第七十五話 決闘
私が訓練場へ足を踏み入れると、前回使った区域に隣接する訓練場には、すでに人々が一列に並んでいた。
わざわざ顔を確かめるまでもない。
全員、私の同級生たちだ。
普段の授業では、これほど積極的な姿など見たこともない。それなのに今日は、戦いを見物するためだけに、こんな朝早くから全員集まっている。
その中には、エルノス嬢の姿もあった。
おそらく昨日、オスワルドは私より先に学院を出たあと、この練習戦のことを皆に言いふらしたのだろう。
まったく、あの男は。
今日お前が負けて恥をかいたとしても、それは自業自得だ。
私の知ったことではない。
今日の私は、ただお前と互いに光弾を撃ち合うつもりなどなかった。
光の障壁も、強光束も、明光術を使って視界を奪う方法も、すでにすべて考えてある。
お前を倒すために、十分な準備を重ねてきたのだ。
ただ……
眠い。
やはり昨夜は、あれほど遅くまで練習するべきではなかった。
ドワインがそばにいて注意してくれなくなると、こんなにも簡単に夜更かししてしまうものなのか。
私は両手で軽く頬を叩き、少しだけ眠気を追い払った。
場内へ進むと、以前使った岩の遮蔽物は、どれも見る影もないほど砕かれていた。
前回、私がそれらの岩を利用してファロへ接近するのを見ていたから、あらかじめすべて破壊しておいたのだろう。
たった一日の間に、わざわざここへ来て、こんなくだらないことをしたのか。
私は訝しく思いながら、場の中央に立つオスワルドを見た。
彼は腰に両手を当て、顔を上げている。
今日は、動きやすそうな軽装に着替えていた。
どうやら、頻繁に位置を変える戦いをするつもりらしい。
だが、問題はない。
私がこれまで訓練を受けてきた相手は、主星出身の王剣騎士たちだった。
接近戦なら、私も恐れていない。
「来るのが遅すぎるんじゃないか? 黒髪の者は、時間の感覚まで普通とは違うのかよ」
オスワルドが、いつもと変わらない侮蔑の口調で叫んだ。
傍らに集まった見物人たちの中から、ごく小さな笑い声がいくつか聞こえた。
この二か月をともに過ごし、私はもう、オスワルドを立派な貴族だとはまったく認めていなかった。
彼は、今まで私が出会った中でも、最も嫌いな人間の一人だった。
母上を殺したあの悪人たちを除けば、これほど誰かを嫌いになったことはない。
「これは誠に申し訳ございません、フィオラド家のアルヴィンド殿」
私は彼に向かって、軽く一礼した。
「あなたに相応しい戦いができるよう、準備に少々時間をかけてしまいました」
ここでは、もう一方的に引き下がるつもりはない。
「わざとらしく姓で呼ぶな! このクソガキが、いちいち貴族ぶった顔をしやがって。反吐が出る!」
オスワルドは怒鳴りながらハンカチを地面へ叩きつけ、さらに強く踏みつけた。
まるで、踏みつけているのがハンカチではなく、私自身であるかのようだった。
「では、始めましょう」
私はもう、お前を懲らしめたくて仕方がないのだ、オスワルド。
だが彼は、片手を上げて振った。
「そう焦るなよ、悪魔の子。これは練習戦なんだ。レオンもすぐに来るだろう。俺こそが一番優秀な学徒だってことを、あいつにも直接見せてやる」
レオン導師も見に来るのか。
それなら、それで構わない。
もともと、この練習戦は導師から許可されたものなのだから。
しかし、今この男は、私を何と呼んだ?
魔力とはまったく異なる何かが、激しい勢いで頭へ駆け上がってくるのを感じた。
「オスワルド。私は悪魔ではありません。悪魔の子でもありません。言葉には気をつけてください。エルノス家では、そのように教育されているのですか」
「俺の家を勝手に持ち出すな! 俺が家でどう教えられていようが、お前には関係ない!」
怒りを露わにする彼を見た瞬間、私はほんのわずかにおかしさを感じた。
お前のような者でも、自分の振る舞いを家の名誉や評判へ直接結びつけられるのは嫌なのか。
お前の両親は、礼儀というものを教えなかった。
だが、私の父上はまったく違う。
父上は、私に極めて厳しい要求を課してきた。
母上も、生前は真剣に私を教えてくださった。
真に貴族の礼節と品格を備えているのは、私だ。
お前ではない。
その時、レオン導師が訓練場へ入ってきた。
「二人とも、静かにしなさい」
彼は私たち二人を見回した。
「これは練習戦です。すでに準備ができているのなら、すぐに始めましょう」
そう告げると、レオンは空へ一発の光弾を放った。
あの光弾が花火のように炸裂した瞬間、戦いが始まる。
昨夜立てた計画では、私よりも速いオスワルドの魔法の放出に対処しなければならない。
だから戦闘が始まったら、まず自分の光の障壁を強化する。
その光の障壁で攻撃を防いでいる間に、目が眩むほど強い明光術を放ち、彼の視界を一時的に真っ白にする。
そこから、十分に強力な強光束を一発放ち、彼の防御を正面から貫く。
できることなら、その一撃だけで倒したい。
ぱんっ!
