魔界エンタメバラエティーショー②
熱気漂うパープル色のスポットライトを浴びながら露出の高いナース服に着替えた私は、地獄の亡者共の雄叫びにも慣れてきた頃、司会進行役を務めているガイコツによってゲームが進められていく。
『では。今回のゲームのルールを説明致します』
『皆様には魂の回収人となっていただき、これから我々の選択した世界へ行ってもらいそこにいる人間の黄金の魂を回収してもらいます』
『手段は問いません。グチャグチャでもギッタギタでも魂を絞り出すことが出来ればゲームセット』
魔界のヘルピープルは物騒なことが大好き。そういうシーンが寧ろ大好物。
「殺せ」「殺せ」という野蛮な慟哭が辺りを支配する。
『回収していただくのはこちらの方の魂』
すると、モニターからいきなりアヘった顔でダブルピースしている男性の雄々しい姿が映し出されてしまい、一瞬私は目が焼き切れそうになった。
『あっ! ちょっと待ってください、チャンネル変えないで! 』
モニターの横についている『40』と書いてあった謎の数字が急激なスピードで減速し始め『12』まで落ちていった。どうやらアレが視聴率らしい。
不意打ちみたいな放送事故で必死に減った視聴率を取り戻そうとアレコレ頭を下げるガイコツが少しだけ可哀想に見えて来てしまった。
『ぎょはははははははっ!』
確かに、変な笑いをしながら全裸で女を侍らせている男を見たら誰だって目を背けたくなる。
元海賊さんたちですら、直視するのを躊躇うほどだった。
「あれは流石に引く……」
「大変お見苦しいものを見せてしまいました。申し訳ありません」
『えー……話を戻しますと、彼は無限のエネルギーを産みだす黄金の魂を持った人間です』
『何を隠そう彼も前回優勝者であり超弩級のウルトラニート出会った彼の願いは『死んでも働きたくない』とのことだったので』
「働かなくてもいい世界をプレゼント致しました」
その結果、働かずに女を侍らせてアヘ顔三昧ということのようだ。
『この番組で優勝出来るくらいの心意気を現実で発揮してたらそこそこ大成したでしょうに』
ミコトの物悲しそうな声には心底同情する。
『俺はまだ本気出していなかった。本気出した結果がコレさ!』
「と言うか、前に優勝した人をなんでまた殺すことになるの?」
『あの優勝者の願いはあまりにも世界に影響を与え過ぎるものだから、優勝者の望む世界をそっくりそのまま作ってプレゼントされたのよ』
『けど、あまりにも願いが強すぎるとそれはそれで逆にエネルギーの奔流に異常が生じるから、手頃なタイミングで始末してバランスを調整する』
『それが悪魔のサイクル。過剰な電力を放出する電池を切って、また新しい物に取り替えてるようなもの』
やけにミコトは呆気ない態度で説明する。
『悪魔の都合で人間をエネルギー利用する。人間が他の生き物をエネルギー利用する為に犠牲にするのと変わらないでしょ?』
「それは……その」
私は、自分で参加を決めておいて優柔不断に思われるかもしれないけれど『本当に優勝するべきなのか』と言う不安な気持ちになってきた。
他の三人はそれぞれ、程度の差はあれど私より荒事に積極的な姿勢を見せている。
なのに私だけ煮え切らない態度でいて、何だか申し訳つかないでいた。
『いい忘れてた訳じゃないけど、番組終了時にソウルが0になると地獄に落ちてあの観客の仲間入りになるわよ』
「えええっ!?」
この周りにいる生気のない顔した亡者たち。よく見れば、服は所々に破けたり風化したりしているが人間だったと思わせる証拠が幾つも存在しており、私は自分の判断の甘さを嘆いた。
とはいえ、あまり悲愴感とか感じないくらい熱気と死んでると思えないレベルのバイタリティーに満ちてるのがせめてもの救いか。
