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10ー7 一目惚れ

 10ー7 一目惚れ


 クリスティア様は、子供の頃から内気だったらしい。

 人と話すより魔術の研究をする方が楽しい子供だった。

 そして。

 気がつくと『西の魔女』の弟子の1人になっていた。

 「数年前に先代の『東の魔女』が姿を消してしまって・・変わりに私が『東の魔女』になることになってしまったんです」

 「はぁ・・」

 あたしは、たどたどしいクリスティア様の話を目を丸くして聞いていた。

 「で?なぜ、ドラゴンの人と婚約を?」

 「その・・このエドワードは・・」

 クリスティア様のゆっくりとした語りにいらつきを隠せないエドワードさんが口を挟む。

 「俺は、昔、俺のことをクリスティアが討伐に来たのに、一目惚れしたんだよ!」

 昔。

 といっても数年前のこと。

 『東の魔女』が治めるクリエスタの辺りに黒竜が現れた。

 街を守るために『西の魔女』が弟子の1人であるクリスティア様に討伐を命じて。

 「それで・・その時、エドワードに出会って・・プロポーズされて・・」

 クリスティア様が仄かに頬を赤らめる。

 「私、そんなの初めてで・・とりあえず婚約を前提としたお付き合いをすることになって・・」

 「要するに、だ。俺がこいつの使い魔になったってことだよ!」

 「そうなんですか・・」

 あたしとメイアは、呆気にとられていた。

 エドワードさんは、クリスティア様の隣にどかっと腰を下ろすと足を組んで偉そうに告げた。

 「そういうわけで、俺たちがあんたの養父母になるってこと。わかったか?娘よ」

 あたしは、頭が混乱するのを感じていた。

 この2人があたしの新しい養父母?

 てか。

 形だけとはいえ、ほんと、信じられない!

 突っ込みたいことが山ほどあるし!

 「なんでも聞きたいことがあればいってみろ、娘よ」

 ソファにもたれてクリスティア様の肩に手を回して微笑むエドワードさんを見てあたしは、怒ればいいのか、笑えばいいのかわからなくなってしまう。

 『西の魔女』は、なぜ、あたしの養父母にこの2人を選んだのか?

 いや!

 もっと他にも候補はいたんじゃないの?

 でも。

 あたしは、そんなことを2人には言えなくて。

 「これからよろしくね、チカ様・・いたらない親だけど・・」

 「何、言ってんだよ!クリスティア!」

 エドワードが声を上げた。

 「いたらないのは、俺たちじゃなくて、こいつだろ?」

 あたしは、硬直していた。

 この2人が義理の両親?

 ぜひ、お断りしたいかも。

 しかし。

 全ての事情を知っている『西の魔女』が選んだ養父母だ。

 あたしに断れるわけがない!

 「よろしくお願いします、クリスティア様、それにエドワード様」

 あたしがぺこりと頭を下げるとクリスティア様とエドワードさんは、にっこりと笑った。

 それからあたしは、クリスティア様に客室へと案内してもらった。

 ベッドに倒れ込むと目を閉じる。

 もしももとの世界にい父母がきけば卒倒ものである。

 「なんで?わたしたちがいるのに養女って?」

 とか言われそうだし!

 ほんとに長い間、連絡したくても遠慮もあってなかなか連絡できなかった父母の顔が思い浮かぶ。

 「ほんとに、厄介そうなことになってきましたね、チカ様」

 荷物をほどきながらメイアが呟く。

 「ほんとに」

 ただの便宜上の養父母なのに!

 あたしは、黒髪の幼い少女の顔を思い浮かべてため息をついた。

 

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