隣国の王子の素顔
そして、お爺様達は討伐に行ってしまいました。昨日は皆さん討伐準備に追われて大変そうでしたが、夕飯時になるとシャルダン王子が必要以上に私を追う回して大変でした。
「ミュゼット姫、お風呂に一緒に入りませんか?」
無理無理、絶対に無理。子供の姿でも無理です。
「ファルダ国のお菓子ですよ。一緒に食べましょう。」
ご一緒しましたが、やたら食べさせてたがります。一人で食べれます子供でも甘やかし過ぎです。
「では、今日は私の部屋でご一緒に寝ましょうね。」
寝ません。丁重にお断りします。
面倒見の良い人は時には鬱陶しのですね。お父様や兄様で慣れていると思っていましたが中々手強いです。
賑やかな方々が出かけてしまったので悠々自適に過ごさせて頂いています。これこそバカンスですね。
好きな時に好きな事が出来るとは、素晴らしい。しかしながら、お爺様達が必死の思いで戦っているのは心辛いのですが?とランスに言うと。
「お嬢様のお気遣い、恐らく無駄でしょう。実際の討伐を見せてあげれないのが残念ですが、旦那様はそれはもう水に放たれた魚の様に暴れていらっしゃる事でしょう。王様方、アレク様のご指導もそれは楽しんでいらっしゃる事だと思いますよ。」
「兄様が以前は、それはもう行きたがらなかった様だったから、危険ではないの?」
「危険といえば危険ですが、アレク様も細身ながらかなりお強いので大丈夫ですよ。シャルダン王子殿下もかなりの上級者ですからね。今回は少し広い範囲だからお時間がかかりますが‥。旦那様が張り切り過ぎるのが心配なだけです。」
「あー、私も参加できほど強かったらなぁ。」
「お嬢様は、ヨハネ公爵様が心配してしまいますので、公爵様まで行くと言い出すと領地の仕事が滞りアルバートが過労死しかねませんからね。」
「お父様もお強いの?」
「それはもう、旦那様と互角に戦えるのは侯爵公ぐらいではないでしょうか?」
「では、一番強いのは母様ですね。」
ランスは、少し考えた顔をして笑いを堪えていました。
「そうかもしれませんね。」
ランスとそんな話をしながら何日かゆっくり過ごし討伐からお爺様達が帰ってきました。
エントランスまで、お出迎えに行きお爺様が一際元気で出発前よりもお元気そうでした。
「ミュゼ、留守番ご苦労であった。」
「お爺様、お帰りなさい。皆さんもご無事で何よりです。お怪我とかはなさってないですか?」
「ただ今、ミュゼット姫、みんな無事に帰ってきましたよ。アレク殿とユーフリード殿は少しお疲れ気味だからね。ミュゼット姫、労ってあげて。」
と、言いながらもシャルダン王子も少しお疲れ気味です。
兄様と殿下の方に近づこうとすると。
「まって、ミュゼそれ以上近づかないで。」
二人ともはもりながらいいます。
「あ、ごめん。ミュゼ、僕と殿下は魔獣の血をおもいっきり浴びたから血生臭いんだ。」
兄様が説明して下さいます。二人ともお怪我はない様です。殿下は少し顔色が悪様ですが‥。
「ミュゼ、僕も初めての光景であんな地獄の様な‥‥。いや、何でもない。」
「殿下、その内、慣れますよ。確かに初めてではきついですが‥。」
と、兄様は慰める様に殿下に言います。
お爺様、一体どんな事されたのでしょうか。お爺様のテンションの差があり過ぎて心配です。
夕食は護衛の騎士、ファルダ国の兵の方々を招いて食事となりました。立食形式です。ちょっとしたパーティーの様でした。シャルダン王子はずっと私の食べるものの心配をしていました。何度も一緒に取りに行って飲み物のお世話からデザートまで本当に面倒見の良いお兄様です。ファルダ国へは明日帰る様です。
「ミュゼット姫、一緒にファルダ国に来ない?姫がお人形の様に可愛くてきっと妹や弟達とも仲良くなれる。こんなに可愛い子、懐かないところも可愛い。あー色々世話したい。」
世話って、ペットですか?兄様も殿下もそんなに睨まないでください。
食事会も終わり私は部屋に戻ろうとするとシャルダン王子に捕まってしまい。明日には帰ってしまうので少しサロンでお茶を頂く事にしました。真横に座って来ました。近いです。
「まぁまぁ、ミュゼット姫、そんなに警戒しないで僕は子供には優しいから」
「警戒なんてしてませんよ。ただ、距離が近いです。」
「距離ねぇ。ミュゼット姫、君みたいな小さな子に対しての距離はこれは普通だよ。」
シャルダン王子の手が私の髪一房手に取ります。慌てて後ろにのけぞると
「ほらねぇ。ミュゼット姫の反応は淑女の反応なんだよ。子供の反応じゃない、君は僕を男として意識した反応だ。姫と話をしていると成人した令嬢と話しているみたいだ。」
なにを言ってるのこの人?苦虫を噛んだ気分ですが、シャルダン王子は涼しい顔で話を続けます。
「古来昔の文献に時間を遡ってきたと言う文献を読んだ事がある。子供なのに中身が大人の記憶があると、まさに信じがたい文献だ。姫を見ていたらそんな文献があった事をおもいだしてね。」
「さぁ、なんの事でしょう?もし、本当の様な嘘の様な文献が存在するなら私にも読ませて頂きたいわ。」
「君がそうだとは思ってないから心配しないで、でももし君が時間を遡って来た子だったら是非にとも欲しい。あ、心配しないで、もしそうだったらの話だよ。君は沢山の事を普段から勉強しているからきっと時を遡って来たなら凄い知識詰まってる。僕みたいに欲しいと思う輩は沢山いると思う。」
「殿下の言っている意味が、私には全く分かりません。私はものではないので欲しいと言われても困ります。」
「姫、覚えておいて僕は子供には優しい。でも、大人には容赦ないからね。横から獲物を取ろうとする者がいれば容赦ないよ。ユーフリード殿も君に気があるみたいだけど彼が大人になれば彼も敵だ。それに彼は、君の本当の価値が分かってないみたいだね。もし、時を遡って来た子なら他の人には悟られないようにね。僕みたいに邪な考えの奴らばかりだからね。」
この人、ヘラヘラ笑ってるのは偽りの顔なんですね。やはり前世で会った時が本当の顔、油断も隙間ありません。見抜かれてしまうなんて迂闊でした。
「本当にシャルダン殿下のおしゃっている意味が分かりません。これ以上、ご用がなければお部屋に下がらせて頂きます。」




