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幕間 動き出す闇

〜某軍・城内部〜


「おいまだ集まらねえのかよ、俺が時間割いて呼んでやってるのに何してやがるんだ。」


 そう言った後にその暗い空間の中で円形テーブルの一角に置かれた酒を煽る、そして声と音は椅子テーブル以外は何もない闇の空間内で遮るものなく響き渡る。


「まあまあ別に焦らなくて良いじゃないか、僕達にはまだまだ余裕ってものがある。あっ貰うね」


 そのフォローらしきものをする青年は柔和な顔で先の男の前の飲み物を当然の行為のように盗み飲む。

 その行為はこの人物にとって普通でありありふれた光景とも思わせる、それでも盗み飲まれると怒るわけだが。


「まあまあ、別に良いじゃない幾らでもあるんだから」


 そこに恐れず止めに入る女がいた、そしてこの空間で一際苛立ちを見せる男も会話に参戦する。


「うるさいな、グチャグチャと無駄な話ばかりしやがって」


 しかしこの集会が行われるのも初めてではない、当然まとめる奴もいるのだが


「あなた達は我が強すぎますもっと柔和になりましょう、ほら怒らないで」


 怒る男を宥めるもう1人の女は再びメンバーの招集の話をしようとすると最初は争いを止めようとした女が


「でも悪いのはどう考えても明らかよねぇ、わざわざ人の酒を飲んじゃうんだから」


 すると呼ばれた男は自分が悪いと言われたことに数秒気づくのが遅れ驚きを示した。


「ねえそれはおかしいよ、飲みたいお酒が有れば飲むでしょ、飲みたいんだから」


 重要なのはそれが人のものであること、しかし本当に分かってないのでさらに愚行を重ねる。


「そりゃあ直前まで飲んでたけど机に置いたんだから要らないってことじゃないの?」


 明らかにズレたことを言う男についに怒りを表しそうになる。


「なあ会議は1人減っても大丈夫か?」


 唯一のまともそうな女に暗に殺しても良いのではないかと提案が上がるも即座に却下される。


「私達は人数的には不利なんです、数を減らしてる余裕はありません早く残りを呼んでください。本当に7大罪個性的なメンバーが集まりますね……本当に、個性的、私だけ普通……あぁ、羨ましい」


 その後も「良いなぁ、良いなぁ」と呟きながら話すらできなくなった。

 それを傍目に仕方がないと呟き、続けて俺以外は出来ないもんな、と自慢してから最初に話し出した男は魔法陣を描き出し魔道具に接続される。


『おい、手が空いてる奴はすぐに残りの大罪2人を連れてこい。以上だ』


 しばらくするとドアがノックされた後に開け放たれる。

 そこにはどう見てもここにいる他とは対等に思えないガチガチに緊張した男が立ち震える声で報告を上げる。


「申し訳ございません、残りの御2方はどうも参加の意思がないらしく我々の報告を受けた後また部屋に戻ってしまいました」


 その言葉を聴いて暗い室内に様々な感情が渦巻いた、関係無いという無感情、勝手に欠席したことへの怒りや嫉妬、子供の我儘を聴いたような慈愛、その中で一際目立ったのが


「へぇ、俺が呼んだのにこねぇのか、へぇ」


 不快、という感情。そしてそれを向けられた者の恐怖だった。


「はっはい!我々は全力で呼び止め他のですが力及ばず歯牙にも掛けて下さりませんでした!」


 瞬間的に殺意で埋まった室内だが先程の話にも出た敵との圧倒的な戦力量を考えるとこんな雑魚でもいた方が良いという結論に達し、伝えに来たものを帰らせて会議が始まる。


「来ない奴等には後で適当な任務でも与えておくことにする。で、今回の議題だが我々の感知領域に『傲慢』のスキル持ちが引っかかった」


「あら、生き残りがいたのね、それの何を議題にするの?問題は無いでしょう」


 円形テーブに均等に並べられた7つの椅子に座り直したところで会議が始まる。


「問題ってのはそのスキルが常に勇者の反応と同じ座標を示しているということだ」


 それを聴いてその場にいる残りの4人が騒ぎ出した。


「まさか人間に大罪のスキルを与える馬鹿野郎がいたのかよ‼︎」


「あぁ羨ましい人間の癖して私達と同じスキルを持ってるだなんて」


「僕にくれたりしないかな、どうにかして奪ってあげようか」


「面白い子がいるのねぇ、欲しいくらいだわ」


 それぞれが別の反応を示す中議題を回す。


「勇者とはいえ大罪に適合した人間だまともな奴ではないだろう、よって勧誘をしてみたいと思う」


 人間が大罪のスキルを持つ、それだけでも不快に思うものもいるのに勧誘など出来るのか。そんな話が次々と上がる、がそれは話を回してるものも同じ、故に対策はされていた。


「魔王様がそれ程の人間なら我々と同じにすることも出来るだろうと仰っていた仲間になる時は人間を捨ててもらう」


「魔王様が許可を出したので有れば」


 魔王の言ったという一言で室内には納得と許容の空気が流れた。


「それで問題なのが誰が行くか、ということだが……」


「私がいくわ、というよりあなた達では勧誘なんて無理でしょう」


 大罪持ちの人間と聞いて欲しいくらいだと発言した彼女なら不快感を持っていたマシだろう、そういう事もあって議題は割と早く解決した。


「断られた時、斬りかかられた時は殺して良いのね」


「あぁ、あとそいつは今はメルト帝国の南の町クリストに滞在してるみたいだぞ」


「分かったわ、そろそろ新しく補充したかったところだしね」


 そう言うと術式を展開し転移していった。

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