第五十八話 宴席
前回の戦闘訓練から、すでに数日が過ぎていた。スレーとハンク、二人の騎士が正式に我が家へ来て、私の教師となったあと、家では小さな宴が開かれることになった。
食卓の上には、珍しいご馳走が並べられていた。品数こそ決して多くはないが、ソル星を代表する名物料理は、おおよそ揃っているように見える。
たとえば、祭りの日にしか口にできない蜜炙りの魅天鵞。その肉は白く、きめ細やかで、炙られた皮目の脂は淡い金色の艶を帯びる。蜂蜜と香草、そして少量の塩晶で漬け込まれるのが普通らしい。焼き上がった魅天鵞は、外皮がほのかな黄金色に輝き、刃先で軽く切り開くと、熱気とともに甘い香りと鳥肉の脂がふわりと立ち上る。誰もが手を伸ばしたくなる、まさに極上の主菜だった。
それから、私が特に頼んでおいた炎日花の茎の和え物もある。花茎の外側はわずかに赤く、内側は瑞々しく、噛むとほのかに甘い汁が口いっぱいに広がる。和え物にすると、そこへ淡い辛みと香りが加わり、面白くて、しかも美味しい料理になる。しかも今回は、どうやらユーナの手によるものらしい。
湯気を立てる食花獣の濃厚スープは、執事の得意料理であり、父上の大好物でもあった。食花獣は炎日花、白蜜草、そして岩の隙間に生える香苔を食べて育つため、その肉にはもともと花の香りが宿っている。濃厚なスープに仕立てると、色は乳白に淡い金を帯び、味わいは重厚でありながら、生臭さはない。もっとも、私には少し濃すぎるようにも感じた。
ほかにも、岩角鹿の若肉の厚切りや、晨翼鳥のパイ包みなど、二人の騎士の好みに合わせて用意された料理が並んでいた。
私は普段、自分の部屋で食事を取ることが多い。だから今日、こうして皆と同じ食卓でこれらの料理を味わえることが、本当に嬉しかった。普段なかなか同じ席に着いて食事をする機会がないからだけではない。この屋敷へ移ってからというもの、こうして落ち着いて一食を楽しむこと自体が、すでに珍しいことになっていたからだ。
数日前にレシュオン家を訪ねた時、もし相手の引き留めに応じてあちらで食事をしていれば、きっと今日よりさらに豪華な料理が出ただろう。けれど、私はこれだけで十分に満足だった。
それに、今日は勉強をしなくていい。
家の使用人たちが私たちのために主菜を等しく取り分けたあと、彼ら自身も私たちと同じ料理を分けてもらえる。ただし、部位だけは少し違うようだった。
宴の前に、父上はいくつか言葉を述べた。けれど私の耳に入ったのは、ほんの断片だけだった。「家族の再興のために」とか、「先祖の遺徳」とか、そんな言葉である。私の心はすでに食卓の上へ飛んでいて、早く思いきり食べたいということしか考えていなかった。
私は手にしたフォークを慣れた手つきで扱い、肉を口に運ぶたびに広がる満足感と、好物の野菜がもたらす清々しい甘みを、存分に味わった。
執事は他の使用人たちのように席へ着くことはなく、ずっと脇に立ち、父上と二人の騎士のために酒を注いでいた。時折こちらへ来て、私の杯に搾りたての果汁を注ぎ足してくれる。
彼はお腹が空いていないのだろうか。
どうして早く食べないのだろう。
我が家には、主人と使用人が一緒に食事をしてはいけない、などという堅苦しい掟はない。これは、かつて母上が言っていたことだ。
とはいえ今は、そこまで気にしている余裕もなかった。
私はまだ、目から光の魔力を放つ技術を身につけてはいない。けれど、食卓に並んだ魅力的な料理を眺めている今の私の目は、きっと光っていたに違いない。私はユーナおばさんが横から、よく噛んでゆっくり食べるようにと注意しているのも気にせず、次々に美味しいものを口へ運び続けた。
彼女は、私に「お姉さん」と呼ばせてはくれなかった。
本人によれば、年齢は父上とそれほど変わらないらしい。子供はいないそうだが、彼女の私への接し方は、なぜか母上がまだそばにいた頃の日々を思い出させた。まるで彼女自身が、心のどこかでもう母親になっているかのようだった。
宴は二時間も経たないうちに終わった。
ただ、酒と食事がひと通り済んだあとも、父上は二人の教師ともう少し話をするつもりらしかった。彼らはそのまま食卓に残り、まるで茶会でも始めるように、落ち着いた様子で話し続けている。
そして私は、ようやくその隙を見て大扉の外へ抜け出し、庭で少し遊ぶことができた。
何をして遊ぼうか。
すでに夜だったが、庭に置かれた球形の灯の中には、一晩中輝き続けるに十分な光の魔力が満ちていた。そのおかげで、私は庭の隅々までよく見ることができた。
