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キングス・ワールド  作者: 昂 あきら
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第六話 凶報

【龍の領域、剣心境界】果てしなく続く黄金の草原は、人々を眩惑させることはなく、賞賛の心と敬仰の気持ちが生じるほど輝いている。その草原の上に横になると、全身が輝きに包まれていることを感じ、すべての悲しみや悩みを忘れて、栄光が満ちている黄金色の一部になる。


 空は十二個の元素の色を表す星で照らされ、十二個が互いに魔力の糸で接続されてさまざまな奇妙な星座を形成している。それらの星座の中央には6個の赤くて大きい星で構成される六芒星がある。さらにその中心にあるのは時間と空間を表す弧と円も接続されている六つの星で作られた。この距離の計り知れないほどの魔法陣はこの境界を維持しているだろう。


 金色の草原の上空には、一見無限に広がる浮遊島があり、この浮遊島の周りにも無数の巨大な浮遊島がある。これらの島はもともとドラゴン族の領土だった。




 パーリセウスは滅世帝・ソロムネスを封印した後に創世帝になり、彼が創造した「剣心境界」と龍の領域にあるこれらの浮島を一つに統合した。つまり、「剣心境界」さえ展開できれば、創世帝はいつでもどこでも即座に十二億もいるドラゴン族の兵士を召喚できる。龍帝を含める精鋭部隊は塵世に置いてどれも万夫不当の勇士であり、さらに守護神の護衛となる元素の神々も宿っているという噂がある。


 空にある六芒星魔法陣の下にあるこの最大の島では、さまざまな元素によってもたらされる風景が見える。青い露に覆われた緑の草、白い氷柱の上に赤い炎が照らす。褐色の土地に様々な色の石が綺麗に並んで道を形成した。稲妻の玉を遊ばせる何匹もの銀色の「遊龍」。穏やかな風が吹くこの蒼い雰囲気が満ちる風景の絵には、星から発せられる黄色の光が幻のように飾り付けている。ドラゴン族ではないが「幻獣」と「闇の生霊」もこの境界で暮らしている。そして「無」という元素は元から世界を充填している。


 浮遊島の中央には、十二元素の色を表す湖がある。各湖は宝石のように透明で明るく、対応する元素の強力な魔法の力を醸し出している。十二湖が囲む空き地の中で、塵世最大の宮殿が築かれている。そして最後の要塞とも言える。


 宮殿の全体はゴールド色で覆われており、周囲をよく見ると、ドラゴンの息吹のような銀色の輝きが漂っている。宮殿の入り口にいる二匹の警備員となるドラゴン族のエリート戦士、「剣背龍」。ドラゴンの血が凝縮された十二本の長い剣が彼の体内から広い背中に恐ろしく突き刺しており、風切り音や眩しい光がその剣の鋭さを表している。彼らの目には深い軽蔑が満ちているが、一瞬のたるみもなく宮殿を守っている。


 


 突然、宮殿の前の道路に小さな氷のとげが突き刺さる。続いてもっと多くの氷のとげが「カラ、カラ」と突き刺さり、硬い石を突き抜けて大きな円を形成し、そしてどんどん魔法陣が形に形成された。


 最後の氷棘が突き刺しをすると、魔法の輪が一瞬にして非常に明るくなり、周囲に冷たい空気が吹き込まれた。体全体が白い氷の彫刻のように純粋で、グラシューの体は薄れゆく光から現れた。魔法陣の光が消えた後、グラシューは少し破損した鎧を着ている姿に戻った。


 それから彼は宮殿の門まで少し速く歩いた。二頭の剣背龍は片方の膝にきちんとひざまずき、呪文を唱えた。


「氷帝が勝利し、すぐに創世帝に知らせよ。」


 ドアはゆっくりと開いた。


 しかしグラシューは終始無言で、剣背龍のお礼も無視し、ドアに直接足を踏み入れた。ドアはグラシューの後ろで再び閉まり、「ドカーン」と分厚い門が閉まる音が広い宮殿の中で響いた。


 グラシューは立ち止まって周りを見回した。すでに何回も「創造の神殿」に来たことがある氷帝でも、再度この宮殿の華麗さに感服する。




 宮殿全体の主な色は金色で、他の色は基本的にカーペット、シャンデリア、階段の手すり、ドアや窓の色、さまざまな色の宝石だ。門から奥の階段まで、赤いカーペットが敷かれている。そのカーペットの縁に金の糸で各色の宝石が巻かれ、上では金の糸で多くのルーンが縫い付けられて規則的に配置されている。


 天井のシャンデリアは少し肌寒いように感じるのは、純粋な氷で彫られたからだ。しかしランプ本体では、燃える炎が激しく燃えている。なぜ氷が溶けないのか、なぜ炎が消えないのか不思議だけど、恐らく創世帝の魔法が影響しているのだろう。


