第七十九話 まさかの再会
訓練場の大門をくぐり、結界を越えた瞬間、最奥部に並ぶいくつかの練習場が視界に飛び込んできた。
そこは、以前私たちが練習戦に使った、岩の遮蔽物が並ぶ場所とはまるで違っていた。
目の前に広がるこれらの区画と比べれば、どこにでもある岩を簡単に配置しただけのあの練習場は、確かに最も初歩的な設備にすぎなかったのだろう。
奥にあるいくつかの区画は、普段であれば中級学徒以上の者にしか使用を許されていない。
場内には同じように、さまざまな障害物が設置されていた。
けれど、それらはもはや普通の岩ではない。
硬い金属で作られた障壁は、冷たい光沢を帯びている。
別の場所には幅の広い水路が掘られ、その中を澄んだ水が流れていた。
さらに、複雑な魔法陣が刻まれている区域もある。近づく者がいれば、突然炎を噴き上げる仕掛けなのかもしれない。
より奥には、絶えず強い光を放っている魔法陣もいくつか見えた。
おそらく、あれも罠の一種だろう。
術者による光魔力の制御を乱すのかもしれない。
あるいは、急に目が眩むほどの強い光を放ち、一時的に周囲を見えなくする仕掛けなのだろうか。
この練習場で試されるのは、魔法そのものの威力だけではない。
複雑な環境の中に置かれた時の判断力。
そして、予期せぬ事態に直面した際の対応力も求められるのだ。
まさか、わずか三か月の体験学習の間に、私までこのような上級練習場を使う機会を得るとは思わなかった。
その点だけを考えれば、グリエン閣下には少しくらい感謝してもよいのだろうか。
だが、そのような考えは長く続かなかった。
練習場へ近づくにつれ、壁際に集まった見物人たちの中に、見覚えのある姿を見つけたからだ。
あの美しい淡金色の髪を見た瞬間、学院へ入ったばかりの頃に起きた出来事が、突然脳裏へ蘇った。
あの時、階段の近くにいた金髪の少年は、私へわざと間違った道を教えた。
その案内を信じたせいで、私は普通の学徒が許可なく立ち入ることを固く禁じられている、導師専用の棟へ迷い込んでしまったのだ。
あの一件は、もう少しで私を恐ろしい窮地へ突き落とすところだった。
学院は、なぜあの導師棟だけが学徒の自由な出入りを禁じられているのか、私たちへ詳しく説明してはいなかった。
けれど後になって、私はレオン導師へ直接尋ねたことがある。
導師によれば、その規則には学徒を保護する目的もあるらしい。
導師棟では、導師たちが未完成の魔法を研究したり、実演したり、試したりすることがある。
もし学徒が勝手に入り込めば、導師たちの研究を妨げるだけでなく、制御を失った魔法によって傷つけられる危険もあるという。
その説明を聞いた時、私は少し疑問に思った。
導師たちは導師棟の中で、互いに魔法を撃ち合ったりもするのだろうか。
するとレオンは、そうしたものの大半は、これから授業で教える予定の魔法か、現在研究中の術式なのだと説明してくれた。
導師たちは、それらの魔法が安全に使用できることを事前に確かめてからでなければ、学徒へ教えることができないらしい。
少なくとも、私が理解した説明はそのようなものだった。
いずれにしても、それは退屈ではあるものの、守らなければならない規則なのだろう。
……
そして今、かつて私をあの導師棟へ意図的に向かわせた金髪の少年が、練習場の中央に立っていた。
やはり、彼だったのだ。
ソルーン・ベル・グリエン。
私が近づいていくにつれ、その淡金色の髪は、人だかりの中でひときわ目立って見えた。
認めるしかない。
私の黒髪と比べれば、あのような髪色の方が、光族の間では遥かに好まれるのだろう。
しかし、練習場の後方に集まる見物人の半分以上が、どうして女学徒なのだろう。
まさかこの男は、彼女たちの前で自分の力を見せつけるために、わざわざこれほど多くの人を呼び集めたのか。
「ようやくお越しになりましたね、ペラルド閣下」
グリエンは私を見ながら、変わらず礼儀正しい口調で言った。
だが、その礼儀の中には、隠そうともしない挑発の色が混じっていた。
私は、かつて彼にわざと誤った道を教えられたことを思い出したばかりで、すでに不快な気分になっていた。
そのうえ、今のような口調まで向けられたことで、彼に対する嫌悪はさらに強くなった。
「お待たせしてしまい、申し訳ございません。グリエン閣下」
私は彼の前で足を止め、こちらも貴族の礼に従って軽く一礼した。
それから、わざと尋ねた。
「ですが、私たちは以前にもお会いしているのではありませんか?」
