↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章完結】とぼけたS級冒険者と悪役令嬢   作者: 佐倉真稀
第一章 逃亡

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/26

第14話 剣術

「すまんな」

「え?」

 亡骸を始末し終えて、私たちはこの先の野営地に移ることにした。

 馬には乗らず、徒歩での移動だ。パドが持っていたランプをつけて手に持ち、馬は手綱を牽いて歩かせている。

「護衛という割には、役に立ってない気がするんだ」

「そんなことないわ」

 パドがいなかったら、私はとっくに死んでいたはず。

「ディアを狙っている賊は少なくとも二つある。バラバラに動いているから、手は組んでない」

「どうして、わかるの?」

「森で襲撃をしてきた賊と今夜の賊は同じ賊だ。聖女派の異端審問官だ」


 聖女派。

 私は最後に見たあの女の勝ち誇った顔を思い出した。

 怯えた素振りの中に愉悦の色が滲むのを。

 国外追放は国の保護がない。

 国籍を持たない流浪の民は何をされても、加害者を咎める者はいない。

 冒険者になったり、雇われて身分の保証をしてもらえなければ、道端やスラムで行き倒れる運命。

 そう。

 国外に出た私を殺したことが表沙汰になっても、被害者の報復は仕方ないと思われるだけ。

 体を強張らせた私に気付いてもパドは何も言わない。


「聞いてもいないのにべらべらと話してきたからな。正義が自分たちにあると信じて疑わない奴らだ」

「女神教の神敵認定をされているということね。私は」

「そういう言い分ではあったな。だが、彼らは聖女派だ。女神教全体の意思ではないはずだ」

 事情を知らない人たちは同じと受け止めると思うわ。パドは女神教にも詳しいのね。

「パド、護衛を断ってもいいのよ」

「いや。守護者はディアに味方をした。この辺境伯領では守護者は崇拝の対象なんだ」

 パドは立ち止まって私を見た。

 その時風が吹いて前髪が流れて、隠れていた目が少しの間見えた。

 意志の強さを宿した、スカイブルーの瞳。

 夏の青空のような美しい輝き。


「守護者が護った人物を俺が見捨てることはできない。護衛依頼は完遂させてもらう」

「……パドがいいなら、お願いするわ」

「任せてくれ。多少、魔法で協力はしてもらうがな」

「穴掘りと解体と結界なら得意よ」

「よろしく頼む」

 そして二人で噴き出した。

 しばらく笑いながら歩いて、野営地にたどり着いた。

 空が白むまでの短い休息を取って、アイチェを目指す。


 聖女が刺客を送り込んできた。

 では最初の襲撃は誰が?

 私を消したいのは誰だ?

 公爵家の敵はもう処分された娘など、興味がないだろう。

 ならば誰?

 私を疎んで殺したいほど憎んでいるのは?


 王妃?

 第三王子?

 王家が敵?


 私は剣術は習ったけれど、実戦経験は少ない。

 対人は国外追放されてからが初めて。

 剣を教わったのは公爵家の騎士。

 そして学院の講義のみ。

 体力だけはつけるように頑張ったけれど、王妃教育の弊害があって、学院に行ってからだった。本当に寮でよかった。


「パド、依頼の追加をしたいのだけれど、いいかしら?」

 パドが警戒した。何故身構えたのかしら?

「どんなことだ?」

「剣を教わりたいの。少しは身を護れるように」

「ディアは剣術の基礎はできてるだろう? そこそこの腕は持っているはずだ。でないと、とっさに足を斬りつけたりできないだろう?」

 不思議そうに首を傾げた。

「最初の襲撃者は手練れの護衛を皆殺しに出来るほどの腕だったの。怯まないくらいにはなりたい」

「んー……」

 パドは頭を掻いて唸って考え込む。

「まあ、殺気とかは実際当てられないと慣れないからな。寝る前に少しだけなら相手をしてもいい」

「ありがとう」

「本気で行くから耐えてくれよ?」


 パドの訓練は殺気で威圧をかけ、それに耐えて模擬戦をするというものだった。

 背筋が震えるほどの殺気。

 射竦められて体が動かない。

 最初は動けなくて殺気を解かれてからへたり込んだ。

 それから毎日慣れていくと動けるようになった。

 その間襲撃はなかった。

 そして、森が小さくなった草原の先に城壁が見えた。

「見えたな。アレがアイチェだ」

「やっと、着いたのね」

 隠れ家まであと少し。

「まだだ。中に入ってから着いたって言え」

「そうよね。中に入ったら依頼料を渡さないといけないしね」

「気を抜くな。こういう時が一番危ない」

「わかったわ、師匠」

「師匠はやめろ」

「はい、パド先生」

「からかうな。行くぞ」

 私とパドはアイチェの門まで馬を走らせた。


お読みいただきありがとうございます。


面白いと思われましたら☆応援(評価)お願いします!

ブックマークもぜひ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

こちらの作品もぜひご覧ください↓

「ガラス工房の錬金術師」

「ガラス工房の錬金術師」書籍&コミカライズ公式ページリンク↓

ドラゴンノベルス「ガラス工房の錬金術師」公式ページ

good!アフタヌーン「ガラス工房の錬金術師」公式ページ

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。