閑話〜王子の目覚め
「あー面倒くせぇー、まだ着かないのか。」
「もう、間もなく到着するかと、しばしばご辛抱を」
はぁー。俺、ラウラ国の王太子ことユーフリード。王太子でありながら、3日間もかけてわざわざ公爵家に訪問しなければならないなんておかしいだろう?
母上に言って、無理矢理馬車変えて良かった。お忍びの馬車に乗るなんて冗談じゃない。
公爵家は又従兄弟の屋敷であるが、普通、向こうが来るだろう?なんで俺様がわざわざ行かなければ行けないんだ。
俺の父上、国王陛下の命で仕方なく行くわけだが、あの公爵家妙に美形揃いで腹が立つだよな。公爵はブロンドの深緑の瞳で夫人はシルバーブロンドのバイオレットの瞳、又従兄弟のアレクも夫人似の美丈夫ときた者だ。黒髪の黒目の俺が霞むだろうが。気に入らない。
そういえば、妹がいると言っていたが一度も見たことがないな。やたら父上が気にしてたな。
「ユーフリード様そろそろ到着しますのでご準備を」
やっと着いたかぁ。王宮とまではいかないがなかなかの屋敷だな。出迎えも悪くない。
相変わらず無駄に美形家族だ。俺が霞むのが腹が立つ。
「殿下とは、初めて顔を合わせると思いますが、娘のミュゼットと申します。まだ、5歳なので王太子殿下にご迷惑をお掛けしますので滞在の間は自室で過ごすかと思いますので食事など同席は出来ない事をおゆるし下さい。」
まぁ、そうだな。子供だから煩いしな。そうしてくれとばかりに頷いた。
「さぁミュゼ、挨拶をしなさい。」
公爵と夫人間から小さな女の子が出て来た。
思わず息を飲んだ。なんだこの生き物は?見たこともないぐらい愛らしい少女だ。王宮に来る令嬢でも見たことがない。義妹のリィフィーネも同じ年頃だがここまで愛らしかったか?
なんだ?このキラキラしたブロンドは?なんだ翡翠の様な深緑の瞳は?
「初めまして、王太子殿下、ブルーラー公爵家のミュゼット•ブルーラーでございます。」
なんだ、この囀るような声はこの子は一体何をしたいんだ。近衛達も食い入るよう見てるではないか。
5歳の少女だぞ。子供だぞ。
緊張して声がうわずってしまった。聞こえなかったらしい。
「聞こえないのか!私の名は、ユーフリードだ!」
しまった、私とした事がミュゼット嬢が怯えてしまったではないか。
俺は何のフォローもせず、その場から立ち去る事しか出来なかった。俺は子供のあやし方を知らないからな。
それからは、公爵の申し出を了承した自分似後悔した。見事にミュゼット嬢に合わない。いくら広い屋敷とはいえ、すれ違うぐらいはするだろ?使用人にミュゼット嬢の部屋や動向探らさせそれとなくすれ違いそうな時間にサロンや庭に出てみるが気配すら見かけない。5歳の子に会いたいとも言えない。
イライラする。
公爵は、退屈しない程度に領地の案内やら町の祭りやら案内をしてくれる。剣術の稽古の参加は遠慮したいが渋々付き合う。逃げたと言われたくないからな。戦争が起きても下の者達が戦うのになんで俺が剣術なんて習わないといけないんだ。俺が死んだらこの国は終わりじゃないか。騎士達が強くなればいい。
母上もいつも言ってるからな、面倒な事は下々のものがやればいいと‥‥。
そんな面倒な剣術が終わって、サロンでアレクを話し相手にして休憩していると夫人が入って来た。
しかもミュゼット嬢を連れてきて、明日から一緒に過ごすと提案してきた。
やはり、女性の方が気が効く。アレクなんだあの不満そう顔は、さてはこいつシスコンだな。
しかし可愛いなぁ。そのまま、部屋に持って帰って飾りたいぐらいだ。
もちろん、俺は二つ返事で了承した。
翌日、どう過ごそうかと悩んだがやはり相手はまだ5歳、散歩程度がいいだろうと思い侍女をにその事をミュゼット嬢に伝えた。
まぁ、男には身嗜みがあるからな。きちんとしてないと女性からは嫌われるらしい。近衛の騎士も使用人も連れて行かないとな。下の物が多い方が権力があることが分かり易い。
テラスに行くと悔しいがここの執事も侍女も無駄に容姿が整っている。ミュゼット嬢と同じ空間にいても違和感が無い。本当に腹ただしい。
俺だって、一応は美形だと言われるが、ここの公爵家はキラキラ感が半端ない。
ミュゼット嬢は何とも言えない顔で見つめてくる。今日もやはり愛らしい。そんなに見ないでくれ、俺に憧れるのは分かる王太子だからな。
ミュゼット嬢も王太子である私に憧れるのはいいがまだ、5歳、早熟な令嬢だぁ。まぁ、私を見つめたくなるのは仕方がないがな。
「ご機嫌よう殿下、今日はその‥大勢なんですね。」
うん?私一人のはずだが周りを見渡すと近衛の騎士達が目に止まった。
あいつらも連れだと思っているのか?まぁ、騎士の存在も珍しいのだろう。むさ苦しい男ばかりだから怖がらせたか?
屋敷内だから少し下がらせても大丈夫だろう。
さて、王族の事を説明してやるか。そうそう特に王妃の事は知っておくべきだろう。
「殿下、私には難しいし過ぎでちょっと‥‥。もっと今より大きくなったらもう一度お話して欲しいです。私、殿下の事聞きたいです。そう、殿下のお友達のこととか、王妃様の事とか、聞きたいです。」
うん、友達だと?義弟はいるがあまり話さないな。友達か令嬢達は友達と言うのか名前もあまり覚えてないな。宰相とかの息子も私用の話はしないしな。俺は王太子だからな同じ身分の子供はいない当たり前だ。
「では、殿下が私の友達なって下さい。」
王宮に来る令嬢は、婚約とか男女の仲を求めてくるぞお友達って、マジか!令嬢達はすぐに二人きりになろうとするぞ。まぁ、まだ、5歳だもんな。
いいだろう友達から始めよう。未来の王妃候補。




