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11ー6 扉

 11ー6 扉


 『西の魔女』は、あたしたちをミルカリアの城の地下にある何かの神殿のような場所に案内した。

 そして、あたしたちを集める。

 あたしと『聖女の錫杖』を持つマリカさん、それにグリエ君は、お互いの姿を見て吹き出した。

 それは。

 あたしたちがデューラ・ダンジョンの演習に行ったときと同じ格好。つまり、ジャージ姿だったから。

 いや!

 あたしとマリカさんは、ジャージでも驚かないけどまさかグリエ君までジャージとは!

 「チームジャージ、再集結だね、チカ」

 グリエ君がにこっと笑う。

 中央に立っている『西の魔女』が低い声で何かを呟く。

 その瞬間!

 ジャージ姿のメイアが飛び込んでくる。

 「何を!」

 『西の魔女』が短い声を上げ、あたしたちは、闇に飲み込まれた。

 

 「ここ、は?」

 地面に投げ出されたあたしにメイアがひっしと抱きついている。

 「置いていかないでくださいませ!チカ様!」

 「メイア・・」

 あたしは、メイアの頭をそっと撫でた。

 辺りを見回す。

 地面に倒れているマリカさんとグリエ君が呻き声を上げながら起き上がる。

 「何があったんだ?」

 辺りを見回すとそこは、青い花が咲き乱れる湖の畔の草原だった。

 「・・カリスプールの城?」

 遠くに見える城の尖塔にあたしが呟くと頭上から声が降る。

 「そうよ、ここは、カリスプールの城」

 見上げると『西の魔女』がじっと一点を見つめて立っていた。

 視線の先には。

 泉の底の朽ちかけた扉。

 やはり、あそこが入り口なんだ!

 あたしは、メイアと共に立ち上がる。

 「あそこが・・世界樹への入り口?」

 「ええ」

 『西の魔女』が頷く。

 「今までに屈強な騎士たちや学者で構成された調査団や、ジークナー公爵が世界樹へと向かって扉の中へと入っていったけれど、誰も戻ってはいないわ」

 マジで?

 あたしたちは、息を飲んだ。

 泉の底にある扉からは、濃厚な魔素が漏れ出ているのが感じられている。

 「あなたたちもあの中に入ればただではすまないかもしれない。それでも気は変わらないかしら?」

 『西の魔女』の問いにあたしたちは、お互いの顔を見合わせる。

 最初、不安げだったかもしれないけど、あたしたちは、すぐにお互いに頷きあった。

 「あたしたちの気持ちは変わらない!」

 あたしは、『西の魔女』に告げた。

 「あたしたちは、行くから!」

 たとえ誰に止められようとも。

 あたしが泉の底を目指して歩き出すとメイアも続く。

 すぐ後をグリエ君とマリカさんも追ってくる。

 あたしは、朽ちかけた木の扉のノブに手をかけると『西の魔女』を見上げる。

 「行ってくる!」

 ノブを回す。

 扉がぎぃっと軋んで。

 そして。

 ゆっくりと開く。

 中から冷たい夜の空気が漏れ出してくるのがわかった。

 あたしは、みんなの顔を見回す。

 「行くよ!みんな!」

 「はいっ!」

 「おおっ!」

 あたしは、頷くと扉の中へと足を踏み入れた。

 

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