100階層
〜95階層〜
90階層以降にあったのは敵城と言って良いだろう。
その最もたる理由は今まで存在しなかった罠。
数多の罠に多数の敵、ここまで攻め込んできた者を確実に屠るための場所だ。
「……フッ‼︎」
罠を踏み抜き飛んで来た矢を左手に盾を出現させ受ける。
そこに撃ち込まれる細剣の突きを寸前でかわし、楓が光槍で貫く。
『レイス』この敵は幽霊であるが故に地面の罠を踏まず穴にも落ちなければ矢も当たらない。
そのくせして武器は装備し、罠の位置を把握した上で利用してくる。
俺は楓が放った光槍の光に隠れて盾から短剣に換装。
「《エンチャントライト》」
後方で魔法を練る敵に光を纏わせ投擲する。
しかし当たる直前で魔法が完成し、短剣を弾きながら猛進する魔法を捉える。
即座に分解して霧散させる。
無防備になった魔法使い型のレイスに戦士型の仲間同様に光槍が突き刺さり魔石を残して消えた。
「相変わらずここの敵は随分と嫌らしいな」
「罠の位置なら私も分かるんだけど戦闘中はね」
楓の性格スキルの悪戯者は魔法を罠に変える。
その追加効果で簡単な罠の作成方法や仕組み、位置が分かるらしい。
「正直言って罠感知をダンジョンで使うことになるとは思わなかったよ」
「まったくもって同意見だな、王城の本にも前例が無かったぞ」
ダンジョンには確かに意図がある。
だからこそ宝箱は産まれるし上層に弱い敵を配置して生き物を引き込む。
ただ脳はなく、ダンジョンのボスが管理してるわけでもないのだから複雑な罠が出来るはずがない。
と考察していたんだけどな。
「このダンジョンについての考察はやめとこう。結局はここがどこかすらもはっきりとは分かってないんだ」
比較的に増えた魔物達はそう多くの時間を与えてくれない。
再び魔物と出会う前に罠を察知し、分解しながら少しずつ攻略していった。
〜99階層〜
今までと同じならばまたボス部屋近くまで来たわけだが。
「そろそろ終わりだといいな」
ここまでくるとふとそう呟いてしまう。
「そうだね、確か次で100階層。そろそろ太陽が恋しいよ。」
楓はそう言いながら少し遠くを見つめていた。
「そうだな、考えてもどうしようもないとはいえつい……すまん」
ずっと感傷に浸っているわけにもいかずこの階層の敵が出現する。
『マーダー・ライト』75階層で出たボスの小型版で身長は人間サイズだ。
と言っても魔導兵器と言われるだけあって戦闘スキルは1体で50階層ボスに匹敵するだろう。
「‼︎ 《エンチャントフレイム》《飛炎斬》」
いきなり飛んで来た火玉に火の斬撃を飛ばすと2つが混じり轟音を上げ爆発しながら消えた。
火玉はボム系統の派生だろう、爆発系は魔法を消しても爆風は残るからやめてほしいんだが。
俺は右手に片手剣、左手に短槍を持ち、迫る2体の内の短剣を持つ1体へと近づく。
「《エンチャントウィンド》」
短槍の間合いに入った瞬間に片手で突きを繰り出す。
しかしそれは短剣で流されるもそこへ片手剣を叩きつける。
懐に潜り込まれない距離を保ちつつ短槍と片手剣を繰り出し続ける。
そして何合か打ち合い、槍を初手と同じく短剣で長そうとした瞬間に武器をショーテルに換装。
その湾曲した刀身が短剣をすり抜けマーダーの体を撃ち拮抗状態を崩す。
そして換装されずエンチャントが残った右手の片手剣で顔面を捉えついに敵を魔石に変えた。
「あれっもう終わってたんだ、仕事が早いなあ」
自分の相手、魔術師型のマーダーをあっさり倒して言ってくる。
「そっちの方が俺より若干早かっただろ、途中から音が止んでたぞ」
「私は純後衛職ですから、近接戦闘のスキルを与えられずここの魔物とやりあってる人とは違いますよ」
少しジトッとした目線を向けて言ってくる。
「ま、正々堂々とした剣術では無いけどな」
所詮は武器の換装や未来視、武術の一発芸でなんとかやってるて程度だからな。
「別に正々堂々を前衛に求めてるわけじゃないし、きっちり1人で屠ってるあたりがねえ」
結局ジトッとした目線は無くならず宝箱を見つけた後に下層への階段を見つけることになる。
「やっぱりボス部屋か」
下に降りた先にあったのはまたも扉が設置された空間だった。
「100階層……ここが節目か」
ここで脱出出来なければ脱出の目星はしばらく立たないな。
「そうだね、2人でこのダンジョンから脱出しちゃおう」
「あぁ、ここが最終階層であることを祈る、さっさとこんなところから出ていってやろう」
ここに来るまでに1ヶ月半もかかってる、さっさとケリをつけたい。
そして俺達はついにその扉を開いた。
そしてその先にある光景は、光線だった。
「退がれ楓‼︎《分解》‼︎」
構造自体は50階層ボスの自爆時の発光と同じで手こずることはなかった。
そしてそれが数秒間続き、防ぎ切った後の空間に声が響いた。
「おや、防がれたようですね。まあここまで来て一発退場も困り物ですが」
その声の発信源は楓でも俺でもなく光線の発射元に存在する1体の魔物からだった。




