第六十八話 導師
波乱に満ちた一日目を終えたあと、私は学院の門前へ向かった。
そこにはすでに、レシュオン邸の執事が私を待っていた。
この一日は、私が想像していたよりもずっと長かった。
けれど同時に、とても多くのものを得られた気がする。
たった二つの授業しか受けていないはずなのに、この数か月の間、スレー、ハンク、そしてドワインの三人に従って積み重ねてきた訓練の成果を、十分に発揮することができた。しかも、その上でさらに一歩、先へ進むこともできたのだ。
それを嬉しく思わないはずがない。
執事に従って屋敷へ戻ると、予想通り、屋敷の中は相変わらず広く、どこか空っぽに感じられた。
私はわざわざマリエル夫人を訪ね、今日学院で起きたことを彼女に話した。
けれど、彼女は特に驚いた様子を見せなかった。
私を慰めるような言葉もなく、ただ静かに、今日一日に起きたことを最後まで聞いてくれた。そして明日も引き続き励むようにとだけ言った。
一方のリリロット夫人は、体調があまり優れないらしく、部屋から出てこなかった。
屋敷の使用人たちによれば、夫人はもうすぐ出産を迎えるかもしれないという。
レシュオン閣下は、もうすぐ父親になるのだろうか。
それは本当に喜ばしいことだ。
その時には、きっとまた賑やかな集まりが開かれるのだろう。
今度ドワインたちが来る時は、ユーナも一緒に連れてきてくれるといい。彼女が最近どれほど料理の腕を上げたのか、皆にも見せてほしい。
私はもう、少しだけ彼女の作る菓子が恋しくなっていた。
それからの数日間、私は一日目と同じように、執事に連れられて学院へ通った。
午前中だけ魔法の授業がある日もあれば、午後だけ授業がある日もあった。
いずれにせよ、私が想像していたよりもずっとゆったりしている。
そしてその空いた時間を使って、私はレオン導師に、学院内で私が入ってはいけない場所がどこなのか、また蔵書館には私が学んでもよい本がどれほどあるのかを尋ねた。
そうした細かな規則は、すべてしっかり覚えておかなければならない。
少なくとも、規則を破ることだけは避けたい。
それに何より、あのクレ……何とかいう老人に、再び人前で叱られるのだけは絶対に嫌だった。
あれはレオン導師の面目を潰すことにもなるし、レシュオン閣下の名誉にも関わる。
もっとも、私にすべてを完全に守り切る自信があるわけではなかった。
ある日、午前の授業が終わり、私が帰ろうとしていた時だった。
ちょうど教室の外の廊下でレオン導師を見かけたので、私は彼を呼び止めた。
「尊敬するレオン導師!」
レオンは振り返ると、少し困ったような表情を浮かべた。
美しい金髪がわずかに垂れ、彼の目元を隠している。
「ペラルド。毎回そこまで丁寧に呼ばなくても大丈夫ですよ。レオンで構いません」
本当に親しみやすい人だ。
私は思わず笑みを浮かべた。
「せめて導師とは呼ばせてください。レオン導師」
「わかりました……」
彼は軽く息をつき、それから尋ねた。
「それで、何かありましたか。先ほどの授業で、わかりにくいところでもありましたか?」
「いいえ。あなたの解説と説明は、いつもとても明快でわかりやすいです。特に今日の内容については、光の魔力を少しずつ圧縮し、一条の線へ整えていく原理を、私は完全に理解できたと思います」
その言葉を聞くと、レオンの顔にあった困ったような表情は、柔らかな微笑みに変わった。
私の目には、彼は想像していた魔法導師という存在よりも、むしろ親切な兄のように見えた。
「そうですか。それは光栄です。強光束は、すでに中級学徒の水準に入る内容ですからね」
彼はそこで、少し言葉を止めた。
「レシュオン閣下のお話では、あなたは帝国の黄金魔法師を目指しているそうですね」
「はい。それが我が家の目標でもあります」
厳格な父上から、何度もそう言い聞かされてきたことだ。
私はその目標に、特に不満を抱いてはいなかった。
成長できるなら、それでいい。