レオンが放った光弾が、上空で炸裂した。
戦いが始まった。
オスワルドは即座に両手へ光の魔力を集め、正面から私へ突進してきた。
走りながら、自らの身体を薄い光の障壁で覆っていく。
私も直ちに、光の光の障壁を展開した。
私の光の障壁は、彼のものより明らかに強固だった。
その光の障壁は、オスワルドが突進しながら放つ光弾を、すべて正面から受け止めた。
彼との距離が、急速に縮まっていく。
どうやら彼は、私のすぐ近くまで踏み込み、至近距離から光弾をぶつけて防御を破壊するつもりらしい。
彼の攻撃力なら、確かに私の光の障壁を破れる可能性はある。
だが、それも最初から計画のうちだった。
オスワルドは私の目の前まで迫ると、掌の光弾を光の障壁の表面へ直接押しつけた。
至近距離で爆発させ、一気に光の障壁を砕こうとしている。
しかし、その時にはすでに、私の左手には明光術を放つ準備が整っていた。
右手にも、十分な威力を持つ強光束を放つための魔力が蓄えられている。
その強光束は、普段の訓練で、スレーおじさんの光の障壁を破るために放つ一撃にも匹敵する威力だった。
オスワルド。
この一撃を、お前が防げるはずがない。
私の光の障壁の表面に、次々と亀裂が浮かび上がった。
今だ。
明光術を、直接こいつの顔へ放つ。
次の瞬間――
オスワルドは両手に再び光弾を集め、先ほどと同じ方法で、今にも砕けそうな私の光の障壁を攻撃しようとした。
だが、その動きはもう完全に読めている。
私は左手を勢いよく突き出した。
魔法灯の十倍はある眩い光が、彼の眼前で一気に弾けた。
それと同時に、私はわずかに顔を伏せて光を直視することを避け、彼が周囲を見失っている間に、素早く右へ一歩踏み込んだ。
オスワルドは慌てて光弾を放った。
そんな攻撃が、私に当たるはずがない。
固く目を閉じた彼の姿は、抵抗を諦めた岩角鹿の幼獣のようだった。
あとは、私の攻撃を受けるだけだ。
明光術の輝きが、次第に弱まっていく。
彼は、もうすぐ目を開ける。
だがその時、私はすでに右手を上げ、照準を定め終えていた。
「存分に味わってください」
私は右手の人差し指を伸ばした。
「これが、私が二か月間努力してきた成果です」
光の魔力が、細い電流のように幾重にも腕へ絡みつき、絶え間なく掌へ集まっていく。
これは、レオン導師から紹介された書物の知識だけで作り上げた術ではない。
レオン導師の教えを受け、私が本当の意味で身につけた魔法だった。
強烈な光によって、私の掌は明光術のように眩しく輝いている。
そこに集められた力のすべてが、指先の示す先へ解き放たれようと、激しく脈動していた。
放て!
私は、手の中で絡み合う光の魔力にかけていた束縛を解いた。
轟――!
光束は決壊した大河のような勢いで、オスワルドへ一直線に襲いかかった。
強光束が、彼の正面へ直撃する。
彼の光の障壁が砕け散り、防具も同時に裂けた。胸元には、光に切り裂かれた数本の血の筋が走った。
この攻撃の威力をさらに倍に高めていたなら、おそらく彼の皮膚も肉も大きく裂けていただろう。
少し、やりすぎただろうか。
いや、もう私の勝ちだ。
これ以上、戦いを続ける必要はない。
私はレオン導師の方を見た。
彼はすでに右手を上げている。練習戦の終了を宣言しようとしているのだろう。
私は構えを解いた。
オスワルドの方をもう一度見ることもなく、身を翻して導師のもとへ歩き始めた。
しかし、その次の瞬間――
背後から飛来した一発の光弾が、私の光の障壁を打ち砕き、その勢いのまま私の身体を撃ち抜いた。
重い衝撃が、背後から私を激しく打ち据える。
まるで巨大な鉄槌を、いきなり背中へ振り下ろされたかのようだった。
凄まじい痛みに、危うく声を上げそうになった。
身体が大きく前へ揺らぎ、私は数歩たたらを踏んだ。
この卑劣な男。
光の障壁はすでに砕かれ、身体にも傷を負っている。
戦いはもう終わったはずなのに、それでも攻撃を続けるのか。
しかも、私の背後から不意打ちをするなど――。




