん。
次回更新は7/25です。




