↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/75

戦後

 意識が覚醒する。

 生きてる……あの天使に見逃された?

 目に映った天井はあのボス部屋そのもの、なのにあいつは居ない。

 あれ?そういえば結界はもう無いのに涼太は今どこに。


 もしかして私が倒れてる間に殺されて‼︎


 凄惨な光景を思い浮かべ心の中で必死に否定しながら周囲を即座に見回す。

 そしてそこに居たのは全身をボロボロにされ血の池に沈んだ涼太だった。


「涼太‼︎」


 おそらくその声は悲鳴どころか声にすらならないものだっただろう、それくらいに焦り即座に駆け寄る。

 お願い生きてて。

 まだ死んでない事を祈り必死に回復魔法をかける。

 その中で私は彼に息がある事に気付いた。


「良かった、本当に良かった。生きててくれた。」


 大粒の涙をポロポロとこぼしながら回復魔法をかけ続ける。


 過剰なまでに回復魔法をかけると今度は涙が止まらなくなった。

 それから幾ばくかの間広い空間に1人で泣く声が反響していた。


 一頻り泣いて周囲の確認を始める。


⁉︎


 そこには驚愕の光景が広がっていた。

 大量の羽とバラバラになったあいつの身体が散乱している。

 一体誰が、涼太?

 でもあの結界が涼太が動くのを許さない筈。

 なら誰かが倒したのか、そういえば涼太が倒れていたのが麻痺して倒れた場所と違った気がする。

 ならやっぱり涼太?そう考えるとあの傷を負って殺されてない事ももあそこであいつ倒されてる事も説明がつく。

 ひとまず私は魔石化してない死体(ガラクタ?)に最大限の注意を払い、ついでに多少の恨みを込めつつ《聖炎》で焼き払い涼太の回復を待つ事にした。





 ……えっとたしか、あいつを倒してそれでぶっ倒れたのか?

 全身に痛みを感じながら目を開けると


「やっと起きた!何があったのか説明してもらうからね」


 あぁ膝枕か、王城から脱出してぶっ倒れた時もこの光景だったわ。

 頭の下柔らかいしなんか慣れんな。


「寝起きの人間にいきなり言う事がそれかよ」


 嬉しいような呆れたような顔を俺はきっと浮かべているんだろう。

 こんな掛け合いがまた出来るようになったんだな。


「うーん、仕方ないなぁ。もうちょっと寝てていいよ。」


「 いや、起きるわ……いてて」


 全身に痛みが走り口から漏れ出る。


「大丈夫⁉︎回復魔法は一応かけたんだけど足りなかった?」


「いや、筋肉痛に近い痛みだな。多分増強剤を使ったせいだな、傷は無いと思う。」


 正直言ってアレがないとかなりキツかったから仕方がない所はあるなぁ。


「増強剤、それで動いてあいつを倒したの?」


「いや、そうじゃないな。動けた理由は正直自分でもよく分からない」


 力があふれた時と同時に治ったし関係はあると思うんだけど


「へぇ、じゃああいつは涼太が動けるようになってから倒したって事でいいのね?」


 何を今更、それが分かった上での質問じゃないのか?


「へぇ、そういう事なんだね。じゃああと一つ質問良い? 」


「あぁ、どうした?」


 特に他に聞かれるようなこともないと思うんだが、と思って居ると楓の目が急に真剣なものに変わる。


「動けるようになった時になんで逃げなかったの?」


 は?

 何言ってんだ……あぁそう言えばあいつも言ってたな、俺を生かす事が目的だとか何とかって。

 まあ単純なものだよな。


「楓を背負って逃げるのを見逃してくれるようなやつじゃないと思った」


 そう答えると楓はさっきよりも強い声で俺に言葉を返して来た。


「なんで1人ででも逃げなかったのかってきいてるの、1人なら逃げ切れたかもしれないでしょ⁉︎あいつを倒すよりもその方が生き残れる確率はよっぽど高かった!」


 カッチーンとくるよね、そう言われると。


「俺もそれを考えなかったわけじゃない、お前はそれを望むんじゃないかって思ったよ。でも仕方ないだろ俺はお前と一緒に帰りたかったんだから」


「そんな事してもし2人とも死んでたらどうするの⁉︎」


 あの時にそんな事俺は覚悟しちまってるよ。


「心中だな」


「は⁉︎」


 心底意味が分からないって顔でそう言われた。


「俺が今回の戦いで、いやどの戦いでも望むのはお前と俺2人での生還以外にありはしない、俺をどうしても生き残らせたいなら……頼むから死なないでくれ。」


 俺はあの時思ってしまった2人で生き残れないなら己の命くらいいくらでもかけてやろうと、お前の意思すら無視したそんな思いを貫いちまっただから止めたければ頼むから生きてくれ。


