ガゼル
翌日、またもや私はお爺様に執務室に呼ばれました。
執務室行くと見慣れない、青年が一人立っています。騎士の方でもないようです。
「ミュゼ、今日からお前の護衛のガゼルという者だ。普段は諜報をやっている。あまり身元を教える事は出来ないが、腕も立つし鼻もよく効く。」
ぱっと見は、青年に見えるが良く見れば20代後半にもみえます。真っ黒な髪にグレーの目で、顔は整っていますが地味な感じで特徴のない方です。
無表情のままお辞儀をされます。
「ガゼルでございます。以後お見知り置きを」
「ブルーラー・ミュゼットと申します。」
「ヨハネには伝えてある。普段はあまり姿を見せないであろうが、呼べば出てくるであろう。私との連絡もガルセに言えば伝達もしてくれるだろう。愛想はないが使えるし信用できる奴だ。ただ、少し荒っぽい所はあるがな。」
「なんだか、物騒ですね。」
「まぁ、そう言うな。用心に越したことはない。」
「では、ありがたく彼を使わせていただきます。」
「本来ならここにもっと滞在してもいいのだが、辺境地でもあるこの屋敷よりヨハネの元に戻った方がよかろう。私もお前の側に居たいのは山々だが、色々厄介な事が増えてな。」
「厄介事ですか?」
「まぉ、それはこちらで解決する事だから気にするな。少々急だがな事態が変わった屋敷には明日の出発でもどるように。アレクはもう少しこっちに滞在する予定だ。くれぐれも気を付けるように。」
部屋を出るとガゼルもついて来ました。
「ガゼル様どうぞ宜しくお願いね。」
「ミュゼット令嬢、普段の時は私の事を空気だと思って過ごしてください。ご用があれば姿を表しますので読んで下さい。どんな所にいても駆けつけますので。」
「どんな所でも?」
「どんな所でもです。後々、分かるでしょう。私は少し不思議な力を持っていますので。私が護衛についている間は安心してお過ごし下さい。」
わぁ、凄い自信家ですね。お爺様があれだけ信頼されてるならかなりの凄腕の方なのでしょう。不思議な力ってかなり気になります。
「そこまで、自信があるなら安心ね。でも、私、そんなに行動範囲広くないからそんなに優秀な方が必要だったのかしら?」
「公爵令嬢の時点で高位の方。次期王妃の可能性もある方という理由だけでも充分お使えする価値はあります。特にミュゼット令嬢は、オーランド様が寵愛されている孫娘です。こちらも命を賭けてもお護り致します。」
次期王妃の可能性って、公爵令嬢である以上確かに可能性だけはありますけど、大袈裟のような気がします。部屋に向かって歩き出すとガゼルはいつの間にか視界から消えてしまいました。
「本当、不思議な方だわ。」




