第15話 収穫
家庭菜園大作戦を開始してから大体、、、一ヶ月ぐらいか?
スマホで日付を確認すると七月三十日だったので多分一ヶ月ぐらいだな。
俺が蒔いた種は無事に芽吹き。
我が家の家庭菜園はとんでもねぇ密林に変わっていた。
密林は流石に大袈裟だが、家庭菜園とは思えない程に生き生きと植物が生えている。
「いやいやいや!流石におかしいだろう!」
何て言葉が思わず出てしまったのも仕方がないだろう。
始めは“あれ?結構成長が早いな。また何かあやかしがやってんのかな?”ぐらいに考えていた。
しかし家庭菜園ビギナーの俺は同時に“でも植物って実はこれぐらい早く成長するのかもしれないな。謎の遺伝子組み換えによって”とも考えていた。
だって最近の科学技術ってヤバいだろ?
除草剤に強いとか害虫に強いとかの野菜があるんだから、滅茶苦茶成長の早い植物の種だって存在してもおかしくはないだろう。
そもそもNamzonの何処から仕入れているかもわからない怪しいショップで買った種だからな。
物凄いオカルトな方法で超成長型種子みたいなもんを生み出しているかもしれないじゃないか。
正しく俺が他の奴らから見たらオカルト極まれりな存在なので、どんな考えも頭から否定するのは不可能だ。
だから敢えて見ない様にして今日まで過ごして来たのだが。
「もう太くて立派なキュウリが出来てるじゃねぇか。
普通こんなに早く収穫出来ないよな?
河童集合!勝手に捥いで好きなだけ食ってよし!」
俺が指示を与えると縁側にいた9人の河童がパーティーピーポーも引く程のハイテンションで家庭菜園に飛び込んだ。
地這い栽培なのに何故だか結構高さが出てるので小柄な河童の姿は見えなくなる。
しかし大量のビッグサイズキュウリに歓喜してボリボリムシャムシャ食っている音は聞こえているので、きっと作り過ぎてしまったキュウリに関しては大部分の消費に成功する事だろう。
最近のあいつらは専らじめっと暑い外にいて、暑さが我慢の限界に近付くと氷の浮く冷たい池で肌を冷やしてから、縁側に座って整うサイクルを繰り返している。
氷の張った池があまりにも冷たそうだからと俺が提案したのだが、河童界に突如誕生したサウナー達は整うばかりで他に何もしていない。
なのでこの機会にしっかりと活躍して貰うとしよう。
別に何もしなくても全然いてくれて良いんだが。
あやかしと遊びたくて山で暮らし始めたんだし、賑やかな方が楽しいからな。
『キュウリなぞ漬物にしてつまみにすれば良いではないか。
あれなら味噌を付けただけても十分に旨そうだろう』
化け狐にそう言われて河童がキュウリを食い荒らしている菜園に目を向ける。
確かに改めて見ると太さが均一だし収穫すらまだなので皮に張りと艶があって、当然鮮度は抜群だ。
試しに一本捥いで半分に折ってみると瑞々しい水分が溢れ出して物凄く旨そうである。
「何本か収穫しておくか。酒に合う漬物のレシピも調べてみよう」
『うむ、それが良い』
俺が種を蒔いただけで殆んど手を掛けていないキュウリは味噌を付けただけでも味が濃くて瑞々しく、俺史上歴代最高キュウリを更新した。
化け狐も旨そうに食っては日本酒が進んでいる。
そして意外にも雪女も清酒のつまみとして気に入った様子なので、案外河童が吐く程に食わなくてもそれなりの量は消費出来そうだ。
翌朝、キュウリの礼なのか縁側にピチピチと跳ねる山盛りの魚が置かれていた。
魚をくれるのは有難いが、食い切れない量の魚を持ってくるのは河童の恩返しってよりも河童の有難迷惑だぜ?
こちらの小説はアルファポリスで開催中の【第7回キャラ文芸大賞】にエントリーしています。
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