「……分かったよ、涼太が私の為に命を賭けるって言うなら私はもう死なない、その上で君を命を賭けて守る」


 楓はそう言って納得した様子だった、あた新しい決断をすると共に。


「まあ俺としてはお前が死なないならなんでもいいよ、ただ再三言うが死なないでくれよ」


「分かってるよ」


 そう言ってそれからは2人で雑談を交えながら最後の扉を開ける前の休憩をした。


 そして遂に最後の扉、あの天使が言うにはあいつの製作者がいるらしい、油断は出来ない。


 ゴゴゴッ、そう音を立てながら最後の石扉が開く。


「いらっしゃい、君達が選定者を打ち破った英雄だね。」


 その声を聴いた瞬間に俺たちは即座に飛び退いた。

 なぜならその声は、先程倒した天使と全く同じだったからだ。


「あぁ、そこまで警戒しないでくれ。君達と敵対する意思はないよ」


 飛び退いた先でその容姿を確認するとそれは亡霊と言った感じだった。


「馬鹿言えさっきまであんだけ攻撃してきた癖に」


 そう答えると何を言ってるのか分からないと言うように首を傾げてから。


「そういえば声を我から取っていたんだったな、とりあえず分かってもらう為に自己紹介をしよう我の名はディルム、アレの製作者の1人で元魔王軍7大罪《傲慢》である」


 その亡霊の容姿は角を生やし翼、鱗や爪牙と言ったものを持つ悪魔のようなものだった。


「へぇ、で?敵対しない理由は無い様に聴こえるが?」


「あいつから聞かなかったか?我々は英雄を求めている、まあ才無き者が来るとは思わなかったがね。」


「どうする楓」


「話しくらいは聴いてみようよ、とりあえず敵対する意思は無さそうだし。」


 との事でとりあえずは扉の中に入り話しを聞く事になった。

 扉の中は恐ろしく生活感が無いことを除けばまあ普通の部屋だった。


「すまないね、見ての通り霊体ゆえ食糧を置いてないんだ」


 そう言うと椅子に座ることを勧められて座ったところで様々な話が開始した。


「さて、まずは私のことから話そうかな。

 私は今から数世代前の魔王軍の幹部だった、そこで魔王に付き従い仲間と共に人間を滅ぼそうとしてきた、しかしその途中である事に気付いてな、魔王に対する尊敬が無くなった訳だ。

 まあ、魔王軍7大罪の大罪はそれぞれ合ったものが選ばれるのだが、私は傲慢でな、尊敬出来ない上司に付き従うことなど出来るはずもなく反旗を翻した訳だ。

 それで惜しいところまで行ったのだがギリギリ失敗その際協力してくれたもう1人の大罪《強欲》のグロニアとダンジョンに逃げ込み攻略、その後ダンジョンの権限を奪いこの裏ダンジョンを作った訳だ」


「へぇ、で何故英雄を求めるんだ?」


「あぁ、それはこれから話そう。

 私が魔王を尊敬していた理由、それは魔族としての圧倒的な力だった。

 膨大な力に死してなお蘇る不死性、そして多大な知識、それにより私は深く尊敬していた。この私より強い魔族がいるのだと。

 しかしそれらを一気に覆す事実に気付いた、それは奴が魔族では無かったという事だ!種族が魔王であるならばまだ尊敬出来た、しかし奴の種族は《精霊》だったのだ‼︎」


 そう息を荒げて喋る。


「精霊?それって確か人類に手を貸す存在じゃ……」


 複数の魔法授業を取っていた楓が授業内容から質問を返す。


「あぁ、何故我らの王をしているのか理由は分からないだが、『魔族の犠牲なぞ私の目的の為なら幾らでも容認する』そういったことを聞いたのだ‼︎この私が道具だとでも言うかのように!この様な屈辱があるか、怒りがあるか!……ふぅ、落ち着こう。

 まあそういった理由で奴を魔王の座から引きずり下ろす英雄を我は欲しているのだ、まあ大々的にやると気付かれるのでな裏ダンジョンで待ち構えてる訳だ」


 へぇ、意外なようなそうでもないような理由だな、可愛さ余ってにくさ百倍って状況なわけかな。


「えっと、そういえば一緒に逃げたっていうグロニアさんは?」


 楓が不思議そうに周りを見渡しながら尋ねた。


「死んだよ、彼女は。まあ寿命だな、そして我だけは選定者を見届けるために霊体で生きている訳だ。彼女は最後に置き土産を残して行ってしまった。君達も見ているはずだよ。」


 ……そういえば

『神剣グロニア』

 1人の大魔法使いがその命を使い作り出した一振り。

 決して壊れず決して錆びず決して衰えない最硬の剣。


「あぁ、その剣だね。一定レベル以上の魔術師がその命を賭して作り出す神剣、それが死ぬ直前に彼女が作り出した私への贈り物だ。」


 え?これって返した方がいいのだろうか、うーん、まあ返しとくかな、武器なら有る。


「いやその剣は君が使ってくれ、あの天使も壊された事だしそろそろ彼女に逢いに行きたいのだ」


は?え?


