新たな出会い
2週間超えて3週間ぶりくらい……遅れてすみませんでしたぁ!!
村を出て数日後、俺達は目的の地である麒麟へと到着した。
「あー、なんて言うかあれだな、機能美というか、効率重視と言うか」
「そうだね、この国特有の文化ってのはあるかも」
街中を見渡しながら俺と楓は一先ずの感想を言っている。
「うーン、ごちゃついてるナ」
「おまっ、そういうこと言うなよ、わざわざオブラートに包んだのによ」
用はあれだ、獣人と一括りに行ってもどの動物の獣人かによって家とかが変わってくるわけで、まあ、纏まりはないってのが初見の感想。
とはいえ、よく見たらそれぞれの家に悪影響がないようにパズルみたいに緻密に作られているから機能美とか特有の文化ってのも間違ってない。
カノンもああ言っても建物を食い入るように見てる辺りその辺は分かっているんだろうな、もしくはもっと完璧に作り上げられるのか。
それから俺達が宿を求めて歩き回っていると街の一角が騒がしくなっている事に気づいた。
広場に木製の机とそこに座る一人の少女と彼女を挟むように男が二人、そしてその少女達の前には幾人もの人達、手元に羊皮紙とペンを持ってるあたり記者会見とかそんな感じか?
うん、悪趣味だな、公開処刑かよ。
一人の記者が少女達へと質問を投げかける。
「今回の事件、未然に防ぐ事が出来なかったのでしょうか?」
青翡翠の髪に艶はなく、同色の宝石のような瞳にハイライトといったものは存在せず、少女はその質問にただ淡々と、瞳を光を灯す事なく応える。
「はい、衛兵の皆さんも私達も普段と変わらず、警戒を怠るようなことはしていませんでした」
「普段の警戒に穴があったのではありませんか?」
「そんな事実はありませんでした、今回の襲撃も魔獣、魔族、共に接近に気付くことは容易でした」
うわぁ、例の事件の事か、唯一の生き残りになんて残酷な事を……。
人間ってどこ行ってもこんななんだな。
「では実力不足という事でしょうか」
その質問が投げかけられた時、隣にいる男が止めに入ろうとするも少女に手で制される。
「そう言わざる終えません」
「街の守護者という立場にありながら無責任ではありませんか」
「申し訳ございません」
そうやって少女が頭を下げるとその公開処刑を観ていた野次馬がここぞとばかりにヤジを飛ばす。
「無責任だ」
「なんで一人だけ」
「身内贔屓だろ」
「所詮血筋か」
こんな理不尽な言葉達ですらヤジのほんの一部だ。
バキャッ!!!!!!
俺の横にあった木が叩き折られた。
というか叩き折った。
「お前らってそんな事言える程のやつらなのか?」
静まりかえったその場に低い声の波紋が広がっていく。
「貴方はどなたですか?見たところこの街の人間では無さそうですが」
先程の記者だ
「質問に質問で返すな、だとしたらどうした」
「これは私達この街の住人の問題です」
「知らねえよ、終わった事件の被害者の死体蹴りなんて不愉快だ」
「それでは遺族の知人達が報われません、お咎めなしとはいかないでしょう?」
「いや
「やめてください、これは私達の問題です」
それは例の少女の発した声だった。
「は?俺の問題だよ、俺が聴いてて不愉快だって言ってんだろ。勝手に集まっといて守護者に祭り上げて善意で守ってやってんのに被害出たから責任取れって頭腐ってんのか」
再び記者が反論する。
「私達は街に税を納め、その税で彼女らは生活しているのです、それを享受している以上は勝手に祭り上げてる訳ではありません。なので不備があると困るんですよ」
「辞めれば無責任だと叩くんじゃないのか?それにな、なあ楓、これまでに街への被害ってどのくらいあったんだ?」
「え?確か街の外の魔獣が街に入り込んだ記録なんて5つの街の合わせてもここ100年なら片手で足りると思うけど」
おおう、知ってるかなぁと思ったらマジで知ってんのな、ほんと調べるのがお早いこと。
「だってさ、で、何処に不備があったと?」
「確かに今回が初めてのミスなのかも知れません、しかしそれで街一つ無くなったら堪らないでしょう我々はその恐怖に常に怯えなければならない」
「確かにお前の言い分だって間違ってはいない、真実を民衆に伝えるのはジャーナリストとしての一つのあり方だろう。だがそれって少女一人に追わせていい物なのか?生まれた瞬間から血で役職を決められて、戦う為の訓練を受け、必死で街を守ろうと奮闘して、挙句親も親戚も、守るべき民も失った少女にお前らはこれ以上を求めるのか?」
そんなのが正しい行いって世間が言うなら俺は受けて立ってやるよ。
