表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
67/69

第六十六話 初めての授業

 レオンの講義は、ドワインの説明よりもずっと明快で、わかりやすかった。


 たとえば、最も基礎的な攻撃手段である光弾についての説明がそうだった。


 彼が私たちに求めたのは、ただ闇雲に手の中へ魔力を集めることではない。


 可能な限り、一筋一筋の魔力の流れを把握することだった。


 その感覚は、無数の触手を同時に伸ばし、空中に漂う煙を集めていくようなものだった。散らばった魔力を少しずつ寄せ集め、収縮させ、やがて一つの完全な球形へと凝り固めていく。


 ドワインがかつて私に教えてくれたのは、まず掌から光の魔力を放出し、それから泥団子を握るように形を整える方法だった。そのやり方は、比較的簡単にできる。


 けれど、レオンの教える方法で作り上げた光球は、明らかに密度が違っていた。


 それは、一筋一筋の絹の布を幾重にも巻き重ねて作った布球のようだった。厚く、緊密で、内側に確かな力が満ちている。


 見た目だけは光の透過性を保っているのに、内部は空気と変わらないほど空っぽだったこれまでのものとは、まるで違っていた。


 私はその変化を興奮しながら感じ取り、思わず両手で光球を転がすように扱ってしまった。


 左手から右手へ光球を移し、さらに右手で高く掲げる。そこから掌に沿わせてゆっくりと落とし、最後に左手で形を保ったまま、胸の前へと持ち上げた。


「ペラルド。その扱い方は危険ですよ」


 レオンの注意は、やや厳しかった。


 私は仕方なく、手の中の光球をきちんと構え直す。


 確かに、これは明光術とは違う。明確な攻撃魔法なのだ。


「では、次は手の中の光弾を操作し、遠くの的を狙って攻撃してみましょう。同時に攻撃できるのは五人までです」


 レオンはそう言いながら両手を振るい、薄絹のような光を教室の床と壁一面に広げていった。


 これは、教室を保護しているのだろうか。


 正直に言えば、家でドワインに指導されながら練習していた時よりも、ずっと慎重だった。


 もし何かを壊してしまえば、専門の職人に修理を頼まなければならない。


 それなのにドワインは、そういうことをまったく気にしていないように見える。普段は貴族としての規則や作法にあれほど厳しいのに、こういう時になると何も言わない。


 不思議だ。




 すでに五人が、レオン導師の指定した位置へ先に立っているのを見て、私は光球を両手に抱えたまま、後ろへ回って順番を待つことにした。


 レオンは左手で、五枚の巨大な円形石板を指し示した。


 それぞれの石板の中央には、目標点として明るい星形の石が嵌め込まれている。


 その星は、どうやら何かの宝石を彫って作られたものらしい。透き通るように澄んでいて、淡い青の光輪を放っていた。


「忘れてはいけません。皆さんが手の中で制御している光の魔力は、まず身体の制御下から、魔力でそっと、少しずつ切り離していく必要があります。オスワルド、急ぎすぎです! ファロ、あなたの光球は維持する魔力が足りません。このままでは形が崩れますよ!」


 五人の狙いを同時に見守りながら保護することは、もしかするとレオンにとって限界ではないのかもしれない。


 だが、その五人に同時に光弾を正しく撃たせるとなると、さすがにかなり難しそうだった。


 幸い、この練習なら私はすでに百回以上やっている。


 鏡を見なくてもわかる。


 きっと今の私の口元は、得意げに少し吊り上がっているはずだ。


「よろしい。では、切り離しの最終段階では、それを別の場所へ漂わせたり、地面へ落としたりしてはいけません。魔力で光弾を押し出しなさい。同じく強い光の魔力で、それに衝撃を与えるのです。覚えておきなさい。魔力運用が完璧に近い者ほど、放たれる光弾は本来の速度と威力を発揮します!」


