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武器屋と鍛治屋

 大通りを歩いてると大型の建物を見つけた。

 店とかは正直裏道にあるような所が良いってイメージが勝手にあったんだがな。

 ダンジョン産の武器なんかを売り捌く時は大型店の方が安全に売る事が出来ることから基本的には大型店の方が良いらしい。


「いらっしゃいませ」


 中に入るとあちこちに多くの武器が飾られている。

 下は一万程度の短剣から上はショーケースに入れられた数百万を超える物まで取り揃えてある。


「楓は自分の欲しいものを見てまわったりしないのか?」


「う〜ん、私は必要ないかな杖は良い物があるし防具もグロニアさんが使ってたものの方が性能が良いしね」


 武器屋に関しては多くの武器を切り替えて使う俺にしか需要が無いのか。

 よって高額の近距離武器が取り揃えられた場所を回っていると一人の男がやってきた。


「今日は何をお探しでしょうか」


 見たところ年齢は四十近くだろう店員だ。

 視線が俺の防具へと向けられてるな。

 高ランク冒険者、または貴族のボンボンとでも思われてるのか。


「この店で一番良い武器はどれだ?」


「一番良いものですか、それならこちらですかね」


 案内された場所には一本の片手剣が置かれていた。

『刺突剣ラクリマ』


「この武器は七十五層にも及ぶダンジョンのボスである涙龍ラクリマからドロップした一級品の武器になります」


 値段は千二百万で性能はそこそこか、この程度の武器なら別にグロニアやギフトで貰ったオーキスで良いんだが。


「七十五層か、誰が攻略したんだ?」


 もし少人数で攻略したなら俺や楓に並ぶ実力がある可能性がある。


「五十年前に魔王を倒した勇者一行の一人、現皇帝の狂介様が四十年ほど前に持ってきたと父から聞いております。」


 日本人が現皇帝だと⁉︎

 いや、この国は実力至上主義、なら勇者が皇帝ってのも違和感はないか。


「父からって事はあんたはここのオーナーってことで良いのか?」


「あっ、申し遅れました私はこの店『ペスター』のオーナーであるペスター・アマリーと申します」


「そうか、あとこの武器はやめておく、もっと珍しい武器はあるか?」


 鎖鎌とか珍しいのが有れば嬉しいな。


「そうですね、そうなりますと……この手袋なんかはどうですか?」


 手袋?


「これは武器って扱いになるのか?」


「ええ、この武器は魔力を通すと指先から先端が粘着性のある鋼鉄の糸を出す他には無いものとなっています。」


「いいな、幾らだ?」


「希少性が高く鍛治屋による再現が不可能ということもあり五百万ライドとなっております」


 買える金額ではあるんだが今持ってるかどうか……。


「じゃあ取っておいてくれ、金を下ろしてくる」


「ステータスプレートをお渡しいただければこちらでも引き落とせますが」


 帝国ってこういう所で冒険者の国なんだなぁと思うわ。

 それで支払いを終えると


「では涼太様、今後の利用お待ちしております」


 五百万の即金は流石にやりすぎたからかステータスプレートをみせた事で完全に名前を覚えられたな。


 少し後悔しつつ次の目的地へ向かう。


「流石にお金使いすぎじゃない?」


「そうか?ダンジョンの魔物素材も余ってるしギルドの依頼もするんだろ?」


「そうだけど何があるか分からないから使わないに越した事はないと思うよ」


 今回に関しては持ってない系統の武器だったからなぁ。


「いつ何が必要になるか分からないから今回は必要経費と思ってくれ、次からは意識する。」


 大通りを外れた細道を進むと『鍛冶屋メルト』と書かれた看板が目に入った。

 店に入ろうと扉に手をかけようとするとカランという音と共にとびらが開かれTシャツにオーバーオールを着た一人の少年が現れた。


「お兄ちゃん達どうしたんダ?もしかして客カ⁉︎」


 訝しげな表情をしたかと思えばとコロコロ表情を変えた。

 よし、俺は武器屋でコミュニケーションは頑張った、パスだな。

 楓の方を向いてスッと後ろに下がろうとすると止められた。

 ここもですか、俺の用事だし仕方ない、のか?


