メルトリア・タルト
少女の屋敷にて応接室へと案内された。
屋敷内には俺達と少女、それからこの屋敷の管理を任されていたのだろう使用人が数名。
少女と向かい合って座り数秒、使用人がお茶とケーキ菓子を置いて出て行った。
「じゃあお前が知ってる事、話してくれるか?」
家に来てすぐ聴くってのも不躾だとは思うが今後会うこともないし良いだろ。
ちなみに女性陣は久々に食べるガッツリ砂糖が入った甘味と紅茶に頬を緩めている。
「良いよ…その前に、ありがとう」
「あぁ……まあ、受け取っとく。で、なんで神器について知ってる」
「私達…の家系は、歴史古い。代々、伝えられて、きた。5大家は、みんな持ってる」
ほう、この国だけで5つもあるのか。
「で、神器には何がある」
「良い?まず、神器は、生きてる。自意識はない、けどね。」
「生きてる、だと……いや、確かに生命を対価に作り上げ装備者を選ぶ、不自然ではないか。」
「へぇ、そこまで、知ってるんだ。それで、神器は、その生命の格に、応じた、能力を得る。」
「生命の格?」
「何かは、分からない、前例が少ないから。でも貴方のは、かなり、強い」
「そんな事まで分かるのか?」
「うん、他4つとの、共鳴より、強かった。」
武器の話を聞きつけケーキを食い切ったカノンが首を突っ込んでくる
「?それってサ、しゃbっング⁉︎」
俺は秒で自分の手をつけてないケーキを掬い取りカノンの口に突っ込む。
「カノンお前甘いもの好きだったんだな、俺のもやるよ」
喋って良いかは知らんがダメでもバレなきゃ良いんだよ。
「?話、続ける、よ?内包する格はその武器にスキルを与える…、生命の格、次第では、この世の法則すら、超越しえる……筈」
「筈ってなんだよ筈って」
「前例は聞いた事ない、けど、貴方の見たら、格次第では、そんな事も、ありえる、かな?と」
なるほどな、ならグロニアのスキルは不壊か、何しても壊れも欠けも錆もしなければ劣化もないってのは異常だよな。
それに由来が分からないとはいえ神名を冠する武器だもんな。
「私の神器は、
少女がそこまで喋ると急にノックされドアが開く。
「お嬢様、それ以上は」
あ、メイド長…ん、そうだね。喋りすぎた、かも」
チッ、まあ仕方ないか、あの程度の恩で国宝級の装備の個数まで教えてくれたんだから儲けものだ。
「あ、ついでに神器の変形の条件を教えてくれ、それくらいならいいか?メイドさん」
メイドが待機しているドア近くに視線をやる。
「お嬢様の身に危険が及ばないものであるのなら」
「簡単…大体の形、は、変わらない。私のは、円筒、剣なら、細長い感じ、かな?」
なるほど、盾とかに出来れば壊れないグロニアなら強いんだが……いや、盾が破壊される攻撃なんぞ俺のステータスじゃあ腕の方が壊れるか。
「そうか、聞きたいことはそんなもんだ、じゃあな帰るわ」
「泊まってくんじゃ、ないの?」
……まあ確かに家に来ちまったならスキャンダル気にするのも手遅れだしここでも良いか、今から宿探すのも怠いし。
「……そうさせて貰うか?」
一応確認を楓、カノンに聞いてみたがケーキを与えられたせいか泊まるのにえらく同意してきた。
泊まる泊まらないのやりとりから20分ほど、俺は湯に浸かっていた。
1人先に、いや1人ってのに異論反論抗議質問はないんだが先を譲られた理由をいいから、で済まされたのはなんだかなぁ。
別にわからない事を考えても仕方ないか。
にしても、やっとゆっくり出来たな、いまいち屋敷の人間は信用出来ないが。
「あの女もそうだが、メイドもかなり強いな」
違和感なくドアを押さえられていた、動きに付随する音も余りにも自然で普段消している音を敢えて出してるようだった。
加えてほんの少し傾いた体軸、普段何かしらの武器を携帯してるんだろうな。
この国の守護者の家系のどれかで市民の暴動や俺らみたいな客人からの少女の保護者、ってのなら良いが俺達に向けられた暗殺者って線もありえる。
まともに戦えば楓に魔法すら使わせられず、カノンにもせいぜい軽傷させる程度だろうが暗殺だと話は別、魔法を無効化する装備で楓の防御魔法を貫通したり、睡眠中のカノンが襲われる可能性がある。
……なんか今日も寝れなそうだな。
とりあえず涼太はお風呂に向かわせた。
あ〜、私も早く入りたいなぁ。
てか、メルト寝てるし、いいなぁ。
っとその前にやる事やらないとね。
「私は楓、名前聞いても良いかな?
」
「メルトリア・タルト、よろしく」
「うんよろしく、にしても驚いたよ、あれだけの事でこんなにすごい事教えてもらえるなんて」
「ん、問題ないよ、お礼、だから」
「へぇ、で、実のところは?」
「?別にそれだけ、だよ?」
会話で表情が一切動かなかった、感情が死んでたとしても多少なりとも動く筈なのに、意図的に隠してるのかな?
「そこのメイド長さん、只者じゃないよね?」
「えっ、そうな、の?知らな、かった」
「……えっ?ほんと?」
「うん、おじさん…この街の、偉い人がつけて、くれたの」
「そうなんだ、なんかごめんね、疑っちゃって。」
……嘘の気配はない、ほんとに知らない?メイド長さんの武器の所有は独断?いや、おじさんって言ってたしこの街の守護者の事、かな?
じゃあ、その人の意図と仮定したらなんで……
思考中にそのメイド長が近づいてきて空いたカップに紅茶を注ぐ。
「メルトリア様の護衛兼家政婦でございます、お気になさらず。」
「まさか、ちょっと強めの一般人っていうつもりじゃないよね?」
「一応ですが守護者の家系の末席に入れていただいておりますのでそのおかげかと」
《毒探知》の魔法を瞳へとかける、目に小さい魔法陣が出ているだろうそちら側を注がれたカップに向けるが反応はなし。
まあこれに入れるなら最初から入れてるよね。
にしても何の目的もない、ね
「ならなんでこんな事教えてくれたの?」
「さあ、もしかしたら、嬉しかった、のかも」
「そうなんだ。……ねえ、涼太がお風呂から上がったら、何があったか教えてくれないかな?」
自分で口に出しておきながら理由は分からない。
ただ、強いて言うなら、私達と違って本当の意味で家族と離れ離れになった彼女をほっとけないなって思ったから、かな。