「では、あなた自身の考えはどうですか。戦闘技術もかなり優れていると聞いています。騎士の道については、考えたことはありませんか?」
「ありません、導師。私の目標も、立派な魔法師になることです」
「あなたには才能があります。ですがペラルド、あなたの今の光魔法の水準だけで言えば、まだ長い努力が必要です」
そこまで言うと、レオンの表情は非常に真剣なものになった。
けれど、私はそれを怖いとは思わなかった。
「はい。そこでお尋ねしたかったのですが、もし今お時間があるようでしたら、蔵書館にある本の中で、次に私が学ぶのに適したものを教えていただけませんか。前回あなたが推薦してくださった魔法書は、すでに読み終えました」
「三日しか経っていないのに、もう読み終えたのですか?」
レオンはわずかに目を見開き、それから困ったように笑った。
「わかりました。では次は、ヴィスカルロ出身の女魔法師、エルセーン・オーロラが著した『光束の分裂』を読んでみるとよいでしょう。この本は、あなたが今後中級学徒の段階へ進み、さらに強光束を使いこなすうえで、大きな助けになるはずです」
「ありがとうございます! 努力して研究いたします」
「焦らなくていいですよ、ペラルド。その本は理解するのが難しい。それに、魔法で最も大切なのは基礎を固めることです。今後どのような攻撃術式を学ぶにしても、その前にまず、光の魔力を呼吸のように自然に扱えるようにならなければなりません」
「はい。必ずご教示に従います。それでは、執事が迎えに来てくれていますので、私は帰ります。明日またお会いしましょう、レオン導師」
「また明日、ペラルド。光明神のご加護がありますように」
私はレオン導師へ礼をして別れを告げると、執事に従って屋敷へ戻った。
一方、自分の生徒と別れたあと、レオンは一人、学院の奥にある導師専用棟へ向かって歩いていた。
その道すがら、彼はここ数日のペラルドの様子を思い返し、心の中で感嘆せずにはいられなかった。
まさにレシュオン閣下が約束した通りだった。
あの黒髪の少年は、努力を惜しまない、まっすぐで率直な子供である。
それは、ほかの貴族子弟とは異なる点だった。
そして、十分に育てる価値のある才でもあった。
ソルヴィアにある宗家邸から戻り、自室に入った直後、リリロットはすぐに執事へ命じ、ヴィスカルロ魔法学院と連絡を取らせた。ペラルドを入学させるためである。
同時にレシュオンは、自らの貴族としての人脈を用い、ある若い教師を探し出した。
彼はつい最近まで、とある貴族子弟の家で家庭教師を務めていたが、そこを離れ、魔法学院へ職を移してまだ間もない人物だった。
聞くところによれば、彼は新興貴族の家の空気に馴染めなかったため、職を解かれたのだという。
その指導実績は、常に非常に優れていたにもかかわらず。
そして、いわゆる新興貴族の多くは、ほぼ例外なく光明教派と関わりを持っていた。
だからこそ、彼は自然と、カルロ家が密かに引き寄せるべき対象となったのである。
レシュオン邸の執事が、レシュオンの親筆の手紙をこの若い教師へ手渡した時、貴族家での職を続けられなくなったことに落ち込んでいたレオンは、深く心を動かされた。
彼はその丈夫な掌で、ほのかに光を帯びる手紙を、何度も撫でていた。
そしてその後、執事へ一つの言葉を託した。
自分は必ず、全力でペラルドを教え導く、と。
聞けば、あの黒髪の少年は、十年前にルミナス主星で名を知られていた封印術の女魔法師の子だという。
今のところ、彼が何か特別な能力を持っているようには見えない。特定の魔法に対する特殊な親和性を示しているわけでもない。
それでも、魔法技術を努力して探究する意志さえあるのなら、少なくとも貴族社会においては、立派な魔法師となる機会は必ずある。
いずれ彼も、カルロ家の家業を継ぐのだろう。
願わくば、ヴィスカルロで何かを成し遂げてほしい。
レオンはそう考えながら、明日の授業をどのように組み立てるべきか、静かに思案し始めた。