「……あぁ、そうだ」


「そうかそうか、じゃあこっちに来てくレ!」


 店内へと案内され机と椅子、それと紙とペンが置かれた個室へと案内された。

 俺と楓はそこに座らされその対面に少年が座る。


「えっと兄ちゃんは今回どんなものが欲しいんダ?」


「ちょっと待て、まず坊主は誰だ?この店で働いてんのか?」


 ピクっと少年の眉が動いた。


「坊主…フフッフフフフフッ……お客さん、私は女だゾ」


 それはもう花のような笑顔を咲かせながら言うその瞳は深淵のようだった。

 怖っ、怖いよ、多分ダンジョン出てから一番殺気を感じるわ。

 楓も隣であちゃーって顔してるし分かってたなら教えろよ、別に良いけど。


「それは、すまん」


 確かに言われてみれば光に反射する金色の髪や唐紅の瞳には女性的なものがあるとも言える……が、ストーンとしてるもんなぁ、どことは言わんが


「ムッ変な気配を感じるけド、もう良いヨ」


 別に良いよ、そんな見た目だもんな、とブツクサ言いながら自己紹介に移った。


「私はカノン、この鍛治屋の一員サ」


 一員か、まぁ接客さえしてくれれば良いか。


「今回はある素材達を使って指輪を作ろうと思ってな」


「素材達?」


「あぁ、これだ」


 パラパラと音を立てて様々な色のかけらが落ちる。


「これは一体何なんダ?見たことがない鉱石も沢山あるじゃないカ⁉︎」


「俺の使う武器のカケラ達だ」


「別に依頼さえくれれば注文は受けるけどヨ、なんでダ?」


「別に、ただの保険だよ」


「保険とハ?」


「そこら辺はスキルに関係するから言えないな」


 この間出会った大罪、相性次第では負けることすらある強敵だった。

 一つ一つのステータスでは劣ることなんて少なくないだろうからな、一発芸でも手は欲しい。


「今後使うカケラが増える可能性はあるのカ?」


「ない事はないだろうが、その時は新しく作る事にする」


「なあなあ!指輪の設計は私に任せてくれヨ!そこら辺の問題も解決して見せるからヨ!」


 そう言うとそこに置かれていた紙とペンをもち図形のようなものを乱暴に書き連ねていく。


「ほう、そんな事出来るのか、ならそこらは本職に任せることに




「おいカノン‼︎お前また勝手に何をやってるんだ‼︎」


 個室の扉がバタンと開かれズカズカとカノンよりは大きい160cmくらいの髭を生やした男が入ってきた。


「えっ親方なんでいるの⁉︎今は材料を買いに行ってるはずじゃ」


 えっと、どういう状況だ?

 楓も少し驚きながら二人で状況を見守っている。

 カノンは呼ばれた人に首根っこを掴まれて運ばれていった。

 するとさっきまで少女が座っていたところにドカッと座り。


「お客さん達、俺はこの店の親方をやってる。すまないなうちのガキが勝手に話進めちまって」


「いや、別に何の問題も無かったが」


「で、今回はどんな用件で?」


「これらを使って指輪を作ってもらおうと思ってな」


 ほうほうとかけらを見つめていく。


「あぁわかったデザインなんだが」


「そこら辺はカノンに任せる事にするわ」


「あいつはまだ見習いでな、槌も握れん半人前だ、才能はあるんだがな」


 カノンが書き残していった設計図にチラッと視線を送る。


「別に作って欲しい訳じゃないんど、設計だけだ、こっちの要望とかも伝えてある。」


「あぁ、う〜ん、まぁそう言うなら、だが失敗する可能性が高くなる事は知っておいてくれ」


「構わない、そん時はカケラは捨てないでくれよ、バラして再構築するから」


 はぁ?と言っていたが無視して代金だけ聞いて店を出た。


「ねぇ涼太、なんであの娘に拘ってたの?」


 大通りに出る前に服を使われて聞いてきた。


「別にたいした理由は無いが、鍛治バカっぽい感じがしたというか」


 昔から◯◯バカって奴らは無駄に凄い技術力を使って無駄に凄い物を作り上げる技術を持ってるからな


「ま、簡単に言えば先行投資だな、なんとなぁく期待したくなった」


「で、好みになったら手を出すと」


「出さねえよ!あくまで鍛治士としてに決まってるだろ」


「別に気にしないけどね犯罪者予備軍さん」


「絶対に気にしてるよな、これから楓の買い物に付き合うから許してくれ」


 それからは長かった、本当に長かった。

 服、アクセサリー、菓子、食事、帝国の四分の一は今日で回った気がする。

 金遣いが荒いって俺にいったばっかりなのに。

 明日は冒険者ギルドに寄っていくつか依頼でも受けてみるかな。

 あ、宿屋は当然のように相部屋でしたむしろベッドがツインで安心したレベル。

 おやすみ、そしていらっしゃい浅い眠り。

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