「ええ、この国が平穏であるために何かしらの槍玉が必要なんです」
「…………そうか、ならこいつじゃなくてもいい訳だな。なら俺が魔族とやらを捕まえてその死体をお前らの前に掲げてやるよ」
魔族にはちと悪いとは思うが街一つ潰した罰とでも思ってくれよ。
「わかりました、今回の記事は貴方について書きましょうかね。1週間後、彼女の一面を作り上げます、それまでに色々な情報も集まりそうですしね。」
「良いだろう、それまでに新しくて面白い情報持ってきてやるよ。」
「売り言葉に買い言葉って怖いな」
現在俺達はあそこで壊した木の代金を放り投げてから路地裏へと来ていた。
「涼太ってよくノリで物事を進めるよね」
「私のときもそんな感じだったようナ?」
「受けたものは仕方ないだろ?まあ反省はしてる、だが後悔はしてないぞ」
「そう、別に今始まった事じゃないから良いけど。でも魔族って多分大罪だよ?大丈夫?」
「別にそうとも限らないんじゃないのカ?下っ端が数引き連れてきたのかも知れないゾ?」
「いや、朱雀の街と同じレベルと数がいるなら雑魚の数なんて意味ないだろうな、あのメンバーがやられるならそれこそ大罪くらいなもんだ。」
四神のスキルはそれこそ異世界人にすら匹敵するレベル、更にはあの齢ですら相当の経験を得ていなければ得られない風格を纏っていた。
「ま、守るものが多かったからって理由もあるだろうがな。」
そこまで話していると此方へと近寄ってくる気配が一つ
「敵意は無さそうか?」
「うん、多分さっきの娘だと思う」
「一応ワイヤートラップ貼っとくゾ」
「おう頼んだ」
カノンは旅を始めてから俺の厨二知識や楓の知識から様々なトラップ、捕縛術等を学んでいる。
そしてトラップが編み終わるとやはりと言っていいのか、同年代か少し上くらいの女が歩いてきて罠の射程範囲に入ってきた。
「こんにちは、こんな所でどうしたの?」
楓が対応にあたる。
目的がまったくもって分からない以上は情報を引き出したい、それに関してなら楓以上の適任はいないだろう。
というか全部楓1人でできない事がないレベル。
「……そこの男の人に話があって」
「そうなんだ、確かさっきの娘だよね、ごめんね邪魔しちゃって」
まあ、誰だかはお察しの通り先程の記者会見を受けていた当人である。
「いい…ちょっと……助かった」
「大丈夫だよ、どうせこの人がノリと勢いで勝手にやった事だし、ね」
おい、せっかくの俺への感謝をさらっと流すな、別に良いけど。
「気にすんな、てかお前が止めて欲しそうにしてたのにやめなかった時点で俺の自己満足って事くらい分かってるだろ」
「でも…助かった」
「あっそ、そりゃ良かった、じゃあ俺たちは宿探すからこれで」
その少女……少女か?俺より年上っぽいが……まあいいか、少女が来た方向とは逆へと歩こうとすると
「お礼…する……宿ある」
「あ、そ、じゃあ宿の名前教えてくれ」
「私の…家……一応この街にもあるの…」
「今お前の家行ったらマスコミに『記者会見乱入は計画的犯行だった⁉︎』とか書かれそうだから嫌だ」
人に嫌われるくらいなんて事ないが自分から敵対しに行く事もない、てか面倒。
「そう…なら……来てくれたら…神器について、教えてあげるよ?」
「「「⁉︎」」」
この世界に置いて神器というものの流通量は殆ど皆無。
更に人1人の命を対価に作られるそれは今や存在そのものが秘匿されつつある故に知る人も少ない。
ましてやグロニアがそうだと見ただけで気付くのは
「私は…守護者の家系……神器の知識も……神器も持ってる」
そういうと少女が左手につけていたブレスレットが光を帯びる。
「私の家にあった神器……『天』分かる?」
ブレスレットの光が形を成し、小さな盾がついたガントレットへと姿を変えた。
それを知覚した瞬間に、グロニアが共鳴する様に俺へと魔力を贈ってきた。
確かに情報は欲しいが……
「私は別に良いよ?」
「楓の魔法で気配消せばマスコミにもバレないと思うゾ」
「分かった、行こう」
俺がそういうのを聴くと少女はガントレットを腕輪へと戻し、それと同時に共鳴は消えた。
「神器は…持ち主の意思で……姿を変える……じゃあ…着いてきて」
俺はそれを聞いてグロニアを腰へと付け直し、ベルトへと変えた。
なるほどな、この状態なら共鳴もしなくなるわけか、指輪とか腕輪にしたら風呂にも持っていけるからこれからは、丸腰は回避出来るな。
新しい神器の持ち主が出ましたね。
さて、神器って何なんでしょうね。
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