11ー7 世界樹
11ー7 世界樹
そこは、暗闇の拡がる世界だった。
あたしたちは、高台に立っているようだった。
眼下には、暗い森のようなものがあり、そのさらに奥。
かなり遠い場所に白く光輝く天までも届く巨大な樹が見えた。
「あれが世界樹?」
あたしたちが崖の上から見下ろして呟いた時、背後でばたん、と音がして扉がしまった。
「扉が!」
マリカさんがか叫んで扉に駆け寄る。
と。
扉がすぅっと闇に溶けるように消えていった。
「これで世界樹に行く以外にもとの場所に帰る方法はないってことかな?」
グリエ君がふぅっと息を吐く。
メイアがあたしに頷くと体がぐにゃりと歪んで、輪郭が拡がっていく。
その場には、銀色の美しい毛並みのフェンリルの姿が現れた。
「え、えっ?」
マリカさんが驚きの声を上げる。
グリエ君は、さほど驚く様子もなかった。
「これなら世界樹までは、すぐに行けるね」
あたしたちが地に伏せたメイアの背につかまるとメイアが立ち上がり崖の上から飛んだ。
吹き付ける風にあたしたちは、振り落とされないように体を低くしてメイアの毛を握ってしがみつく。
メイアは、空を蹴って空を飛ぶ。
金色の星が輝く夜空には、虹色のオーロラが拡がっていて美しく辺りを照らしていた。
輝く夜空を銀色の影が走る。
顔を上げると遠くに見えていた世界樹がどんどん近づいてくるのがわかった。
世界樹に近づくほどに辺りの風景は荒廃していった。
森は消え、木々は枯れ、草も生えない黒い大地が拡がっている。
その枯れた大地の中心に白く光輝く世界樹が聳えていた。
世界樹の影に入ったあたしたちの前に闇の獣が立ちふさがる。
暗闇の色をした巨大なゾウの群れがあたしたちに気付くと咆哮を上げ、大地を踏み鳴らす。
『これ以上は、進めない!』
メイアの声が聞こえてフェンリルが足を止める。
ひらりとグリエ君が飛び降りると叫んだ。
「ここは、僕が残る!チカは、先に進んで!」
「グリエ君!」
あたしがグリエ君を振り向いているとマリカさんも飛び降りる。
グリエ君と見つめ合うとマリカさんは、微笑んだ。
「マリカさん!」
メイアが走り出す。
あたしは、残された2人の方を見た。
マリカさんが『聖女の錫杖』を大地にたてると白い光が辺りに溢れた。
闇の獣たちが一瞬怯む。
その隙にグリエ君が目を閉じて何か呟く。
すると。
グリエ君の全身が金色の光に包まれた。
全身を金色の鎧に包まれたグリエ君が拳を繰り出すと闇の獣が吹き飛ばされた。
『あの2人は、大丈夫です!』
メイアの声が聞こえる。
「じきに世界樹につきます!辺りに気をつけてください!」
あたしは、頷いて前を見た。
白い光に包まれた大樹の幹が目の前に立ちふさがっている。
それは、美しい光景だった。
頭上に枝を広げた世界樹は、ほとんど葉が落ちて枯れかけているように思われた。
ひらひらと落ちる葉は、白く輝きを纏いまるで雪のように降り注いでいる。
メイアが足を止めた。
大樹から光が分かたれて何体もの魔狼が姿を表すのが見える。




