↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/75

壊された街

 自分の魔法を合成させたり実験したりが楽しすぎて気付いたら夕方になってた。

 とりあえず宿屋に帰るとするか。


 街を歩いていたら何やら叫んでる奴がいた。


「号外だよ!号外!」


 何やら獣人が看板に色々と貼り付けながら街を駆けて行っている。

 そこに書かれていた見出しは


【『霊亀』崩壊!生き残り1人のみ!!】


 マジか……一般人が逃げる機会すら無かったとは。

 この世界の絶望の一端を見たようで流石に多少は心にきた。

 にしてもこれが怒りや悲しみにならないのは自分ながらにどうかとは思う。

 と、自分の微細な変化は置いといて紙にメモを取っていく。


・先日、都市霊亀との通信が途絶えた。本国が調査隊を派遣したところ霊亀の崩壊を確認。

・都市には複数種の魔物の死体があり、魔人特有の魔素も発見された事からなんらかの方法で意図的に襲撃させたと思われる。

・調査隊は街の中から唯一生き残った少女を保護、本国は精神状態の安定を確認し次第聞き取りを行うようだ。


 簡単に纏めるとこういうものだった、それに貼り付けられた写真は悲惨さを物語っており街そのものが破壊されていた。

 亀ってことは玄武か、北の街って事でいんだよな。

 だがなんで魔王領から遠い方を……って、逃げ道を減らしたかったってところか。

 1人だけ逃げ切るとか運が悪いな、確かクレイもそんな感じだっけ。

 会う機会が有ればシアン達でも紹介してやるか、そんな機会は無いだろうけど。

 とりあえず記事の内容をメモに取って宿屋へと帰った。


 帰るのが遅くなったと思ったんだが、まさか夕方になってまだ帰ってこないとはな。

 特にやらなければならないこともなく再びあのニュースへと意識を戻す。

 一つの街が崩壊ねえ、なぜ街まで壊す必要があったんだ?

 嫉妬の奴は住人を暗殺、闇討ち、不意打ちで殺していた事を考えると方法が違いすぎる、むしろ物資が奪えずそもそも非効率的だ。

 作戦の立案者が違うのは確かだろうが破壊する理由が分からない、消したい事実があるのか?

 いやその線は薄いだろうな、かなり前の時点で王生は情報を掴んでた、つまりそれだけ前に事件は起こってた事になる、時間はたっぷりあったはずだ。

 王生が情報を手に入れた筋も分からんが魔族の被害、秘宝が奪われたってのはこの事なのは確かだ。

 秘宝を奪った発見を遅らせたかった?

 それにしては魔力の残滓は放置、その上街を壊してるんだから隠す気は無いように思える。

 魔物の死体も複数種あるから帝国のミスリルベアみたいな事態でもない。


 思考の海へと潜っていると大分時間が経っていたようで扉が開く音がする。


「……」


「ただいま」


 カノンは無言、楓はかろうじて挨拶とまるでお通夜みたいな雰囲気を纏っている。

 誰かに襲撃されたか、そういう考えが頭によぎるもそれは楓が手に持った紙で吹き飛ばされる。


「お前らも新聞を読んだんだな……明日の朝に出発する、切り替えろとは言わん、ゆっくり寝ろ」


 その新聞に載った写真は、文は、俺でさえ心にきた、それを優しい2人がどう感じたかは分からないがフォローは出来る。

 ひとまず食い物でも買い足してくるか。


「うん、そうさせてもらう」


 俺が部屋から出て扉が閉まる直前くらいでそう聞こえた。

 ここまでの道のりは料理を全て楓に頼んでたが実は俺も出来たりする。

 アニメの料理を食いたくなる時ってあるよな、自己中な欲望は自分で叶えるべきだ、『自己中は自己完結しているべき』これ俺の鉄則。

 そういえば買い物で気付いたけどあの新聞って買えたんだな、楓がひっぺがして来たとは思えないからそうなんだろう。

 暫く歩いていると新聞の周りはいまだに人でひしめいている。

 ダブるのはいただけないが俺も買っておくか、買い物しながらじっくり読もう。


 食材の買い足しは特に何も無く済んだ。

 言うことがあるなら瓶詰めにされた漬物が多かった事くらいか、備えあればなんとやらって言うし売り時なんだろうな。

 新聞を何度か読み返したが新たに見つけた事は殆ど無かった、INT上昇に伴って記憶力や思考速度に補正が掛かってるからか?

 だが前回は人混みで見えなかった部分まで見れたので端に国のマークが付いてることに気付いた。

 線で5当分された五角形の内部に鹿、亀、鷹、虎、蛇が描かれたものだ。

 国家のマークがある以上は唯一の希望である新聞社がマスゴミって可能性は潰えた。

 楓は今は落ち込んでいるが戦闘時になると切り替えることが出来るだろう。

 心配なのはカノンだレベルも低く防御の体力もない。

 さてどうするか。

 俺は帰路に着きながら1人ため息を吐く。


 宿に帰ると2人は既に眠っていた、幾らか寝苦しさを感じたのかシートがシワが寄っており2人は汗をかいていた。

 その様子はどうも苦しそうで街一つ無くなってもほぼ揺らぐ事の無かった心が震える。

 俺は2人をなんとか安心させてやりたい、そう思い歩みを進めようとするが途中でピタリと止める。

 なに、やろうとしてんだろうな。

 多分俺はこっちに来て多少変わったと思う、それでも、今やろうとした事は俺のする事じゃない。

 俺がすべき事は2人のストレスを和らげて立ち直ってくれるのを待つんじゃないだろ、そんな他人頼りなのは俺じゃない。

 もっと独善的に、自分勝手に、何があっても2人に危害が及ばないようにそして自分も死なないように勝手に守る。

 あくまで俺のやり方で、だな。

 自重気味に笑ったのが自分でもわかる。

 もう少し頑張るか。

 俺は荷物を置いて装備、ポーションポーチを持って郊外へと向かう。


 俺が宿屋に戻ったのは恐らく4時前、2人が起きる前に水のエンチャントを全身に施し身体を洗い、次の街へと移動の準備をしているようにアイテム袋をいじる。

 多分元の世界ならクマでも出来たんだろうがレベルが上がった今なら変わらないだろう。

 というか馬車で少し寝れたしぜんぜ余裕だ。

 しばらくして


「やっと起きたか、俺は外出るからさっさと着替えろ、朝飯食ったら街を出るぞ」


 旅を再開したら変わる景色で気分転換くらいにはなるだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。