 ホール全体で最も印象的なのは、階段の上の踊り場にある純粋な金色の神像だ。守護神の神像から神々しい雰囲気と淡い光が階段から床まで全体に広がっている。左右の6つの窓には、宝石で作られた彫刻がこの神の壮大な背景を記録している。右の窓には樹海や湖のような自然風景が描かれている。そして右の第三の窓に跪く若い男子がいる。銀色の鎧を着ている彼の背中にはドラゴンの模様が彫刻された巨剣を負っている。


 第四の窓には黄金の神像と同じように、白いクロークを着ているのは守護神だろう。体から灰色の魔力が周囲に発散していて、リングのようだ。細い左手が男子に何か渡すような姿勢でとても慈愛に溢れている。


 左の扉には各種魔法陣や十二元素などの記号が描かれている。真ん中の第三、第四窓はまるで本のようで古き文字で一行ずつ丁寧に書かれている。不思議だがその文字からも魔力を感じられる。人々はこの魔力が海のように包まれて、神殿で神の保護を祈っている。




 踊り場で立つグラシューはひざまずいて神像にポールトル族へのお礼をして敬意を表した後、起き上がって二階に至る反対側の階段を踏んだ。一階と同様に、窓やインテリア、神像があるが、この階層は先とはまた雰囲気が違う。グラシューは再び神像のほうに行き、ひざまずき、敬意を表した後、三階に上がった。


 もちろん、三階も似たような飾り付けだ。




 最後の十二階の階段で、グラシューは最後の一歩を踏み出し、すぐにひざまずいて礼拝した。彼はそのまま頭を下げて「創世帝様」と言った。それから彼は頭を玉座のほうに向けた。


 ホール中央の銀色の玉座にパーリセウスは金色の鎧を着ており、彼の周りの空気は魔法の力の衝撃によって震えていた。長い黒髪に兜を被っている。兜の上に彫刻されたドラゴンがしゃがんでいる。ドラゴンの口から吐く魔力はパーリセウスの全身を包み込んでいた。白い玉のような繊細な顔は神の傑作であり、彼の冷たい目つきには威厳が満ちている。凡人では近づけられないような様子だ。発散している属性のない魔力は威圧的な王者のオーラを引き立てていた。


 グラシューは再び頭を下げる。


「失敗しました…」


 これを聞いた後、創世帝は右手で頭を支え、グラシューの更なる報告を待った。氷帝は頭を下げたまま、震える声で言った。


「ソロムネス!ドムはまだ彼の力を持っています。私はそれに抵抗することはできませんでした。そして彼は…」


 パーリセウスは話の途中に激しく玉座のひじ掛けを叩いた。グラシューもそれによって話を中断した。


 その一瞬、パーリセウスの魔法の力で激しい嵐が起こり、グラシューが即座に解放した氷蓮の花びらが粉砕された。攻撃すら届かない魔力の振動で自分の最強の防御技を破られたなんて、グラシューの身体は少し震えた。


 パーリセウスは立ち上がり、全身の鎧がカシャカシャと音を立てた。


「ソロムネス?!なぜ!あの封印は彼の力を完全にブロックしなかったのか?ドムの体にはあの大戦の後すでに破壊の力を失ったはずだが」


 パーリセウスの殺意が神殿内に魔力の海を転がっていた。


 グラシューは背中から彼の氷骨剣を引き出した。「極氷の骨・ノール・グラスーの懲」という技で巨剣から氷蓮のような刃が広げられ、そして刃全体から広がる寒気は人間の声のようにささやく。


 そしてグラシューは剣を地面に突き刺す。


「ドムを止めるため、極氷騎士団全体を率いていきます。ドムにはまだソロムネスの力がありますが、残りは少なく、この度は間違いなく彼らを殲滅します。そしておそらくドムは闇の領域に行き、ソロムネスの封印を破って解放させるでしょう。現地にいる「月夜の軍団」と手を結べば、ドムたちの獣軍団は間違いなく破壊されます!」


 グラシューは自信を持って創世帝のほうに見た。


 だが、パーリセウスは嘲笑した。


「この問題は光の領域の「隠光の軍団」に任せて解決するとしよう。」


 グラシューはその言葉に驚いたがすぐに頭を下げる。


「この度、極氷騎士団は間違いなく蛮炎の軍団を打ち負かします。氷の領域に威厳を示す機会を与えてください。」


 話を終え、彼は再び頭を上げたが、迎えたのはパーリセウスの冷たい目だけだった。創世帝が隠光の軍団を差し遣わす決心をしていることが分かった彼は、それでも氷域の名誉を考えた上で再度申請した。


「申し上げます、極氷騎士団を予備軍として使うようにお願いします。」


 しかし返事はなかった。


 グラシューは歯を食いしばった。


「創世帝様、失礼しました。」


 それから彼は魔法の輪を広げて氷の領域にテレポートした。


 パーリセウスは、玉座の後ろの踊り場にある少女のような守護神の神像の前でひざまずき、いくつかの呪文を唱えた。


 そうすると神像から突然巨大な光が発せられ、ホール全体を飲み込んだ…

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