閑話〜ユーフリード視点
父上にオーランド殿に付いて学んでこいと言われて渋々だがしたがった。一応、ミュゼの祖父にあたる方、俺の親戚でもあるが、かなり厳しいと言う話しか聞かない。数回、一言、二言話をした事があるが、国王と同じぐらい威厳があったのは覚えている。
オーランド殿とは城の裏門で待ち合わせらしい。
側近から言付けを聞いたが、これから何日も寝泊りするのに何も持って来るなとはどう言う事だ。
「ユーフリード殿、久しぶりだな。暫く共に過ごす事なった。」
「オーランド殿、宜しく頼む。」
オーランド殿は俺の格好を上から下まで見て笑った。
「全く何も聞かされてないようだ。旅支度の用意をさせなくて正解だったな。まずこれに着替えくれ、始めに言っておくが、今から王子だと言うことは忘れろ、そこの護衛達はいらんかえって足でまといだ。」
と、服を渡された。上質な物だがなんの飾り気もないシャツとジャケットズボンとマントを渡された。
「こちらで必要な物は揃えてある。心配するな。いつも来ている物よりシンプルな物になるが、我慢してくれ。」
着替えオーランド殿の所に行くと馬が2頭用意されていた。一頭はオーランド殿が乗って来た馬、もう一頭は僕が乗る馬らしいが、まさか馬で移動なのか?馬車でなく?
「王宮の馬で山の討伐で使えそうな馬が無くてな。私の所の馬をユーフリード殿に差し上げよう。」
「まさか、馬で移動?」
「左様。察しが良くて助かる。さて、行くぞ」
はっはっは、俺は一応、王子だぞ。と心の中で呟くしか無かった。暫く馬に乗って走らせていると横からオーランド殿が怒って来た。
「なんだ、ユーフリード殿、馬もまともに乗れないのか?ダメだ、ただ跨いでいるだけじゃいかんぞ。あー、なんだそれは、それでは馬が好き勝手走ってしまう!」
ムッとしたが確かに、ウロウロしないかもしれないが歩かせるのがやっとだ。
オーランド殿は口調はきついが姿勢から手綱の引き方、丁寧に細かく注意してくれた。
「ユーフリード殿は意外と飲み込みは早いのだな。このまま、2〜3日乗っていれば何とかなりそうだな。」
どこへ行くのかは全く聞いていなかったが、宿場に泊まって馬を走らせて途中息抜きで剣の稽古しての繰り返しで何日が経った時、到着したのがブルーラー公爵の屋敷だった。ミュゼに会えたの嬉しいがなかなか話すことが出来ずに夜、彼女の部屋にこっそり忍び込んでしまった。やっぱりミュゼは優しい子だ。早く成長してくれたいいのに。思わず、思い込めて髪に唇を落としてしまった。暫く、ミュゼと行動が出来るのは嬉しかった。
オーランド殿の屋敷につけば気に入らないのが隣国の王子だ。ミュゼに馴れ馴れしい。
気に入らないが、討伐際の訓練ではかなりの手腕を見せつけられた。遠いのに魔獣の位置を正確に把握している。しかも、魔獣と野獣の区別も瞬時につく。俺は後を追いかけるのがやっとだ。アレクもシャルダン王子に負けてはいない。
俺だけが情けない。
討伐が始まり、想像している以上の光景だった。物凄い勢いでオーランド、シャルダン王子、アレクが魔獣を斬り裂いていく。全部仕留めたと思ったら倒した魔獣を地面に引きずり回している。凄い血の匂いだ。
地面に魔獣の血を擦り付けてもっと大きな魔獣をおびき寄せるらしい。匂いだけでも気が遠くなりそうだ。
見たこともない大きな魔獣が姿を表し、俺は周りの小物倒すのが精一杯だった。
数日たって何匹、何頭、もうどれだけ狩ったかもう既にわからない地面には何百匹の死骸が埋もれている。本当にもう、地獄絵にしか見えなかった。
「帰りたい‥。」
意外にもアレクも呟いた。
「同感だね。」
初めて、気が合ったと感じた。
確かに斬っても斬ってもキリが無い戦いではあったが剣の上達した実感はあった。
ようやく、討伐から戻り一息付いた所でオーランド殿に呼ばれて執務室行った。
「ユーフリード殿、もどったばかりで呼び出してすまない。」
「オーランド殿、気にしないで下さい。」
「王宮に戻るのか、残るかどうすか聞こうと思ってな。」
「このままオーランド殿に付いてまなばせてもらえないだろか。どうせ王宮にいても毎日、茶会と令嬢と戯れしかない。それではミュゼとの約束が守れない。」
「ミュゼとの約束?」
「はい、ミュゼと約束したんです。賢王になるって、もしなれたら俺の願いを叶えてくれると。」
「ユーフリード殿の願いは何だ。」
「それは、まだ、言えない。」
オーランド殿、少し考えると声を上げて笑い出した。
「ぐあっはっはっ、ミュゼがユーフリード殿に賢王になれと言ったか。なるほど、あの子も面白い事を思い付く。なんて優しい‥‥‥おっと、言い過ぎるところであった。ユーフリード殿、賢王を目指されるなら私は君に手を貸してやってもいい。かなり不純な動機だがな。」
「オーランド殿、感謝する!」
「しかしなユーフリード殿、賢王になると言うことは決していい事ばかりでは無い。君が王に相応しくなる事を快く思っていない者もいる。その様な者たちに命を狙われる事になるであろう。うつけのままでいれば命を狙われる心配はない。」
「何も分からない、お飾りの王太子のままでは嫌なんだ。ただ母上に与えられるままでは嫌なんだ。俺だけが何も知らない、分からない世界なんてもう嫌なんだ。命を狙われるからって狙って来たやつよりも強く賢くなればいい。頼むオーランド殿、力を貸してくれ。」
「ユーフリード殿、貴方の心得ひとまず私が預かろう。身を守る力や知恵は私が伝授しよう。その後、王になる事の意味を知るかもしれない。それでも賢王を目指すならもしかしたら賢王と呼ばれる存在になれるかもしれない。」
「父上は、オーランド殿が国王になっていれば賢王と呼ばれていただろうと、おっしゃっていた。」
「私は国王になる事を諦めた人間だぞ。なれるわけがない。だが、今のユーフリード殿に教えれる事はある。途中、根を上げて逃げ出さないよう頑張ってくだされ。」