『どの道、終わるまでは返してくれないから。せめて変な行動してあいつらの顰蹙買ってソウルが尽きることだけはないよう振る舞ってなさい、いざとなったら脱いで媚びなさい』
「むぅ……またそういうこと言う。脱がないからね」
「別に殺した人が優勝じゃないんでしょ。だったら、上手いこと立ち回れば」
『自分以外の人が殺すのは容認するの?』
「それは……」
『自分の手を汚さずに自分の願いだけ叶えようって虫が良すぎない?』
「もう、うるさいっ! 少し黙ってて」
ミコトは私の心の部屋の奥へと引っ込んでしまう。見えるわけじゃないけれど、なんとなく心の距離が遠くなっていくのが感じられる。
彼女が悪い訳じゃないのに、ついカッとなっている自分を恥じた。
『そして皆様には当ヘルテレビのスポンサー様から一つずつ商品が配られます』
『それを番組内で有効にアピールできると、ヘルスポンサー様から特別ソウルも与えられます』
ようは番組内で今週発売の変身ベルトやなんかを有効的にアピールして、魅せればいい訳だ。
ヌルっと私たちの足元から箱が生えてきて、それぞれ見えないように開封される。
「……なにこれ」
私に与えられたのは靴、いやスパイクだった。明らかにスポーツ用と言うか、相手を蹴り飛ばす用。
『審判の目を盗んで相手を出し抜き再起不能に追い込め! ヘルスパイク!』
と派手な色文字で書かれており、これをどうアピールすればいいのか。私はこれを使うことにならないよう私はそっと蓋をする。
『持ち歩く必要はありません、貴方が『使う』と強く念じれば番組中にどこでもいつでよ生えてきますのでご心配なく』
散々既存の物理学を超えた現象をいくつも見てきたら、もうそのくらいじゃ動じなくなってきた。
この悪魔がゲームと評する番組は、私の憤りや迷いなんかと関係なく進められていく。
「では。まず、あの世界に行くための門を通っていただきます」
ガイコツの呼び掛けによって、白い靄のかかった鏡台の前が降ってきた。
目の前にすると、とにかくでかい。
それ以外に感想の出てこないスケールに圧倒される。
『門の先は何が待ち受けているかは我々にも分からないですが、どんな道を通っても結局辿り着けちゃうので我々が勝手に決めてしまいます』
そんないい加減な段取りで進められていくが、私たちがあーだこーだとか言う前に門の方から有無を言わさず食いつきにかかってきたので否応がなしにゲームに参加することになってしまう。
『さぁ、最初の目的地はルーレットオン』
ガイコツの回すルーレットがあっという間に私たちの目的地を決める。
いきなり私達の視界が開けていったかと思えば、妙なところへと飛ばされて行った。
「うわ、寒っ!」
一面が白い雪に包まれた、芝も土も何もかも凍りついた氷の園だ。
「身体が痛い……寒い」
降りしきるブリザード。
大凡、日本に生きてて体感することはまずないだろう極寒の猛吹雪。
それも露出の高いナース服なんか着ている私はあっという間に体温を奪われ、手足の感覚がなくなっていく。
『どうやら気温は-460度のようですが、回収人の皆様はヘルスタイリストさんにコーディネートされた衣服を着てる限りは、凍死することはありませんのでご安心ください』
「一つも安心できる要素……」
駄目だ、突っ込むのも疲れる。
この極限化で死ねないというのは拷問でないかという寒さの中、私の他の三人も同様に凍えていた。
「あんたら、ここに何し来たの?」
紫色の皮膚に、二足歩行で立ち爬虫類の鱗が全身至るところに点在する伝説上の生き物、リザードマンが私達の目の前に現れた。
「え? いや、その……なんていうか、そのテレビです」
「なら、これでも食え。魔界の栄養素をいっぱい吸って育ったヘルトマトだ」
ここは農場だったようだ。