 レオンはなおも根気よく、前に立つ五人へ光弾の撃ち方を教えていた。


 その言葉は、スレーとハンク、二人の元王剣騎士が言っていたことを思い出させた。


 自身の魔力運用を完璧に磨き上げた者だけが、放つ魔法の速度、威力、そして範囲を真に極限まで高められる。


 そしてその過程は、私の一生に付き従う修行になるのだという。


 それは、終わりのない戦いであり、努力だった。


 けれど私は、終わりのない戦いを嫌いだとは思わない。


 そこには、確かな成長を感じられるからだ。


 自分が成長できるという事実だけで、私は十分に嬉しくなれる。


 もっとも今は、それよりも早くレオン導師に見せたくてたまらなかった。


 毎日何十回も練習し続けてきた成果を、彼に見てもらいたい。




 ああ、前の五人がようやく光弾を撃ち出したようだ。


 光弾が石板へ命中した瞬間、しゅぱっ、と軽い音が響いた。


 しかし、それらの光弾は水晶に触れた途端、まるで中へ溶け込むように消えていった。


 なるほど、あれは魔力を吸収できる宝石なのか。


 以前、家にあった百科事典のような本で、そういうものの説明を読んだことはある。けれど実物をこの目で見るのは初めてだった。


 魔法学院に、こんな珍しいものまで置かれているとは思わなかった。


 次は、私も参加しよう。


 そう思い、私は急いで光弾を構え直した。


 的に命中させた生徒が位置を離れると、私はすぐにその後へ続こうとした。


「入学したばかりで、もう自分の魔法を見せびらかしたいのか? お前は端に寄ってろよ。俺たち先輩が教えてやるからさ」


 振り返ると、案の定、そこにいたのはオスワルドという、あの黄色い髪の面倒な少年だった。


 私は彼と関わりたくなかった。


 それなら、彼とその隣の者を先に行かせればいい。


 どうせ手の中の光弾を維持する程度なら、私にとって大した魔力の消耗にはならない。




 その時、私の隣にいたエルノス嬢も、黙ってオスワルドと同じ線上に立ち、的へ狙いを定めた。


 彼女も、ほかの同級生たちも、どうやらオスワルドの性格にはすでに慣れているらしい。


 魔法学院の低級学徒なら、彼らもまだ入学してそれほど長くはないはずだ。


 それなのに、もうこんなにも慣れてしまったのだろうか。


 それとも、ヴィスカルロではこういう雰囲気が普通なのか。


 私はその場に立ったまま、自分だけがここから浮いているような空気について考えた。


 けれど、これは私自身が望んで決めた入学なのだ。


 そして、私が初めて自分で下した決断でもある。


 それに、たった数時間の間に、私はすでに自分の成長を感じている。


 だから、あの面倒な少年のことなど無視すればいい。


 彼は、見たところ私より数歳は年上のようだけれど。


 私は前に並ぶ生徒たちが、一人ずつ練習を終えていくのを見ていた。




 そしてついに、私の番が来た。


 私はほかの三人とともに、レオン導師が光で区切った線の後ろに立ち、ゆっくりと左手を掲げた。


 同時に右手を伸ばし、左手の照準を補助する。


「深呼吸だ、パーリセウス」


 これは、スレーおじさんが教えてくれたことだ。


 狙う前に深呼吸すれば、照準はより安定する。同時に魔力の錬成速度も上がり、光弾が手を離れた後の速度も速くなる。


 そして、今はレオンがさっき教えてくれた方法も使わなければならない。


 幾重にも光の魔力を包み込んだこの光弾に宿る力を、一息にすべて撃ち出す。


「いいですよ、ペラルド。そろそろ手から放ちなさい」


 レオンがそばで私を励ました。


 その言葉に、私は背中を押された気がした。


 その期待に応えなければならない。


 行け!


「はっ!」


 私は声を上げた。


 掌に込めた魔力が一気に力を放ち、制御された光弾を、弓弦に番えた矢のように弾き出す。


 その光弾は、ほかの誰よりもはるかに速く飛んだ。


 ぱん、と音が響く。


 光弾は、いつもの練習と同じように、正確に的の中心へ命中した。


 ただ、普段の三倍近い魔力を込めた光弾であっても、練習の時のように的を破壊することはなかった。それは宝石に吸い込まれるように消えていく。


 だが消える寸前、その光弾が放った輝きは、まるで彗星が空を横切るように、教室全体を照らし出した。


 よし。


 私は練習の成果を完全に形にできた。


 そして、レオン導師の教えにも応えられたのだ。


 振り返ったらそこに拍手している者がいた。


 レオンと同じように、頷いて称賛してくれる者もいた。


 私の胸にも、強い喜びが湧き上がる。


 その感情は噴水のようにあふれ、胸の内側をいっぱいに満たしていった。




「さて、皆さん、とてもよくできました。いったん席へ戻ってください。最後の注意事項を説明したら、この授業は終わりにしましょう」


 レオンは手を叩き、私たちを席へ戻らせた。


 次は、どんな授業なのだろう。


 私はもう、期待せずにはいられなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