隣国王子の思惑(2)
「ミュゼット様、『大地の女神の呪い』の事、すべてを話せ。と、の事です。」
ランスは、お爺様のお言付けを告げました。
自分が何に対してショックを受けているのか分かりませんが胸が苦しいのは苦しいのは確かです。隣国に嫁ぐ事が嫌なのでしょうか?嫌な理由が無いはずなのに。
「分かりました。」
「それと、シャルダン王太子殿下がお呼びです。私とガゼルがお供、いたします。」
私達は、別棟に向かいました。途中の階段下で殿下が私を待ち伏せした様にいらっしゃいます。
「ハルト様、ご機嫌よう。」
「ミュゼ、今からシャルダン王子との謁見と聞いたが‥‥。」
「はい、その通りです。」
「顔色が悪いな大丈夫か?体調が悪いようなら王太子の名を使って今からの謁見を取り止めにするが‥‥。大体何でミュゼ一人で謁見なんだ。おかしいだろ?何を話す事があるんだ?」
「ハルト様、顔色は少し緊張しているだけです。謁見と言っても極々内輪だけのものですよ。」
「いや、気に入らない。昨日も謁見でおかしいだろ?あの王子に何言われた!」
ランスが見兼ねたようで間に入ります。
「ハルト様、ラウラ国のユーフリード王太子殿下は外遊中でございます。ユーフリード王太子殿下としての権限はここにはございません。ご心配なのは分かりますがこのランスがハルト様の代わりにミュゼット様をお護りしますのでここは私にお任せください。」
「くっ、」
「今は耐えください。」
「では、何もしない。ついて行くだけでも‥‥。」
「ハルト様、いけません。ここで大人しく待っててください。」
殿下は納得が行かない様子でしたが諦めた様子です。
殿下から離れたとこまで歩くとガゼルが苦笑いしながら言います。
「竜人の血が濃いのか執着心が半端ないですね。あれは謁見が終わるまで別棟の入り口に張り付きがそうですね。」
「まぁまぁ、必死なんでしょ。初めてお心を許した方の事出すから‥‥ふふ、可愛らしいじゃないですか。」
「ランス殿はショタコンなのですか?」
「まさか、歳を取るとどの子も子供の様に思えるのですよ。ガゼルも私にとったら子供みたいなものですよ。」
「私が子供って‥‥。そういうランス一体何歳なんですか?そういえば以前ランス殿の素性を探っても探れなかったです‥‥。このガゼルが探れなかった事はないと自負している私でさえ探れなかったのですよ。」
「今年で還暦を迎えます。人の素性を勝手に探るとは感心しませんよ。別に隠してはありませんよ。」
「その見た目で還暦?もう怪物ですね。」
「ガゼル、貴方には言われたくありません。」
ランスもガゼルどうやら気楽に話せるぐらいの仲ですね。なんだか少し嫌なモヤモヤ感が薄れた気がします。謁見室の扉の前に到着しました。部屋に入る前にランスはガゼル注意します。
「ガゼル、貴方は殺気を出し過ぎます。抑えてください。シャルダン王子はオーランド様が可愛がってらっしゃる方達の一人ですよ。」
「了承いたしましたが、あちらも兵を潜めておりまして。」
「だとしても貴方と私で充分、対応出来ます。」
私達は中に入りシャルダン王子に私はカーテシーで挨拶をし、二人は私の後ろで片膝を付き控えています。
「ミュゼット姫、呼び出してすまない。」
「いえ、シャルダン王太子殿下。」
「やっと、貴方を手に入れる事が出来ると思ったがどうやらオーランド殿の方が一枚上手だったよ。」
「それはどう言う事でしょう?」
「君を王妃として迎えれなくなったとだけ伝えておこう。時期に王都より何かしらの発表がある。公式発表前で漏らす事が出来ない。今回は勝てると思ったがやはりオーランド殿には勝てないな。」
サッパリと意味は、分かりませんがどうやら隣国へ行かなくてもいいとの事らしいです。なんだかホッとしてしまいました。
「事情は分かりませんが王太子殿下の交換条件は無効と言う事ですか?」
「そう言う事になるな。本当に残念だ。貴方なら王妃として上手くやっていけると思っていたんだけど、なんなら弟の第二王子の妃でもいいからファルダ国へ嫁いで来て欲しい。」
この王子は、本当に私の前世の記憶だけ欲しかったらしいです。あからさま過ぎますが嘘っぽい恋愛感情を持ち出されるよりは好感が持てます。
「では『大地の女神の呪い』の件は?」
「無論、話して貰う。オーランド殿と約束であるから。ウランダ国の事はすまぬが今は話せない。国王、抜きでは決められないのでな。国王に話すまでは内密したい。不安であろうが話してくれ。」
「お爺様からも話す様にと言われています。では、ファルダ国中東の山岳を中心に大きな嵐の為1109年の7月に大洪水が起こりました。ファルダの王都も大きな被害に遭われています。」
「まて、1109年とは2年も文献と違うな。」
「はい、ですのでファルダ国も文献が間違ってたと思い込んでしまったのです。」
「なるほど、ミュゼット姫、被害があった場所はわかるか?」
「はい、ファルダ国の地図があればご説明出来ます。」
シャルダン王子が側近に耳打ちし、すると軍事用の地図が机ごと運ばれてきました。
「では、ファルダ国の中東にあるナフカス山脈から流れているホルガ川がありますがここから氾濫が起きてしまいます。被害はファルダの第二の街、マサカから王都の東部迄、氾濫で被害が特に大きかったところです。」
「かなりの被害だな。」
「そうですね。ここからは私の意見ですがホルガの川の山脈下のこの辺りにダムの建設をされたら被害を抑える事出来るとおもいます。」
「ダムか?我が国は水が豊富で枯渇した事はない。貯水の為にダムがあるのではないのか?」
「確かに今は、そうですが時期に治水の為にダムを川の氾濫、洪水を防ぐ為の建設をする国が出てきます。目的貯水だけではないので建設も手の込んだものになるでしょうが…。これは私の意見ですので。」
「いや、中々の考えだ。ミュゼット姫、改めて貴方に感謝する。これで多くの人々が救える。しかし、本当に惜しい。ここにランスとそこの護衛がいなければ楽にさらえたが今回は諦めるとしよう。」




