宿屋に泊まる
そろそろ帝国の首都に着くわけだがここで一つ課題がある。
いかにして一人宿を取るかだ。
ここは誰かといないと命の危険があるダンジョンではないわけで、そうなってくると今まで向けなかったところに意識が行く。
避けるにはいくつか方法はある。
①さらっと逃げる
②俺が宿を取る
③野宿
……まぁ③は無しだ、別に休めない訳じゃないが布団で寝たい。
となると①か②なんだが流石に異世界での単独行動は避けるべきか。
となると②かぁ、押し切られそう……いやまてよ、別に楓だって一緒に寝たいわけじゃない筈、以前までは仕方なくだったからな。
うん大丈夫だろ、きっと分けてくれるな。
「涼太、もうすぐ着くってさ」
「おっそうか、じゃあ適当に準備しとくか」
武器良し防具良し道具袋良し、あとは特にないかな。
馬車から少し顔を出すとそれはもう大層な壁が反り立っていた。
「おぉでかい…けど……前の街と対して違いがないな」
ん?随分と楓が惚けてんな。
……ん?いやこれって…随分と巨大な魔法陣が組み込まれてるな⁉︎
はぁやっぱ職人気質のやつらが集まる国ってだけのことはあるな。
「どこの世界でも職人ってやばいもん作り出すんだな」
「そうだね、流石にこのサイズは一人じゃ無理だね」
楓は楓でこれが再現出来ないか考えてんのか、呆れるしかないな。
「無理はすんなよ」
「しないよ、これくらいなら規模縮小したら出来るから」
出来んのかよ、無理なのってマジでサイズだけか。
国を囲うように作られたこの壁全てに術式がかけられてるこれは恐らくだが王国の城用結界と同等だ。
「涼太こそ壊しちゃダメだよ、すっごい緻密に作られてるんだから。」
「するか!流石に国と揉めるつもりはないわ、喧嘩売ってこない限りは」
「私は逃亡生活なんて嫌だからね」
ジトーっと見つめてきながらピシッと頭を叩いてくる。
「その時は別行動でもするわ、他人に迷惑をかけないのが俺のポリシーなんだよ」
「それもダメ」
再び先程より強い威力で攻撃が飛んできた。
「涼太が死なないように管理するのが私の仕事なんだから」
なんかペット気分
「はいはい、まぁこの国とは仲良く出来そうだから多分揉めないだろ」
実力主義なら生きやすいからな。
暫く雑談しているとシアンが
「おい涼太、検問所に着くぞ、そろそろ降りろ」
鍛冶屋と武器屋の紹介状と冒険者ギルドの場所のメモ貰い戦帝とはここで別れる予定だ。
「おう、じゃあここまでだな」
馬車から降りると戦帝のメンバーが集まっており最後の挨拶をすることになった。
「涼太、楓、ここまでありがとう、すごくお世話にニャったニャ。」
「俺からも様々な事を教えていただきありがたく思います。」
「ありがとう。私はこれからみんなを守れるよう頑張る、楓も頑張れ」
クレイと楓の間に謎の意識が共有されてるんだが何を頑張れなんだろうか。
「じゃあ最後は俺からだな、ほんと世話になった。この街なら色々と顔が効くから困ったら頼ってくれ」
「おう、お前ももし困ったら助けてやるよ、対価は貰うがな」
「有料かよ⁉︎涼太はほんと変わらねぇな。じゃ、またな」
「おう」
二度と合わない訳でもない、同じ街で生活してりゃ会うこともあるだろう、暫くはここに滞在するしな。
別れもほどほどに検問も終えて街中に入る。
「それじゃあ武器屋に行く?」
「その前に宿取ろう、この間みたいに埋まってたらやっかいだ」
「じゃあそうしよっか」
アイテム袋があるからかさばるなんてことは無いが休む場所は取っておきたい。
大通りを歩きながらひとまず冒険者ギルドを探す。
冒険者ギルドは依頼の斡旋の他に宿屋案内などを行なってくれる。
「メモによるとここってことで良いんだよな」
首都はほんと何もかもがでかいな、元の世界の四階建てのビルくらいはあるんじゃないか?