雪の中に手を突っ込むと、カチンコチンの氷の塊と化している赤黒い何かを手渡された。
「凍ってるし……」
「凍ってても美味いヘルトマト。栄養素も豊富でどんな料理にも合う! ヘルトマト!」
『おやおや農夫さんってば商売上手、参加者でしたらソウル入ってましたねぇ』
「こんなところでソウルも何もあったもんじゃねぇよ……」
元海賊さんを始め、いくら変態でも凍えるものは凍えるようだ。
「と……とと、とりあえず火を起こそう」
「け、けけけけけど。マッチもライターも役にたたないじゃろ」
そんな時に名乗りを上げたのはカナミさんだった。
「い、いい良いものがあった。これは私配給された商品なんだけど」
雪を突き破って生えてくるは『火炎放射器』と瓶にデカデカ書かれた火炎放射器、これ以上ないくらいに火炎放射器だ。
「おぶ……汚物も消毒。発射すればたちまちのうちにマグマが噴射されすべてを焼き尽くしますっ!」
「さぁ、貴方もヘル火炎放射器を買おう! 寒い寒い寒い」
凍えながら早口で捲し立てては火炎放射器の安全ピンを引き抜きハンドルに手をかけた。
マーケティング下手か。
「つぅか、そんなの使って大丈夫かよ!」
「背に腹は替えられまいっ!」
トリガーを引いて炎を噴射しようとしたその時だ。
「……あ、ちょっと待っ」
フライパンに水滴が飛んで跳ねる音を聞いたことないだろうか。
冷えた空気と熱がぶつかりあった時、何が起こるか。
「うわぁぁぁぁっ!」
私はいち早く逃げていたお陰で巻き起こる大爆発に対し、爆風をまともに正面から受けることだけは避けられた。
「帽子がなければ死んでた……」
「鎧がなければ死んでおった……」
横の二人も、辛うじて命を拾ったようだけれど爆発の起こった中心地。そこではマグマの吹き溜まりとなった箇所が出来ており、カナミさんの物とも思われる腕がサムズアップの形で沈んでいる。
「そんな、カナミさん!」
こんな、あまりにも呆気なさすぎる。
さっきまで話していた人が、腕一本になってしまうだなんて……。
「なんか来たぞ!?」
武将さんの指す先、天使のお迎えでなくヘリに乗って白衣を着たガイコツのお迎え。
タモで残っていた腕をすくい上げるとそのままどこかへ去っていってしまう。
『おやおや、最初の死亡はカナミさんでしたか』
『貴重なお色気担当の喪失に、ヘルピープルたちも嘆き悲しんでおります』
『でも大丈夫。魔界病院では、無免許無保険無担保の優秀な医師たちによる治療が受けられます!』
マグマの中からモニターが生えてきた。
そこは断崖絶壁に雷の降りしきる明らか危険な位置に立った真っ赤な壁の病院。
カナミさんの腕を持ったさっきのナースが手術室へ登場。
「先生、急患です」
ポンッと態度の悪い宅配感覚で血塗れの手術台の上へ腕を投げ置く。
先生と呼ばれるは真っ赤すぎてもはやそれが元の色だったのかと思われてくるガイコツ顔のナースが待ち構える。
「任せなさい。メス」
「はい」
と言ったノリでメスを渡されると、腕に切り込みを入れていく。
すると不思議なことが起こり、開かれた腕の中からなんの問題もなくカナミさんが出てくるのであった。
「腕から生まれた腕花子っ!」
そのまま診察台ごと床へ沈んでいくと、自動でこちらへ戻ってきた。
「たっだいまぁ」
「いやぁ。足残しとけば良かったわ、そしたら腿から生まれた腿花子……ってやれたのに。昨日映画見てたから、咄嗟にアレやっちゃって」
なんだかんだで順応していた他の二人も開いた口が塞がらないといった表情をしている。
『このように例え死亡しても何度でもリベンジが出来ますが。ただし、治療費はソウルで支払っていただきます』
「あら、でも50か」
『何度死んでもゲーム中は問題ありませんが、死ぬ度に治療費も高くなっていくことはお忘れなきよう』
