第六十九話 成果発表
私が受けている授業は、ほかの学徒たちの半分ほどしかない。それでも、魔法学院での学習は、想像していたよりもずっと楽だった。
もしかすると、これまで家で組まれていた訓練が、あまりにも隙のないものだったのだろうか。
本当は、ほかの学徒たちが普段、学院以外でどのように魔法の勉強をしているのか、尋ねてみたかった。
けれど最近は、彼らと話す機会が次第に減っていた。
隣の席に座っている貴族令嬢のエルノスでさえ、今では簡単に挨拶を交わすだけになっている。
最近の私は、彼女のノートを借りて復習することもなくなっていた。
人を助けることがあれほど好きな彼女は、誰からも助けを求められなくなったら、寂しく感じたりするのだろうか。
とはいえ、私はすでに、彼らが以前に学んだ内容を身につけている。確かに、今さらノートを借りる必要はなかった。
ともかく、学院へ通い始めてからというもの、時間が過ぎるのが本当に早く感じられた。
そして来週には、丸一か月にわたる授業の成果を示すため、簡単な魔法対抗戦が行われることになっていた。
これは、私が最も楽しみにしていた行事だった。
なにしろこれまで、私が対戦訓練をしてきた相手は、どれも私より一段どころか、いくつもの段階を上回る恐ろしい者たちばかりだったのだ。
自分と同じ水準にいる者――同じ初級魔法学徒を相手に戦ったことは、まだ一度もない。
今回こそ、これまで積み重ねてきた訓練の成果を、存分に試すことができる。
深夜、私は以前レオン導師から推薦された『光束の分裂』を閉じた。
導師が言っていた通り、この本は本当に理解するのが難しい。
指先から放つ最も単純な強光束でさえ、光はあれほど真っ直ぐに、ほんの一瞬で前方へ突き進んでいく。
それをどうすれば、二本や三本の光束へ分裂させ、異なる方向を同時に攻撃できるというのだろう。
しかし本の内容によれば、魔力の出力を高めながら、同時に光の魔力を完全に制御しなければならないらしい。
さらに、自分の光の魔力と、すでに放たれた魔法とを共鳴させ、それによって放出後の魔法を完全に操る必要がある。
その感覚は、自分の身体から、光でできた腕が一本生えてくるようなものらしい。
そのうえで、その光の腕を力ずくで分裂させるのだ。
私の頭と同じくらい大きなこの本は、最初の数ページを理解するだけでも、頭が痛くなってくる。
ただ最近になって、私はこの本にもう一つ、不思議な使い道があることに気づいた。
本を開いて、ほんの数段落読むだけで、すぐに眠くなるのだ。
眠るように何度も促してくるドワインや、子守歌を歌ってくれるユーナよりも、はるかに効果がある。
ただ残念なのは、この本を学院の外へ持ち出せず、ヴィスカルロに滞在している間しか読めないことだった。
それも学院の規則らしい。
だから私は、残る二か月の間に、この本を最後まで読まなければならない。
とにかく、毎日少しでも多く読み進めよう。
そして授業のあとに時間があれば、レオン導師に尋ねて、詳しく説明してもらえばいい。
そんなことを考えているうちに、私は少しずつ眠りへ落ちていった。
……
一週間後。
魔法対抗戦の当日。
レオン導師が決めた組み合わせによって、私はセントルーン出身のファロと戦うことになった。
セントルーンは、ソル星でも名高い騎士の都市である。
私の印象では、ファロはとても朗らかな性格をした少年だった。年齢は私より一つ上だ。
岩石を思わせる、褐色がかった黄色の短い髪をしている。
レオンの生徒たちの中では、魔法の腕前はあまり優れていない方だったが、私は彼の人柄をそれなりに気に入っていた。
少なくとも、オスワルドのように無礼ではない。
いったい、どちらが貴族なのだろう……