中に入ると朝頃ってこともあり依頼を受理してもらおうと人でごった返していた。
とりあえず宿屋の場所は楓に聞いてもらおう、初対面の人との会話って未だに慣れないんだよな。
それじゃあ楓が話してるうちに
《空間把握》
……特に実力者はいないか、強いて言うなら初めて会った時の戦帝より少し低い程度の奴らが四人、パーティか。
少し範囲を広げてみるか
…………⁉︎俺と楓には劣るが訓練後のシアン以上の実力者が一人上階にいる、ギルド長ってやつか。
空間把握を解除した後に楓が帰ってきた。
「聞いてきたよ、だけど会話が出来ないとこれから困るよ」
「あっおう、そうだな頑張ってみるわ」
指を立てて注意してくる楓に意識を戻して宿屋からギルドへ向けて出発した。
ギルドから出たこともありここでさっきの話題を言う事にした。
「ここのギルドに一人実力者がいる、揉めるつもりは無いが警戒はしとけよ」
と言っても偶々今日実力者が不在だっただけでまだいる可能性もあるが。
「まだ戦う気でいるの?本当にやめてよね。で、どの位の実力かは分かるの?」
お前も気になってんじゃねぇか、とは思ったが言ったら叩かれそうだからやめとこう。
「不意打ちでも食らわない限り負けないだろ、あと道はこっちであってんのか?」
「うん、ギルドの近くに冒険者用の安宿を作ってるみたいだよ」
武器屋、鍛冶屋も回るなら金を少しおろしとくべきだったか、いやアイテム袋に結構入れてたし大丈夫か。
「安宿で良かったのか?多少遠くても疲れないし金にも余裕あるだろ」
「適当に決めて変なところなのは嫌だし後々決めれば良いんじゃない?」
「そうだな、その方が安全か」
一時的に休めればあとは評判聞きつつ良い宿を探せばいいもんな。
「うん、それにもう部屋もとってるしね、ギルドと繋がってるって便利だね」
「そうなのか、ギルドが初心者用に建てて経営してる感じなんだな。」
ならほんとに安いんだろうな、さっさと新しい宿を見つけられたら良いが。
歩いてると徒歩10分圏内に宿屋があった。
滅茶苦茶近いな、あとボロい、年季があるともいえるが崩れはしないだろうし隙間風が吹くわけでも無さそうだがボロい。
「じゃあ部屋に要らないもの置いてくる、涼太は何かある?」
「じゃあポーションポーチだけ置いてきてくれ」
「うん、それじゃあ待っててね」
…
……
………
…………
……………いまの会話って同じ部屋じゃないと発生しなくね?
いや、気のせいだよな、そうだよな、流石にここも部屋が埋まってるとかないよな、ここ数日ってかダンジョン飛ばされてからずっと眠りが浅いんだけどそろそろほんとキツいんですけど。
はぁあ、や☆っ☆ち☆ゃ☆っ☆た☆。
誰だよ大丈夫とか言ってたかを括ってたやつはしばくぞ。
「置いてきたよ。あれ、どうしたの?なんか元気ないけど」
「夜十時から朝六時くらいまでの過程を消し飛ばして結果だけを残してくれる人はいないかなぁと思ってただけだ」
そうすれば眠ったって結果だけが残るのに。
あれ?でもそれって浅い眠りをしたって結果が残るから安眠できないのに変わりはないのか?
うーん、自分でも言ってる事分かんないわ、元々が意味わからんスキルだからそんなもんか。
「二重人格の人なんて探してないで武器屋行くよ、今日中に鍛冶屋にも行くんでしょ。」
知ってんのかよ。
どこからがパクリとか著作権侵害になるんでしょう、詳しい方教えてください。