グリエンは、わずかに目を見開いた。
しかし、すぐに穏やかな微笑みを浮かべる。
その笑みは、私にはひどく作り物めいて見えた。
「私は、閣下とお会いした覚えはございません。おそらく、どなたかと見間違えておられるのでしょう」
その答えに、私は少し驚いた。
認めるつもりがないのか。
それとも、私のような者など、わざわざ記憶に留める価値もないと思っているのだろうか。
まあ、いい。
今ここで追及を続けても、意味はない。
私は周囲を見回し、口を開いた。
「練習戦を行うのであれば、学院の規則により、導師の監督が必要であるはずです」
そこで、わざと一度言葉を切った。
「まさか今回は、導師のいないところで、私たちだけで勝手に戦うおつもりでしょうか?」
私の言葉を聞くと、グリエンの目つきがわずかに鋭くなった。
しかし彼は、すぐに余裕のある表情を取り戻した。
「もちろん、そのようなことはいたしません」
彼は左手を上げ、見物人たちへ軽く合図した。
すると人々は左右へ分かれ、一人のやや大柄な中年の男が、その後方から姿を現した。
長い褐色の髪。
学院導師の正式なローブ。
その顔には、隠し切れない憂慮の色が浮かんでいた。
この顔は、二日前に導師棟の外で見たような気がする。
あの時、私へ声をかけてきた人ではなかったか。
ということは、この人がグリエンの所属する学級の導師――
イシス導師なのだろうか。
だが、どうしてこれほど心配そうな顔をしているのだろう。
まるで、自分の学徒が負けると、すでに決めつけているかのようだ。
自分の学徒の前で、少しの威厳すら感じさせない導師などいるのだろうか。
レオン導師とは、まるで違う。
レオンは普段、親切な兄のように穏やかである。
それでも、彼の前に立てば、導師としての確かな威厳を感じることができた。
「それでは、双方とも場内へ入りなさい」
イシス導師は、ゆっくりと告げた。
「そちらの初級学徒は、自分で開始位置を選んで構いません」
彼は私に向かって話しているはずなのに、その視線は私の姿を素通りしているようだった。
まるで、毎日繰り返される決まりきった手順を、ただ口にしているだけのようだ。
どうやら、この人は私が中級学徒にひどく打ち負かされるかどうかなど、気にしていないらしい。
それも当然か。
もし彼が何かを心配しているのだとすれば、それは自分の学徒が絶対に負けてはならないということだろう。
もっとも、私はまだ、どうすれば勝てるのかを完全には考えきれていない。
私は場内を見回した。
まずは、身体を隠せる場所を見つけなければならない。
グリエンの魔法がどれほど強力であっても、スレーおじさんの攻撃を上回ることはないはずだ。
最初の攻撃さえ凌ぐことができれば、彼へ接近する機会も残る。
前方にある金属の壁がよさそうだ。
その金属壁のすぐ隣には、それほど高くない台が設けられている。
台の上へ登るべきではない。
そこからなら場内全体を見渡せるだろうが、登った瞬間、グリエンにとって格好の標的になる。
ただ、金属壁を遮蔽物として使い、その陰から台の側面を回り込むことはできるかもしれない。
こちらには、開始位置を自由に選ばせると言った。
では、グリエン本人はどうするつもりなのだろう。
私は振り返り、彼を見た。
グリエンは依然としてその場に立ち、余裕に満ちた表情をしている。
位置を変えるつもりなど、まったくないようだった。
まさか、このまま場の中央に立って戦いを始めるつもりなのか。
彼の少し後方には、絶えず強い光を瞬かせている魔法陣がある。
なぜ、あの罠らしき魔法陣の近くに立っているのだろう。
あの魔法陣を利用して、私が接近する経路を妨げるつもりなのか。
ただ、彼の周囲には身を隠せる遮蔽物が一つもなかった。
その点だけは、私にとって大いに都合がよい。
グリエンがどれほどの魔力を持っているのかわからない以上、彼の魔法は私のものより強く、攻撃できる回数も私より多いと考えるべきだ。
遠く離れたまま、光弾や強光束を撃ち合えば、私に勝ち目はない。
接近しなければならない。
彼が中級学徒としての魔法の優位を十分に発揮するよりも早く、私の得意とする距離まで近づくのだ。
だが、考えれば考えるほど、自分の勝機があまりにも乏しいことを思い知らされた。
ああ、もう。
仕方がないぞ、ペラルド。
ここまで来たのなら、歯を食いしばって戦うしかない!
私は心の中で、そう自分を奮い立たせた。




