10ー8 夕食
10ー8 夕食
しばらくしてエドワードさんが部屋を訪れた。
「そろそろ夕食だぞ」
「は、はいっ!」
あたしは、普段着のジャージに着替えてくつろいでいたのだが、養父母との夕食用の服に着替えるためにジャージを脱ごうとしていた。
「お前、変わった服を着ているな」
エドワードさんが側によてきてじろじろとあたしが着ているジャージを眺める。
「ほどよく体の線が出てるし、動きやすくていい。クリスティアのローブよりずっといいな」
エドワードさんは、あたしに訊ねる。
「そのジャージ、1つもらえないか?」
あたしは、持ってきていたジャージを1つ差し出した。
「サイズは、大丈夫かと思いますが、もし気に入られればルミナ商会に頼んでオーダーメイドで作ってもらえますが?」
「その時は頼む」
エドワードさんは、ジャージを持って部屋から出ていった。
去り際に彼は、あたしとメイアに告げた。
「夕食のために着替えは不要だぞ、チカ」
そうなの?
というわけであたしは、ジャージのままで夕食の用意されている食堂へと向かった。
食堂へは、エドワードさんではなく別の茶髪の美少年侍従が案内してくれた。
食堂で席について待っている間、行き交う侍従たちを見ていたが、なんか、妙に顔面偏差値が高い少年ばかりだった。
これてもしかしてクリスティアさんの趣味?
だから、黒竜であるエドワードさんの人化の姿があの少年なのかな?
あたしは、なんだか覗いてはいけない大人の世界を覗いてしまったような気がしていた。
夕食時。
あたしと向かい合った席についたクリスティア様は、あたしがエドワードさんに渡したジャージ姿だった。
「なんか、これ、動きやすくていいけど・・恥ずかしい・・です」
ぽっと頬を染めているクリスティア様。
ローブでない姿になると金髪に青い瞳をした美少女だ。
しかも。
「なんだか胸元がきつい・・」
クリスティア様は、胸元を少し開いてジャージを身に付けていた。
というのもお胸が。
あたしは、ちょっと悔しいような気持ちになっていた。
あたしに比べるとクリスティア様は、出るとこが出てるし!
これが大人の魅力?
ジャージの裾を引っ張りながらもじもじしているクリスティア様を目を細めて見つめているエドワードさん。
「クリスティアは、こういう服の方がやっぱ映えるな!」
向き合って座っているあたしとクリスティア様の食事の給仕は、それぞれメイアとエドワードさんが行う。
あたしたちは、お互いのことを話した。
「私は・・ほんとは『東の魔女』になんてなりたくはなかった・・でも、他にふさわしいとされる人がいなくて・・しかたなく・・」
クリスティア様が食後にお茶を飲みながら話した。
それまでも人を避けるようにして暮らしていたというクリスティア様だったが、『東の魔女』になってからは、周囲に人が集まるようになったらしい。
「うんざりしていたの・・みな、『東の魔女』の利権を求めるものばかり。それで・・城ではなくこの場所に住まいを移したの・・」




