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10ー5 山小屋

 10ー5 山小屋


 あたしとメイアは、東の街、クリエスタに向かっていた。

 そこは、国の4つの柱の内の1人である『東の魔女』が治める街だ。

 あたしたちは、ランディーノが御者をつとめる馬車でクリエスタを目指していた。

 東に向かうにつれて空気が冷えてくるのを感じた。

 クリエスタは、カリスプールやミルカリアに比べてずっと寒いらしい。

 夏は、ごく短い。

 秋から冬にかけては雪に封じられるその街にあたしの新しい養母となる『東の魔女』がいる。

 あたしは、メイアに訊ねてみた。

 「『東の魔女』ってどんな人かな?」

 あたしにきかれてメイアが明らかに動揺するのがわかった。

 メイアの動揺は、あたしを不安にした。

 もしかして『西の魔女』以上にヤバイ人なのかな?

 まあ、『西の魔女』は、ちょっと怖いけどいい人だし!

 あたしがそう思っているとメイアがゆっくりと口を開いた。

 「わたしもよくは知らないのですが」

 メイアの言葉にあたしは、耳を傾ける。

 メイアは、いつもよりも重々しい感じで言葉を紡ぐ。

 「『東の魔女』は、変わり者だそうです」

 変わり者?

 あたしは、首を傾げる。

 問いかけるような目をメイアに向けるとメイアは、まごつく感じでもごもごと答える。

 「まあ、わたしもよくはわからないのですが」

 メイアが1つ咳払いをした。

 「噂では、『東の魔女』は、ほとんど人前に現れることがないとか」

 なんでも、『東の魔女』は、クリエスタの街の現領主でありながら城には近づきもしないんだとか。

 1人で街から少し離れた山里にある屋敷にこもってひたすら魔術の研究をしているらしい。

 「よくそんな人があたしのことを引き受けてくれたんだ」

 あたしが他人事みたいに言うとメイアが声をひそめる。

 「なんでも『東の魔女』は、『西の魔女』に弱みを握られていて逆らえないんだとか」

 そうなの?

 あたしは、瞬きを繰り返す。

 弱みを握っている相手にあたしのことを頼むなんて。

 不安しかないし!

 あたしがそう思っているとガクン、と馬車が傾いだ。

 なんだか道が急に悪くなり馬車ががくがくと揺れる。

 どうやら馬車は、山道を進んでいるようだ。

 しばらくがたがたと揺れながら進んでいた。

 数十分、山の中へと進んでいくとようやく『東の魔女』の屋敷が見えてくる。

 それは、こじんまりとした山小屋という感じの建物だった。

 山から切り出した丸太を組み合わせて造ったような屋敷、というよりも小屋感が強い。

 あたしは、数日、『東の魔女』と過ごすことになっていたが、正直、不安になってくる。

 こんな小屋で3人も数日間、一緒に暮らせるのかな。

 そう思っている内に到着しあたしは、ランディーノに手をとられて馬車から降りた。

 メイアが眉をひそめる。

 「ここが本当に『東の魔女』の家なのですか?」

 「そうだと思うのですが・・」

 ランディーノが困ったようにあたしたちを見た。

 とりあえず、あたしたちは、その山小屋の扉を叩いた。

 

 


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