心の中でそんなことを呟きながら、私は自分の衣服を整えた。
今日の対抗戦が無事に終われば、学徒服の胸元に、光沢のある小さな銀章を一つ付けることができる。
最初の等級に与えられる、ごく初歩的な銀章にすぎない。
それでもこれは、私がカルロ家の名にかけて手に入れなければならない、最初の栄誉だった。
ファロよ。
どうか、私を恨まないでほしい……。
レオン導師に従い、私たちは学院西側の奥深くにある対戦場へ向かった。
一枚の結界を越えた瞬間、目の前に広がった光景に、私は思わず感嘆の声を漏らした。
この学院は、私が考えていたよりも、はるかに広かったのだ。
戦闘用の区画だけでも、大型戦闘場が三つ、小型戦闘場が五つに分かれている。
その総面積は、学院の主要区画そのものよりも、さらに広いほどだった。
これでは、レシュオン閣下の屋敷にも匹敵するのではないだろうか……
周囲には高い壁がそびえ立ち、その外側は光の護盾によって隙間なく包み込まれていた。
さらに護盾の表面には、私がこれまで見たことのない符文がいくつも浮かんでいる。
あれは何だろう。
封印術なのだろうか。
封印術といえば、以前ドワインから聞かされた話を思い出す。
母上はかつて、名高い封印魔法師だったという。
いつの日か私も、母上が使っていた封印術を扱えるようになるのだろうか。
レオンは私たち二十名の学徒を連れ、中央にある小型戦闘場の一つへ入った。
どうして大型の戦闘場を使わないのだろう。
参加する人数が少ないからだろうか。
私はレオンに直接尋ねなかった。
最近わかったことだが、私が何を口にしても、オスワルドは必ず何かしら欠点を見つけてくる。
それなら黙っておいて、レオンと二人で話せる機会が来た時に尋ねた方がいい。
レオンは、対抗戦の規則を簡単に説明した。
その後、全員に一人ずつ、頑丈な光の護盾を展開していった。
規則は単純だった。
先に護盾を破壊された者が、敗者と判定される。
私は戦闘場の中を見渡した。
場内には、巨大な岩石を組み合わせて作られた遮蔽物が、いくつか配置されている。
私は頭の中で、すぐに戦い方を考え始めた。
まずは少しずつ相手へ接近する。
十分な距離まで近づき、確実に命中させられると判断したところで、可能な限り素早く複数の光弾を連続で放つ。
そして、護盾の同じ一点へ攻撃を集中させる。
それでも護盾を破れなかった場合は、いったん遮蔽物の後方へ退き、最大威力の光弾を一発だけ練り上げて、そこから反撃する。
「では、始めましょう。ペラルド、セントルーン。君たち二人が最初の対戦者です」
私はファロを見た。
ファロもこちらを見ていたが、かなり緊張している様子だった。
これは、私が手に入れなければならない最初の栄誉なのだ。
悪いが、譲るわけにはいかない。
とはいえ、貴族である私が、当然守るべき礼節を怠るわけにもいかなかった。
私はゆっくりと彼の前まで歩き、軽く一礼した。
「ファロ殿。どうぞよろしくお願いいたします。願わくば、光明神が我らに光の力をお授けくださいますように」
「わ、わかった。先に言っておくけどな、ペラルド。俺が勝っても、ずるをしたなんて言うなよ!」
額にはすでに薄く汗が浮かんでいる。それでも彼は、自信に満ちたような笑顔を作っていた。
もう言葉まで少しつかえている。
いったい、どこからその自信が湧いてくるのだろう。
いいだろう。
それなら、こちらも全力で戦おう。
「もちろんです!」
私も、自分なりに精いっぱい朗らかな笑顔を返した。
その後、私たちはそれぞれ、戦闘場の両端へ向かった。
互いに使う遮蔽物を決め、配置につく。
それを確認したレオンが、片腕を掲げた。
次の瞬間、彼の号令が響いた。
戦闘が、始まった。




