閑話〜王子の目覚め(2)
公爵家の滞在もあと僅かだ。
ここ何日かミュゼット嬢と勉強している。彼女は博学だ。王宮の令嬢は、なんとか読み書きできる程度だ。計算なんて出来る令嬢なんて見たことがない。恐らく母上も出来ないだろう。
計算出来るだけではなく教える事も出来る。外国語の勉強仕方も教えてもらった。ここに来て、何だか今まで勉強していた以上に身についた気がする。
今まで、公爵が説明してくれた港の商会も何の事かさっぱり分からなかった。ミュゼット嬢にこっそり話したら商会の仕組みを教えてくれた。
「わぁ、殿下は理解力が長けてますね。もっと知識を身につければもっとりかいできますよ。さぁ、頑張りましょう。」
あーなんて可愛いのだろう、君のその笑顔で頑張れる気がする。どうにか連れて帰れないものだろうか?
愛称で呼びあえたらよかったが遠慮深い彼女は、俺の名前を愛称で呼ぶ事を拒否したが俺は愛称で呼ばせてもらう。
一度だけ世話向けミュゼが本に夢中になっていた時ほんの一瞬執事と侍女が席を離れた事があった。そっと髪を一房握ったが気が付かない様子だ。
調子に乗った俺は髪を唇当てる。
何とも言えない胸が脇立つ花の香りだ。誰かに見られたら変態だな。
王宮に行けば金髪も翡翠色の瞳も珍しくはないが、ここまで惹かれるかとがあっただろうか?令嬢達も私を褒め称え我先にと近づこうとするが、ミュゼット嬢程、私を見てくれたものはいない気がする。母上でさえだ。ここまで私に足りないものを補おうとする者がいただろうか?
「今度はいつ会えるか分かりませんが、が王都でも頑張って下さいね。」
帰る間際まで、口説いたが連れないものだ。まだ、幼いから仕方ないか。別れという意味を知らないのだろう。いつになるか分からない?俺は王太子だ。こんな時に権力使わなくていつ使う。近い日にまた、会えるぞ。ミュゼ心配するな。
また、あの退屈な王宮に戻らねばならない。以前のように茶会など出席しなければいけないだろうか?ブルーラーの領地はそれなり王都にはない物があって興味深かった。
さて、王宮に付いてからは、母上に呼ばれて一緒に茶会に出て同じ年頃の令嬢達の相手をしなければならない。以前は楽しかったが今は面倒に思う。ありきたりの会話しかしない令嬢達。暇さえあれば俺を口説きに来る。早く部屋にもどってミュゼに手紙とか書きたい。最近の彼女とのやり取りはウランダ語でのやり取りだ。俺もかなり上達したと思う。今度は古代語を使おうと書いてあったな。
王宮の生活は過ぎていく。珍しく父上から呼び出しがあった。
謁見室まで行くと、父上は国王陛下の席に宰相といる。
「ユーフリード、よく来た。」
「いえ、お父上お元気そうで何よりです。」
「お前が戻ってもう少し早く話せたら良かったか。色々な立て込んでいて遅くなってしまった。ブルーラー公爵家から戻って来てから、最近は学業に励んで目まぐるしい成長が見られると側近の者から聞いている
が‥‥。」
「ブルーラー公爵家の滞在は私にとって今まで生き方を変える出会いがありました。」
「‥‥ほう。出会いとは、如何なる者であろう。」
「ブルーラー公爵令嬢のミュゼット姫でございます。」
「あそこの令嬢は確かまだ、幼いはずだが‥‥。」
「確かに幼いですが、とても愛らしくて聡明な子です。最近の学業への意欲もミュゼット嬢の影響と言ってもいいぐらいです。」
「そんなに聡明な子だと。その口ぶりだとお前は特に気に入ってると聞こえるが?」
「はい、父上。出来ればその‥。父上が許していただけるのなら私の妃にと思ってます。」
「妃にとは、ハッハッハッ‥。これはいい。だが、ユーフリード、頼めば何でも叶うと思うのは甘いな。やはり王妃はお前を甘やかし過ぎたようだ。お前にも世の中の勉強をもう少ししてもらわないとな。丁度いい。お前が最近、やる気があるのある姿勢だと耳にしてな。ユーフリード、ブルーラー家のオーランド殿を知っているか?」
「元公爵で亡きお爺様のお兄様にあたる方。何度か祝賀会では顔合わせた事はありますが‥。」
「そうだ。少しの間、お前を預けようと思う。少々、厳しい方だが、勉強になるではあろう。」
いまいち意図が掴めないが‥。父上が謁見室から立ち去ろうとした時何か思い出すように恐ろしい事を言った。
「言い忘れてだことがあった。元公爵は、寛大なお方だからお前の行き過ぎた行動を咎めることは無かったが今回そうはいかない。オーランド殿は王太子の肩書が通用はしないと思え。予定通り帰れればいいがな。」
うん?どう言う事だ?帰れないと言うことか?
オーランドの別名は確か‥‥。
『大剣の獅子』
だったな。帰れる気がしない‥‥。




