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10ー6 養父母

 10ー6 養父母


 扉を叩くとぎぃっと静かに扉が開いて小柄なローブ姿の女の人が現れた。

 髪の色ととかは、フードを深く被っているのでよくわからないが、俯き加減の表情は、すごく絶望している雰囲気がある。

 「あの・・『東の魔女』様にお取り次ぎいただけますか?チカ・ヤツハシ・ジークナー公爵令嬢が来たといえばおわかりかと」

 「あ、あの・・」

 女の人は、おどおどとしながらあたしたちを室内へと導いた。

 戸口から入ると広い玄関と廊下があり、天井には煌々と魔道灯が灯されている。

 というか。

 なんだかこの家は、外から見る感じに比べると広いような気がする。

 「こちらへ・・」

 女の人が先にたって歩き出す。

 あたしは、ちらりとメイアをうかがった。

 メイアがこくりと頷き先にたって歩き出したのでその後に続く。

 女の人は、長い廊下の先にある広々とした応接室へとあたしたちを通すとソファをすすめる。

 あたしは、礼を言ってソファに腰を下ろした。

 メイアは、油断なく室内を見回すとあたしの背後に立った。

 あたしたちを案内してきた女の人は、部屋の扉を閉めるとあたしの正面のソファに腰を下ろしてフードをとる。

 中からは、長い藁色のぱさぱさした髪と金色の瞳が現れた。

 それは、王族の色だ。

 「もしかしてグリノア殿下の関係者?」

 あたしが問うと女の人は明らかに挙動不審者となる。

 「あ、あの・・わたしは・・グリノア様の叔母にあたります・・クリスティア・レアル・ラフニノフと申します」

 ええっ?

 あたしとメイアは、顔を見合わせた。

 『東の魔女』が王族?

 なんで王族が魔女なんかになってるの?

 あたしが問いかけようとするとクリスティア様があたしに頭を下げた。

 「この度は、甥が大変なことをしでかして・・まことに申し訳ございませんでした」

 「そんな!」

 あたしは、まだ頭を垂れているクリスティア様におろおろしてしまう。

 「そんな!頭を上げてください!」

 「はぁ・・」

 クリスティア様は、ふっくらした頬を赤く染めている。

 なんだかグリノア殿下の叔母さんにしては若い気がして首を傾げてしまう。

 「あの・・私の年のことなら・・今年で27になります」

 「えっ!」

 思わず声を上げてしまう。

 だって、叔父さんと同い年だし!

 王族でしかもその年齢。

 なのになんでそんなにビクビクしているの?

 あたしが考えていると部屋の扉が開いて黒髪の10才ぐらいの美少年がお茶を運んでくる。

 少年は、無言であたしたちにお茶を給仕するとクリスティア様の背後に立った。

 妙にきつい眼差しの少年にあたしが驚いているとクリスティア様が顔を赤らめる。

 「私のこと・・『西の魔女』からお聞きでしょうか?」

 はいっ?

 クリスティア様をじっと見つめるあたしに彼女は、もじもじしながら話した。

 「私、実は、この侍従のエドワードと婚約していまして・・」

 「婚約?」

 あたしは、少年とクリスティア様を交互に見た。

 どう見てもかなりの年の差があるようなきがするけど。

 「あの・・エドワードは、こんな姿をしておりますが、実は・・ドラゴンの一族でして・・年齢なら、57歳になります」

 「はぁ・・」

 あたしが驚いているとクリスティアの背後の少年が口を開いた。

 「だから!お前の養父になるのはこの俺だってことだよ!」

 はいっ?

 あたしがぱちぱちと瞬きするのを見てクリスティア様が弱々しく声を上げる。

 「エドワード・・この方に乱暴な言葉使いをしてはいけないわ!」

 「はいはい。わかってるって」

 エドワードという少年が肩をすくめる。

 「これから義理とはいえ親子になるんだし。優しくしてやればいいんだろ?」

 

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