庭はまだ完全には修繕されていなかった。塀際には、いくらか砂混じりの土が残っている。それでも全体としては、昔ルミナス主星にあった我が家の庭にかなり近くなっていた。
もちろん、こちらは縮小版ではあるけれど。
青々とした大木が塀の外に整然と並び、赤や紫の小さな実をつけた枝が庭の内側へ伸び込んでいる。遠くから見ると、まるで天然の緑の壁のようだった。整えられた芝生には石畳の小道が敷かれ、その脇には丸い灯がいくつも立っている。
こうした、光族の中ではやや伝統寄りの庭の造りは、母上が好んだ静かな雰囲気そのものだった。
もっとも私の中では、母上はいつだって活気に満ちた人だったけれど。
何をして遊ぼうか。
あの砂で城でも作ろうか。
けれど私はもう七歳だ。前に六歳の誕生日の時、砂で城を作ったら、父上に幼すぎると叱られたことがある。
その後、母上は私を庇ってくれた。息子は将来、必ずカルロ家の正統を継ぎ、家をさらに大きくしていく。城とは、まさにその野心の象徴なのだ、と。
そのせいで、最後には父上と母上が言い争いになってしまった。
母上……
私は石畳の段差の上に立ち、あの砂をぼんやりと見つめていた。
その時、不意に頬へ冷たい感触が走った。
私は慌てて袖の内側で顔の水気を拭う。もし誰かに見られたら、また何を言われるかわからない。
顔を拭き終えたその時、私は塀の外に、私と同じくらいの年頃の子供が二人いることに気づいた。二人はじっとこちらを見ていた。
近所の子供だろうか。
私は執事と一緒に周囲の家々へ挨拶に行ったことがない。だから当然、その子たちのことも知らなかった。
「見て。あの人の髪、夜なのに光らないよ」
「本当だ。あんな人、初めて見た」
二人の遠慮のない声を聞いて、私は昔、母上に連れられて公園へ行った時のことを思い出した。あの時も、周りの子供たちが私に似たようなことを言ったのだ。
それも無理はない。
光族の肌は黄色恒星の光を浴び、たいてい淡い白さを帯びる。そして髪の色は、主に体内の基礎魔力が親和する元素に対応しているため、多くの者は金色から茶色、あるいは赤みを帯びた髪をしている。
私や母上のような黒い髪の者は、極めて珍しい。
だから、見た者が驚くのは仕方がないのかもしれない。
けれど今回は、彼らの声にどこか違うものを感じた。
それは、私がこれまで味わったことのない、とても遠いところから届くような感情だった。
私は少し不安になった。
それでも、その場に立ったまま動かなかった。
まるで、少しでも私が動けば、彼らはさらに私を品定めするかのように思えたからだ。
しかし、私が何もしなかったからといって、彼らの言葉が止まるわけではなかった。
「ねえ、あの人って光族なのかな?」
「絶対違うよ! 僕、ソルヴィアの街を全部見て回ったことがあるけど、黒い髪の人なんて見たことないもん!」
その会話を聞いた瞬間、私は思わず一歩後ずさった。
わからなかった。
ただ私の髪が、彼らの髪のように暗い夜の中でかすかに光らないというだけで、私が光族であることまで否定されるのか。
母上が他の種族だったなどという話も、私は一度も聞いたことがない。
私が何か言い返そうとした、その時だった。
老執事が階段を下りてきて、嬉しそうに声をかけてきた。
「坊ちゃま、探しておりました。二人の騎士殿が、この数日の坊ちゃまの上達ぶりを大層褒めておられまして……。坊ちゃま、こちらで何を?」
言いかけた途中で、彼は私の視線の先を追った。
そして、塀の外にいる、私を指差しながら何かを言い続けている二人の子供を見た。
私が口を開くより早く、ドワインは黙って私の手を取った。そしてそのまま屋敷の中へ向かって歩き出した。
その後、彼は大扉を重く閉めた。
私と彼は、しばらく無言で向き合っていた。
彼の表情は、どこかひどく重かった。
けれど少しすると、彼はまたいつもの笑みを作り、静かに言った。
「もう遅い時間でございます。坊ちゃまは湯浴みを済ませて、お部屋でお休みになりましょう。もちろん今夜も、坊ちゃまのお好きな英雄譚をお聞かせいたしますよ!」
そう言うと、彼は私の手を引き、階段の方へ歩き出した。
私は喉の奥に何かが詰まったようで、声が出なかった。
けれど、はっきりと感じていた。
執事は、さっきから今に至るまで起きたことを、私に説明するつもりがないのだと。
私はただ黙って、彼についていくしかなかった。
何かを考えていたのかもしれない。
あるいは、何も考えていなかったのかもしれない。
そうして私は、眠る前にすべきことを、ただ順番に済ませていった。