「いや、でも俺たちにやらせたい事があるんじゃ……」


「そうだ、だから君と2人で少し話がしたいんだ。……お嬢さん、少し良いかな?その扉を開けると彼女の残した魔法体系が残ってた筈だ」


 そう言うとディルムとか言う魔族ば楓の方を見つめた。


「……分かりました待ってます」


 その意思を汲み取ったのかその目に何かを見たのか彼に敵意を見出せなかった彼女は退出した。


「えっと、魔王を倒してくれってならお断りですよ、面倒くさい」


 正直言って俺はあくまでも変わってない、俺が安全なら、俺と楓に危害がないならそれでいい。


「君に力とその使い方を教えてあげよう。」


「ほう、でも魔王にやられた奴から教えられる事で魔王を倒せるのか?無理だろ」


 それなら日常生活を送っていたい、それくらいならレベルの暴力で安全に暮らせるだろう。


「君達はこれから安全には暮らせない、我が生きている時と同じなら異世界の勇者を魔王軍は狩潰す。7大罪にはそいつが勇者かどうかがわかるからな、どうせ安全には暮らせないんだ力を貰えるだけ徳とは思わんか?」


「そもそも俺には才が無いんじゃなかったか?」


「才無くしてあそこまで強くなったのだ英雄の才だけが英雄になるための資格ではない、その証拠に英雄の才無しで君は強くなっただろう」


「なら俺が力だけ貰ってバックれるとは?」


「バックれる奴はそう言うことは言わないものだ、あとお前と俺は似ている、己の言葉を己で否定するようなことはするまい」


「はっ、似ているとは思えないがな」


「我達は己の欲する結果を求めてそれを全て得るためにはどうすれば良いかを常に考えている、そしてそれが本気で叶うものだと思っている傲慢で強欲な馬鹿野郎、だろ?そしてそれが我のスキル、『我道』だ」


「は⁉︎」


「同じだろう?《選定の間》の中で才無くして動けるスキルなぞそう多くない」


「何故動けるのか知ってるのか?」


「力とその使い方を教えると言ったろう?それにあと1つ利点があるぞ」


「なんだ?」


「あのお嬢さんはグロニアの魔法体系を知りもっと強くなる、置いていかれたくはないだろ?」


……


「チッ、良いだろう受けてやる。ただし楓の許可が得られたらな」


「交渉成立だね」


 そして楓はあっさりと許可を出した。

 その時の奴の顔はニマニマしていてとても腹が立った。





「では我もそろそろ成仏する、頼んだぞ2人とも。」


「おい、力と使い方ってのはどう教えてくれるんだ?」


「あぁ、分かっている。……ではさらばだ。」


 そう言うと彼は霧散し、その霧散した魔力が俺にまとわりつき吸収されていく。

 そして吸収されきった時に俺に与えられた力とその使い方、様々な知識が脳にインプットされていた。


『我道』

 己が決めた事のために戦うときステータスアップ

 己を邪魔する全ての状態異常及びそれに類似するものを無効化


 なるほどな、我が道を歩む全てを蹴散らし己の求める結果を実現させる為の自己中で傲慢なスキル、神様も俺にこんなスキル与えるなんて良く分かってたんだな。


「ねぇ、お互いにステータス見てみない?さっきの書庫にステータス開示の魔法があったんだ。」


「あぁそうしようか今貰った7大罪の力《傲慢》のスキルも見てみたい。」


「7大罪のスキル?」


「7大罪ってのは魔王な復活すると同時に7人に強力なスキルが与えられる、それが7大罪って事らしい。」


「へぇ、じゃあ7大罪全員のスキルも教えてもらえたんだ」


「あぁ、あ、あれ?はぁ⁉︎あいつそれ教えるの忘れやがった‼︎」


 お、落ち着こう、えっとだから、とりあえず、あっ!


「いや、忘れてないみたいだ、7大罪ってのは俺達転移者と同じで適当に強いスキルと性格スキルが与えられるらしい」


「そうなんだ、敵のスキル分かったら楽だったのになぁ」


「仕方ないだろ、とりあえずステータス調べようぜ」


「そうしよっか、しばらく見てなかったし楽しみだなあ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。