祝福の時
何ヶ月か経つと冬が去り春が訪れる頃、暦は3月に入りました。そして本日、私はお誕生日迎えます。
17歳で処刑を言い渡されたので誕生日が死へのカウントダウンにも思えます。前世と今の違いを見つけては安堵してますが、処刑になる事の運命は変わらなかったらどうでしょう。
やはり、怖いです。
王太子が処刑を言い渡さなくても別の誰かが言い渡すかもしれない。ファルダ国へ逃げても一緒なのかもしれない。ファルダ国…。
そう言えば、シャルダン王子は前世の私の記憶を欲しがっていたけど、あれからなんの接触もないです。
諦めたのでしょうか‥。そんなに直ぐに諦める感じでもなかったように思えます。
「お嬢様!!さぁ、着替えて下さい。今日は忙しいですよ。お嬢様の誕生日ですよ。さぁ、さぁ、すぐに来客の方々来てしまいますよ。」
リサが眉を釣り上げて入ってきます。これではゆっくり考える時間もありませんね。
ドレッサーの前に座らされます。
「今日は、外からのお客様もいらっしゃるの?」
「そうですよ。公爵様の御令嬢のお誕生日なので、お母様のご親戚のノアル夫妻やラグラッタ辺境伯爵家の方々も見えるし商会の方々もお祝いに来られると聞きましたよ。」
「お爺様達は、兄様も」
「いらっしゃるに決まってるではないですか。それにユーフリード王太子殿下の事もお忘れなのでは?」
リサ、妙に嫌な笑み浮かべますね。
「リサの話ぶりだと皆さん来られるのですね。」
トントン
リサが扉を、開けると意外な方立っていました。
「ガ、ガゼルではないですか?」
一度きり会って以来の久々の登場です。
「はい、本日は人が沢山集まると聞きましてお近くでお護りしようと思いまして。」
リサがビックリしています。固まっています。
「ガゼル、今から着替えるのちょっとだけ出てくれる?」
「お嬢様!ちょっとでは用意はできません。2時間ぐらい外に出て下さい‼︎」
ガルセは、無表情に無言で出て行きました。
「何ですか!あの無礼ものは、淑女の部屋に挨拶もなく無言で入って無言で出ていくなんて!」
「リサは初めて会うのよね。私も会ったは2回目だけどね。ガゼルは私の護衛よ。」
「護衛って、騎士様ではなく?あんな普通の男がですか?屋敷の騎士様の方がずっと強そうなんですけど。旦那様が付けたのですか?」
「お爺様のご推薦よ。お父様も彼なら間違いないと言っていたわ。」
「信じられません。アルバートは知ってるいるのでしょうか?」
「多分、おそらく知っていると思うわ。お父様が知っているぐらいだから。リサ、準備はいいの?」
「あ、いけません。急がなければ、このリサがお嬢様を渾身をこめて仕上げさせていただきます。」
「程々にね。」
着々、お客様がホールへ到着されます。私はお父様、母様にくっ付いて挨拶にまわります。お祝いのお言葉を頂いて、挨拶をしてとお祝いお品は入り口で預からせて貰っているそうです。ガゼルは私の目線に入る範囲のところに常におります。
目立つ三人が立ってます。
「あ、お爺様!!兄様も、殿下も来て下さったのですね。」
「ミュゼ、お誕生日おめでとう。やはり女の子はいいな、こいつらの面倒ばかりだから華がなくて困る。私からプレゼントだ」
わぁ、なんだろう。ブルーの小箱を渡されました。
開けたら小さな小物入れが入ってますが小物入れにしては少し重いです。何やらネジみたいなのがよこに付いてます。少し悩んでると兄様が説明してくれました。
「ミュゼそのネジを回してごらん。」
少し固くて力が入りますが2〜3回回して手を離すと何と音楽流れます。これはメヌエットト長調ですね。
「まぁ、凄いです!ありがとう。お爺様」
「ミュゼが気に入ったか。それはオルゴールと言うものらしい。」
兄様からは、ドルガの町の職人の作ったペンと墨と墨入れシーリングスタンプ、ペーパーナイフまで入ってます。
「兄様、ありがとう。でも、兄様が戻られたらお手紙を書けませんね。」
「ミュゼ、私も殿下と一緒にお爺様の元にいる事となった。」
「そんな、それはとても寂しいわ。」
そして殿下の方を見ると困った顔している。
「すまない、こんなお祝いの日に言いたくはなかったが、ミュゼ、アレクを少し貸してくれないか?」
久々に見る殿下は雰囲気が変わった感じに見えました。少し、ガッチリとした逞しさが出てきて少し背が伸びたみたいです。
「兄様は私のものではない無いので兄様が思う通りに…。」
「ミュゼ、僕が思う通りにだったらミュゼの側にいるに決まってるじゃないかこれも、全部お爺様が勝手に決めたんだよ。」
「兄様、そんな事言って、満更でもないんでしょ。本気で嫌と言えばお爺様も無理矢理なんて事はしないわ。」
「ミュゼには敵わないな。」
みんなに祝福をされ6歳の誕生日なので早めにお開きとなり部屋に戻りました。お父様と母様からのプレゼントは茶色ポニーです。可愛い子でした。明日、早速、兄様に教えてもらわなければ、あ、殿下との約束もありました。殿下、乗馬を教えることが出来るのでしょうか?
「王太子殿下より、お嬢様の机の上に置いておくよう言われたものですから。」
机の上には、ピンクのリボンが掛けてある箱が置いてあります。中を開けてみると、沢山のカチューシャやリボンが入っていました。しかも、どれも上質です。
「こんなに沢山。」
「これは、僕の送ったもの以外は髪に飾らないでって言っているみたいですね。きっと毎年、贈られますよ。」
リサがまた、悪い笑顔で言います。
私は幸せな気持ちで眠ることが出来ました。
私の幸せの時間は、護られた時間だった事も知りませんでした。




