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【第一章完結】とぼけたS級冒険者と悪役令嬢   作者: 佐倉真稀
第一章 逃亡

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第15話 到着

 やっとアイチェに辿り着いた。

「城壁が高いわ」

 街へ入る門に近づくと高さがわかる。10~15メートル程だろうか?

 見張り台の塔もある。

「魔物対策だ。巨大な魔物も中にはいるからな」

 私は森の守護者やキマイラを思い出した。

「それにここはダンジョン都市だ。ダンジョンの周りにも城壁がある」

「ダンジョンも溢れることがあるからその対策ね」

「そうだ」

 私たちは馬を降りて街に入るための列に並んでいる。

 門番が身分証を確認している。

 私は持たされた身分証を手にする。

 公爵領の代官の印章が入った市民証明書。


 ディア

 18歳

 女

 オキーフ王国

 リア―ガーン公爵領

 領都市民

 証明者 リア―ガーン公爵家 領都代官


 国外追放された娘に市民証明書を発行するなんて。

 ありがたいけれど、通用するかしら。


「パド、これが私の身分証よ」

 パドに身分証を見せた。

「ああ。わかった。街に入ったらまず冒険者ギルドだな」

「馬を預けるところはあるかしら」

「冒険者ギルドの近くに預かり所があるはずだ」

「パドが良ければ乗ってきた馬を譲るわ」

「いいのか? 売ればいい金になるぞ」

「売るなら売るで、パドのものよ」

「……それなら、依頼料の内に含めてくれないか」

「じゃあ、それでお願いね」


「次!」

 門番の声がかかる。

 私たちの番だ。

「俺は彼女の護衛だ。これがギルド証《カード》」

「! ありがとうございます」

 門番の言葉が丁寧になった。

「私の身分証よ」

 門番に差し出す。

「ああ、問題ない。どうぞ」

 門番はちらっと見て、身分証を返してくれた。

 もしかして、パドのS級冒険者だと知ってすんなり通してくれたのかしら?

 信用としては貴族より上かもしれないし。


「さ、こっちだ」

 門を出るまで20メートルほどあった。

 門は3重になっていて外を遮る扉、真ん中の扉、街への侵入を遮る扉があった。

 今は全部上がっていたけれど、門が閉まる時間は全部降ろされるのだろう。

 そして城壁も二重構造になっていて門の厚みは外が10メートル、内側が2メートル。

 その間に見張り塔が建設されている。

 堅牢な城塞都市だ。

 門を抜けると石畳の通りが見えた。

 道は広くて、馬車と人が行き交っていた。

 建物はレンガ造りで、屋根がカラフルだ。壁もいろいろな色に塗られている。

 背の高い建物もあるけれど、城壁より低い。


「ここから馬に乗っても大丈夫だ」

「わかったわ」

 私たちは馬に乗り、ゆっくりと冒険者ギルドを目指した。

 門からまっすぐに伸びる大通りを進み、広場に出る。

 広場は市場になっていて、色々な出店があった。

 そこを抜け、反対側の門へ向かう途中にダンジョンがあった。

 まるで小さな砦のような厳重な造りの城壁の正面の門から冒険者が出入りをしていた。

 ダンジョンの周りには冒険者向けの商店が立ち並ぶ。

 その一角に冒険者ギルドはあった。


「ここが冒険者ギルドだ。先に馬を預けよう」

 さほど離れてないところに預り所があり、一日預けることにした。

 冒険者ギルドは3階建ての大きめの建物で、中に入るとカウンターと掲示板、奥に個室があった。

 パドは一番左にいた男性に声をかけた。

「パド、依頼は……」

「終わった。これが魔石だ。それとこの嬢ちゃんが依頼をしたいそうなんだ。個室を用意してもらえないか」

「個室?」

「俺に依頼だ。事情があって他に聞かれたくない」

「わかった」

 男性はすぐさま動いて、個室を用意してくれた。

 その男性がそのまま担当するみたいだ。

 個室はテーブル一つと、椅子が四脚。

 私とパドが奥だ。


「それで、依頼とは?」

 パドがこれまでの経緯を説明した。

 私は身分証も提示した。

「で、先払いで、このネックレスと、馬を一頭貰った」

「これは……」

 ネックレスを男性が検分する。

「足りますか?」

「鑑定に回しても?」

「大丈夫です」

 男性がネックレスを持って部屋を出ていく。


「査定額が書かれた鑑定書を見ってくるな。ありゃあ」

「パド、ありがとう。無事に街まで着けたわ」

「ここまででいいのか? 行先の当てはあるのか?」

「ああ。家が用意されているはずなの」

 私は父に渡された紙を見せた。

「この場所、アイチェじゃないぞ。領都だ」

「え? 父はアイチェに向かえって言ってたのよ?」

 そこへノックがされて、男性が戻ってきた。


「ディア様宛にご伝言が」

 そう言って渡された紙に書かれた伝言。

『カウーンレイ辺境伯を頼りなさい』

「これは……どういうこと?」

 私は思いもかけない父の指示に困惑した。

お読みいただきありがとうございます。


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