今世の10歳の誕生日 (おまけ閑話)
午前中は兄様とお話をしながら過ごしたのであまり気にならなかったですが、昼からはお爺様の到着が気になって仕方ありません。ミアは大丈夫と言っていましたがやはり万が一の事が気になります。
誕生日の晩餐という事でリサは張り切ってあれこれ準備していますが私は上の空で聞いています。
「お嬢様、あまり嬉しそうではないですね」
「お爺様達が到着してないから、心配で‥」
「あー、殿下が来てないのでお寂しいのですね。間もなく来ますから心配しないで下さい」
「私はお爺様達って言ったわ。なんで、殿下の固有名詞が出てくるの?」
「心配しなくても大丈夫ですよ。きっと間もなく到着しますよ。大旦那様も殿下も」
何故か到着の予定の時間に近づくと胸がそわそわします。夕刻になっても到着の連絡がありません。心配でエントランスの方に行ってみるとお父様と兄様とアルバートが深刻な顔で話しています。
アルバートが私の存在に気づいたようです。
お父様が深刻な顔していたのが一瞬で笑顔になりました。
「ミュゼ、なんて今日は一段と美しい、天使が舞い降りたと思ったぞ。このドレスはミュゼの為にあるな。王都まで見に行った甲斐があった。」
「お父様、ありがとう。お爺様と殿下の到着はまだなの?」
「あー、‥‥。少し遅れてるだけだ。」
前世でも遅れてるっていっていたわ。動揺していたらアルバートが補足していいます。
「お嬢様、ご心配、なさらないで下さい。少しここに来るまでにトラブルがあったみたいみたいですがそれも解決したとの連絡がございました。」
「トラブルってなんですか?教えてアルバート。」
兄様は心配そうに私をなだめます。
「ミュゼどうしたの?いつものミュゼじゃないみたいだよ。心配なのはわかるけど‥‥。」
「兄様、なんだかやな予感がするんです。」
「でも、ミュゼ、本当に大丈夫なんだよ。」
と兄様になだめられながら部屋に戻るよう促された時に使者がアルバートへ耳打ちで何か報告していました。
「お嬢様、吉報ですよ大旦那様と王太子殿下が到着しましたよ。」
「本当に!!」
エントランスの扉が開くとお爺様と殿下が立っていますが二人ともボロボロ格好で服は血塗れです。
息が止まりました。最初に声を出したのはお父様です。
「父上、仮にも王太子殿下を連れ回して殿下までこき使いましたね。また、そんなに暴れて腰でも痛めたらどうするんですか?もう還暦なんですからね。分かってます?」
「何を言うか、ろくに挨拶もせんでちょっと数が多かったから手こずっただけだ。」
「数なせいにしないで下さいね。確実、年ですよ、分かってます?」
慌てて、母様が駆け込んで優雅にカーテシーでご挨拶二人の間に入ります。絶妙なタイミングです。
「いいなぁ、僕も一緒に大暴れしたかったよ。」
「なんだアレクは騎士団で大暴れしているかと思ってた。」
「殿下も退屈するかもしれないぐらいですよ。気も溜まらないし。」
「新しい、王宮に戻ったら部隊作るかな。」
「それ、いいかも。」
「では、私が鍛えに行こうか?」
お爺様がニッコリ笑って言います。笑顔が怖い。
「父上が鍛えに行ったら騎士団の半分が壊滅するので大人しくしてください。」
「お爺様、ご無事で何よりです。」
「すまなかった。少し手数ってな。心配かけたようだ。」
お爺様が私を抱き抱えようとすると
「ストーップ!父上と殿下は身綺麗にしてください。血生臭いですよ。」
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返り血を浴びた身体を洗い新しい服を着て部屋に戻るとアレクがソファに座っていた。
「殿下、やっぱり狙って来ましたね。やはり王宮からの輩でしたか?」
「ああ、オーランド殿が言った通りだったよ。ミュゼの誕生日にはブルーラー家の屋敷に戻ると予想したんだろう。ある意味、単純な奴らだ。」
「まぁ、相手が悪かったですね。お爺様と殿下ですもんね。あー僕も参戦したかった。」
「王宮の方はどうだ。何か変わった事はないか。セリーナの婚約公式な発表されてなくても母上の耳には入っているだろ?」
「それが不思議なくらい静かなんですよね。」
「何かまた、良からぬ事企んでいるんだろう。それに私が戻る事を聞いてさぞかし残念がっているんだろう今頃は‥‥」
「王宮ではミュゼの話が話題に上がってますよ。」
「やはり注目を浴びるだろうな。あの歳で王女の家庭教師だもんな。実際あの可愛らしい姿をみたら考えるだけ腹立ってきた。」
「ここに来る前に国王陛下に呼ばれて、殿下はいつになったら婚約発表できるか聞いてこいと王命で言い渡されたんだった。」
「父上が王命で?」
「そう、王命でいってきましたよ。しかも、『アレクとも本当の家族になれるのが楽しみだ勿論、協力するだろう?』って、圧かけてきよ。」
ユーフリードは耳まで真っ赤になっている。
「こ、婚約だなんて‥‥。」
「だろう?まだ早いと思うよ。僕も、正直さぁ、王太子妃なんて面倒なのミュゼには可哀想と思わない?なんでそこら辺の令嬢は成りたがるんだろうね。えっ、あれ?殿下どうしたの?落ち込んでる?」
「アレク、前に俺のミュゼに対する気持ちを伝えた事があるよな。知ってるよな。」
「まぁ、友人としては応援するけど兄としては大反対だよ。あー僕、複雑。早くミュゼと婚約したいなら王室内ゴタゴタ片付けないとね。僕は兄としては絶対に嫁にやりたくなくなっちゃうよ。」
「言われなくても、わかってるよ。」




