新しい発見
ちょうど昼時ということで売店でケバブみたいなファストフードを買って歩きながら食べる。
それらを食い終わるころに目的地である教会へと到着した。
外観は元の世界の教会と同じようなもので白い壁に青みがかった屋根、ケモミミの女神っぽい女性のステンドグラス、そして元の世界のものとの違いをあげるなら建物のサイズの割に大きな扉が特徴的だった。
その教会の扉を静かに開けると中に羊の獣人らしき黒装束を着て首に金のロザリオをかけた神父が立っていた。
ほかにいくつかの気配があるがこいつが俺たちの目的の人物だろう。
「ようこそアルデラ教会へ」
「しつれいします、少しお話を伺いたくやってきました」
そういった楓の後ろで礼をする。
ここでの話は楓主体で進めることになっている、この国で神の信仰がどの程度かはわからないからには下手に俺が相手をするわけにはいかないのだ。
「そうですか、では、てきとうな席におかけください」
それからされた話に俺たちは驚くことになる。
教会の聖典はこの国のできるより前へと遡る。
この土地はかつて魔物であふれていた、そこへ神アルデラが表れ過酷な環境で生き続ける5つの種族へ力と武器を与えた。
その5種族は力を合わせて土地を魔物から奪還した、それが現代の守護者達だ。
ざっくり言うとこんな感じだった。
聞いた感じかなり改竄されたんだな。
てかカノン技術書読んでんのかよ、話聞いとけよ。
「ありがとうございました、とても興味深かったで
楓がそこまで言ったとき教会の扉が音を立てて開き冒険者らしき3人が1人の負傷者を背負って入ってきた。
「仲間が!仲間が魔物のっ!!!!」
背負われた負傷者は脇腹に包帯替わりの布が巻かれており、その布には血がにじんでいる。
「落ち着きなさい、冷静に、簡潔に何があったかを話してください」
神父は焦る冒険者をなだめる。
冒険者たちのリーダーらしき男が一度息を吐き何があったのかを話し出す。
「俺たちが受けた依頼の魔物を狩りに行ったら本来いるはずのない魔物がいて、そいつの毒に」
「何の魔物の毒ですか?」
「ポイズンディアーの角にやられました」
ポイズンディアー、本体はさしたる特徴もない鹿だがそのつよい毒性を持つ角からCに割り振られている。
装備と実力からしてランクはD程度か。
「そうですか、あ、もう治ったので明日には動けるようになってますよ」
「え!?あ、ありがとうございます」
神父は冒険者が冷静に説明しようとしている間に治療を終わらせていた、てか何の毒か聞く前には治療は終わっていた。
「えっと、お代はいくらですか?」
「お代は結構ですよ、代わりにお話をお聞きしてもいいですか?」
「はい、もちろんです何を話せばいいですか」
「見たところポイズンディアーくらいなら倒せそうに見えますが不意打ちでもされたので?」
ポイズンディアーは毒と群れる性質からCに分類されるが単体ならDランク冒険者でも十分討伐は可能だ。
群れに出会ったならDランク冒険者の被害が一人、それも被害者を回収する余裕はないと考えると一匹だったことがうかがえる。
「いえ、凄く強い個体だったんです、遭遇したときには既にボロボロであいつが腹を貫かせて押さえつけてくれなければ今頃……」
「おそらく群れの中での抗争があったんでしょうね、お疲れ様です。ありがとうございました、ゆっくり休んでくださいね」
神父が最後にそう言ったところで話を切り上げ冒険者を帰らせた。
「随分と冒険者事情に詳しいんですね」
「冒険者ギルドと提携してるんですよ、それで事情とかいろいろ聞いたりしてるんです」
へぇ、冒険者側はヒーラーが増えるからってのは分かるが教会側のメリットが分からん、まあ布教とかか。
「じゃあ私たちも帰らせてもらいます」
「はい、さようなら。また興味が出たり怪我をしたら立ち寄ってみてください」
いまだ技術書を読み続けているカノンの手を引き教会を出た。
「俺は回復魔法に関して何も分からなかったがどうだった?」
「魔法の腕もよかったけど、それ以上に手際が良かったと思う、患者への配慮とか話術も含めた治療って動作が洗練されてる、魔力回復用のポーションさえあればかなりの人数を同時に治療可能なんじゃないかな」
戦いが始まったときどれくらいのポーションを用意できるか、冒険者ギルドとの提携があるなら足らないって事態にはならないか。
これで二人目か、あと一人、今日中にはまわれそうだな。