何事もなかったように堂々と戻ってくるカナミさんに私は寒さなんてどうでも良くなってきた。
ここにいると、そろそろ倫理が壊れてしまいそうだ。
『おっと、次の門が開きましたね』
次の空間への門が出てきたかと思えば、独りでに開く。
また空間が自動的に景色を作り上げ、場面変わってどこかの学校の教室へ移る。
「ここって、学校……?」
窓は墨汁を浸したような真っ黒な闇の中で外は見えもしないのに、なぜか夕陽の明るい橙色で辺りが染まっているなど、不思議というか不気味な場所だった。
「カナミさん」
「私、高校で教師やってたことあるのよねぇ。懐かしいわ」
教卓に上がると手を乗せて昔を懐かしむ姿を見せるなど、こうしていれば本当に出来るキャリアウーマンみたいだ。
「へぇ。それはまた、科目はなんだったんですか?」
「数学よ」
「てっきり保健体育とか言い出すかと思いましたけど、結構学歴……はぅっ!?」
「さぁ、よく見て……ここがπで。ここが点A」
突然、このビッチは上着を脱ぎだしたかと思えば教卓の上に足を大っぴらに開きながら、それも下着は隠した状態で座る。
今度は自分の身体にマジックペンで図を描き出す。
「懲戒されろセクハラ教師」
「えぇ。学校に無断侵入して教師を名乗り、女の子28人に個人授業したら懲戒されちゃったわ」
「ツッコむ箇所を絞らせろ。それで良く教師やってたとか言えたわね!」
「校長先生と教頭先生、理事長もたっぷり喜ばせてあげたら、すんなりと務めさせてくれたわ」
「先生方は大混乱でしょうね」
「貴女にも身体で教えてあげる」
「いやぁぁぁぁっ!」
飛びかかってきたビッチの攻撃を避けきれず、私はまともに受けることになってしまい机を背に押し倒される形となった。
大きな胸で顔を圧迫され、まともに動くことも出来ずに私の目の前は小麦色の世界に染まっていく。
なんとか、二人に助けを求められないか横目で見たがそれも期待できそうもない。
「今の学校とは、わしの通った寺子屋とは大違いじゃの」
「お。黒板消し、これでよく先生をハメてやったな」
「ちゃっかり満喫してるよあの二人は!」
「ぐくぬぬぬぬ……貴女は貴女でドサクサ紛れに人の身体に数字とか描くな!」
油断していた私の腹部へマジックペンの当たる感触がした。咄嗟に手で押し返しはらいのけようとするも、意外に力強い。
「たっぷりと教えてあげるわ、さぁ。私に初めてを、委ねなさい! たっぷりと、処女の味を堪能してあげる!」
「いいぞ! もっと焦らせ!」
「おおおおおおっ!」
お色気シーン突入でヘルピープルたちは大盛況。私とビッチへソウルが投げ込まれていってるのになんか全然嬉しくない。
「む。こうしてる場合じゃない」
「俺達も授業をするぞ」
そしてこの二人は段々と意気投合し始めているような気もする。二つ返事で元海賊の方が出ていくと武将が窓際の主人公席について、足を投げ出し始めた。
「これより、授業を始める」
ガラッと教室の戸が開いたかと思えば、突然三文芝居が始まった。
「授業なんてかったるくてやってられっかよ!」
「んだその態度は! この腐ったみかんが!」
教卓をチョーク感覚でぶん投げて武将へ命中する。あんなでかい机をまともに受けたが滝を逆流させるまで山篭りしていたのは伊達でなく異様にタフだったので大丈夫そうだが。
「ってぇな! オラ、やんのかオラ!」
「あぁ。やったるわオラ!」
ツッパリが熱血教師と真正面から向き合う青春だなぁ。
「やんのかやんのかやんのか!」
「オラオラオラオラ!」
次の瞬間、クロスカウンター炸裂。
「いいぞ! ぶっとばせ!」
『おおっと。血の気の多い、エロよりも血を求める血気盛んなピープルさんからもソウルが投げられています。これは分かりませんね』
