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休日の過ごし方

 店の商品や屋台の調理器具、電灯などに皆一様に使われているものがある。

 それは魔石だ、動力、熱源、光源、魔法陣を魔石に刻み込むことによってあらゆる利用法が生み出され続ける異世界の電気と言っても良いだろう。


「こうしてぶらついてるだけでも利用用途が分かるなあ、ダンジョンって殺すべきか生かすべきか」


 ダンジョンの最下層にあるコアを破壊する事でダンジョンは自然へと帰る、魔物は魔石を壊すと同じ様になる事からダンジョンを破壊する事を殺すと言うらしい。俺達が軟禁されたのはあくまで裏ダンジョンだからコアは無かった。

 自然にエネルギーが湧いてくると考えると壊さない方が良いんだろうけど、放置すると魔物が溢れてダンジョンから出てくる、考えものだな。

 そう無駄な思考を1人続けていると衛兵が3、4人で何処かへ向かう。


「変死体ってのは西区画で間違い無いんだな!」


「はい!住民が発見したそうです、民家でも同じ様な報告がポツリポツリと見られます」


 人間を超越したステータスは拾いたくも無い情報を感知するものだな、野次馬根性甚だしいが行ってみるか。

 衛兵が集まる場所を見つけると屋根へと飛び上がり上から見下ろす。


「一体これは、」


 被せられた布が払われるとガリガリに痩せた、いや干からびたと言ったほうが正しい死体が顔を覗かせる。

 死体に視線が集まり1人の男が驚愕と恐怖を顔に浮かべる。


「この死に方、これから出てくる変死体の数によってはこの街は滅びるかもしれん」


 先の若者と違い手慣れたものでそれを観察するとそう呟いた。

 衛兵達の視線は男性と死体へと向けられる、しかし1人の衛兵は全く関係ない場所を向いている、丁度俺の方向だ。

 丁度目が合うかというタイミングで衛兵が声を上げる。


「出てこい‼︎居るのは分かっている!」


 この声は女か、1人だけ甲冑が違う、他のものより上位の役職なのか。

 俺は別にまずい事をしたわけでも無いので両手を上げ彼女達の近くへと飛び降りる。


「すまん衛兵がこちらに走っていくのが見えてな、少し覗かせてもらった」


 俺を呼びつけた直後に隊列を形成し警戒体制を取る彼女達へと話しかける。

 すると彼女は前に出て剣を構えたまま進言する。


「冒険者か?いや、職はなんでも良いか、とりあえず詰所までついてきてもらおうか」


 うへぇ、面倒だな。ただ逃げてステータスプレートの名前が赤字になろうもんなら更に面倒なので大人しくすることにする

 衛兵が1人だけ連行に当てられ詰所に連れ去られる

 詰所の取調室らしき場所で待つこと数10分、腹減った。

 やっと帰ってきた衛兵、その中の派手な甲冑の女性が取り仕切る。


「待たせてすまなかったな、取り敢えずステータスプレートの提示を」


 別段断る理由もないので名前、年齢、種族、職業を表示して渡すとさっと確認して後ろにいる丸腰、衛兵ではないだろう男性に渡す。

 するとその男は懐から10cmほどの杖を出し呪文を唱える、するとその男の片目に魔法陣があらわれ


「ふむ、大丈夫でしょう。偽装の様子はありません余程高位の偽装系スキルを持ってるなら話は別ですがそれはないでしょうな」


 なるほどな、鑑定士かその類か偽装なんてスキルがあるんだな、それを見破るスキルも。

 何にせよ無罪で良かった国の法なんて知らないし屋根に飛び乗ったことや覗いてたのが犯罪かもなんて少しドキドキしたわ。


「えっと、俺はもう帰って良いのか?そろそろ腹が減って死にそうなんだが」


 そう聞くと派手な甲冑、派手甲冑が1枚の紙を渡しながら答えてくる。


「そうだな、ではこの紙に住所、もしくは宿屋名と旅人なら此処の出発日を書いたら帰って良いぞ。」


 なんか容疑者入りした臭えな、問答無用で逮捕してくるなら逃げるか。

 適当にささっと書きながら先の件を質問する。

 てか字って日本語書いてるがどうしてこれで伝わるんだろうな。


「街がやばいとか言ってましたけど先程の事件って大丈夫なんですか?」


 てか字って日本語書いてるがどうしてこれで伝わるんだろうな。


「被害者の親族の方々にはお悔やみ申し上げるが安心しろ、明日には捕まったと報道でもされているだろう」


 自信満々、という訳でもないが安心させようとしてるのだろうか、割と気高に振る舞っている。


「もし危ない事件でしたらこの街を早々に去ろうかと思いまして、事件で何か分かるところがあるなら教えてください」


「……冒険者だったな、話してやる。もし仲間以外にバラしたりすればお前は信用出来ないと冒険者ギルドに訴える、公務執行妨害、その他諸々で赤名になるだろう」


 この街の門番の言ってたステータスの名前が赤字の人間を赤名というらしい。by楓

 何にせよ面倒事は野次馬したいが関わりたくはない、少し聴いてシアンに相談するか。

 思考していると派手甲冑は少し落ち着いて思い口を開ける。