「邪魔すんな! カナミさんが見えねぇだろうが!」
「そっちこそ及びじゃねぇんじゃ!ビッチと地味娘じゃ勃たねぇんじゃ」
『おーっとこれは良くない。観客席で乱闘が巻き起こりました』
『もうなんか面倒なんでちゃっちゃと進んで下さい』
「えーっ。せっかくいいとこだったのに」
「っし! 最後はワシじゃ!」
出てきた門に武将さんが真っ先に飛び込んでいく。武将なのに一番槍取りに行く無双ゲーム気質で正直頼もしさすらあった。
続けてやってきたのはこれまた、どこかのバス停。
夕日の沈みかかった群青色の空に、鬱蒼とした森の中。人っ子一人としていない寂れたどこかの田舎駅か。
せいぜいボロボロに煤けたベンチと、バスの時刻表を貼る案内板くらい。
「これでアクションの起こしようもないんじゃない?」
そう私が腰に手を当てて周りを見渡していると須郷さんが声を張り上げた。
「見ろ、このバス停は時刻表がない!」
「ぬぅ。これじゃ次の時間がわからなくて困るじゃないか!」
「なんて地味な嫌がらせかしら」
ガラスも殆ど割れて防壁の役目も果たしておらず風化したか、風で飛んでいったのでないだろうかと私が勘ぐっていると
「いや。犯人が分かりました」
「お主なにかと必死じゃのう」
「いや、願いがかかっているから当然なのでしょうけど、脊髄反射で喋っているのでないかと言うくらい行動に余念がないわね」
「犯人は貴女だ! 魅上 天照!」
「は!?」
しらばっくれるも何もなく、ただ呆然としているとその根拠を問いただす間もなく元海賊は自分の戯言を続ける。
「なんかこう、テグスとかでいい感じにやったんだろ!」
「いい感じにってどんな感じよ!」
「ボディーチェーック」
いきなりカナミさんが後ろから抱きついてきた。
「しまった、あいつ。これが狙いかあああああっ!」
連続で何回もセクハラされては溜まったものじゃない。私は声を張り上げこれから脱がされていく恐怖に悲鳴を上げた。
「あれ? なんかソウル下がってね?」
と言う須郷さんの発言で上を見る。
なぜか私とカナミさんのソウルだけローペースで減少し始めている。
『おやおや、これはどうしたことでしょう。ヘルインタビュー入ります』
「いや、なんか。よく見たら興奮するほどでもないかなって……」
「地味な子もいいけど、やっぱりどうせならカナミさんのが見たいかな」
「もう飽きた、エロも過ぎれば熱さを忘れちまうよ」
私は生きてて例を見ないくらいに腸が煮えくり返ってきた。取り立てて目立つ人生を送ってきたつもりもなくどちらかと言えば地味の自覚もある。
だが、それをネタに一々突っかかられる謂れもない。あのスパイクであいつらを踏みつけられたらどれだけいいか。
「アマテちゃん、次に行くって次」
「そ。そうだ、あいつらの言う事なんて気にすることなんかない」
「お主、怒ると般若みたいな顔になるのぅ……」
三人に宥められながらシーンは進んでいく。門が開いたその先、さっきまでとは様子が異なる。
アナログの昔な使いブラウン管のテレビがうず高く積まれた森。
さっきのバス停の近くなんじゃないか、まだ群青色の空と鬱蒼とした雰囲気がそのままだ。
不法投棄、という感じはせず意図的にそうやって積まれているような積み方で、一種のオブジェクトのようにすら見えた。
『おおっと、どうやら到着したようですね。ここから先は戦闘になります、皆さん腕の見せ所ですよ!』
「え、いきなり!?」
ガサッと言う茂みの音がして、私は身構えた。熊か何かか、巨大な影に私たちがじっとその接近を待ち受けた先に見たもの。
四肢を隆々に鍛えられ、引き締まった筋肉。頭に浮かぶ天使の輪。そして背中から生える天使の翼。
「オレは護衛天使だ」
またなにやら変なのが出てきてしまった。