「事件の犯人は吸血鬼だろう、死体の状況、殺された夜という時間帯、昔吸血鬼が現れた時とそっくりだ」


 出来るだけ冷静になろうとしているが言葉の端から怒りと悲しみが感じ取れる。

 派手甲冑は加えて、と話を続けた。


「今回の変死体の数は数百、生き血を吸えば吸うほど強くなる吸血鬼だ、今やその強さは計り知れん。今夜にはこの街は危ない、だがそのために私達が居る。もう死者はださん」


 その強い瞳で俺を見据える。これは覚悟の証明か容疑者への脅しか、まあこの街の衛兵は優秀そうで良かった。

 紙に諸々を書き終え提出し席を立つ。


「じゃあそろそろ帰らせて貰います、これは貴方に渡せば良いんですね」


 書いた紙を提出し帰路に着く。

 宿に帰って時間は10時ごろ、随分朝早くに宿を出たもんだから取り調べ含めても昼まで時間が余ったので『氷騎士王の手甲』に複合した装備の整理でもするか。


黒剣オーキス(剣)

氷騎士団の聖剣(剣)

クラック(大剣)

エレキニクス(短剣)

スピア・ザ・リザード(槍)

グリードサイズ(大鎌)

大振撃(槌)

ザ・ビースト(爪)


 メインで使うものはこんなものか、他にある武器は効果がピンキリだったりするからなぁ、あとは腰にグロニア装備しておわりか。

 整備してたら割と時間くったなもう昼か、楓はもうメシ食ってんのかな。

 降りたら既に食べ始めている楓がいた、酔っ払いはお仲間に連行されたっぽい。

 横で食べながら話を聴いてると朝は身の回りを整理してたらしい、それで10時辺りから普段着を買いに行ってたらしく丁度入れ違った様だ。


「へぇ、じゃあこの辺りは結構観て回ったのか、なら案内してくれよ俺もそうしたかったが野次馬してたから観てなくてな」


 そう言うと楓はえっ?と声を上げながらこちらを見てくる。


「それってもしかして……は、無いみたいだね。ていうか何の野次馬してたのよ」


 もしかしての後が滅茶苦茶気になるんですけど、まぁ良いか。


「別に俺達は大丈夫そうな事だ、商人のおっさんに夜、気を配ってたら良いだろ」


「ふぅん、ちゃんと商人さんの服に攻撃されかけたら発動する様に仕掛けてるから大丈夫だよ、じゃあお昼食べたら行こっか」


 相変わらず仕事が早いな、あと俺も普段着くらいは買っとくか。


 それから適当に宿の一階で昼を終えて買い物へ出かける。


「そういえば早朝に宿出たせいで店が空いてなくて何売ってるか知らないな、服ってどこで売ってるんだ?」


「そうなんだ、ちゃんと寝ないと疲れが取れないよ。服は確か西区だった筈」


 西区、まあ大丈夫だろ。吸血鬼って日に弱いイメージは有るし不意打ちされても多分いけるはず。

 それから装身具を求めて宿のある北区から西区へと向かった。

 西区に着く直前に《索敵》と《空間把握》を発動させておく。

 レーダーの様なものが広がり西区一帯の情報が頭の中へと入ってくる。


「——」


「涼太いきなりどうしたの?」


「あぁいや、何でも無いボーっとしてた」


 一部の情報が薄かったな広い損ねたかな、さすがに人が多すぎたな。

 色々話しながら店に目を向けると


「おっ、そこの服良いな買っとくか」


「え⁉︎」


 楓に滅茶苦茶変な目を向けられた、それから俺は職業が勇者兼冒険者から着せ替え人形へ一時的にジョブチェンジ、陰キャに服のセンスを求めないでくれ。

 暫くして買った全ての服を合わせて試着した。


「おぉ、俺まともに見える!」


「誰でもまともに見えるように服は作られてます、もっとオシャレに興味を持ちなさい」


 これからは楓と一緒に行動する訳だしこいつが変に見られないように俺も気をつけないとな、面倒なような、何故かそうでも無いような。


 その日の帰り道


「取り敢えずありがとうな、これは今日の礼だ」


 出店で売られていたブレスレットを渡す

 目を丸くしてぽけっとしてる楓はちょっと面白かった。


「ほら救命の指輪は壊れただろ?だから変わりにってセンス無いか?」


 さっきあれだけ引かれたからな、ちょっと不安、普通にしシンプルで何にでも合いそうなものを選んだんだが

 すると彼女はそれを受け取って腕に着けながら屈託のない笑顔を浮かべて


「そんな事ない、すっごい嬉しいよありがとう」


 これだけ喜んでくれるとこちらとしてもかなり嬉しいな。

 すると楓は腕に俺の横に並んできた、というより寄り添って来た。


「いきなりどうした」


「嫌?」


「別に嫌って訳じゃないが」


「なら良いじゃん」


 いや、でも、なんかこう、さぁ、恥じらいというかなんというか……前も同じこと考えた気がするな。

 まぁいいか、役得では有るしな。


 結局そのまま宿へ帰り一緒にメシを食べ同じ部屋で寝た。



 その深夜


「涼太起きて‼︎商人さんにつけた罠が起動した‼︎誰かに攻撃されてる‼︎」


 平和とは続かないものだ。

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