10ー4 休暇
10ー4 休暇
舞踏会の後、魔法学園は、長期休暇に入る。
あたしがグリエ君に婚約破棄されたことを心配してアンナさんが翌日、家に会いに来てくれた。
あわてふためいて飛んできてくれたアンナさんは、あたしの顔を見て、ホッとした様子で胸を撫で下ろしていた。
「よかった。なんか、心配してたんだけど、思ったより元気そうでホッとしたわ」
あたしは、アンナさんを部屋に招いて話した。
メイアが用意してくれたお茶を飲みながらアンナさんがくるっと目を回す。
「ほんと、同じチーム内で婚約破棄やら婚約やら。新しい学年が始まればまた学年ごとのダンジョン演習があるっているのに大丈夫なのかしら?」
あたしは、アンナさんから視線をそらして俯く。
あたしたち、チームジャージは、新しい学年に上がってからも一緒に活動することにしていた。
それがまさかこんなことになるなんて!
「やっぱチームは、解散かな」
アンナさんが残念そうに言うのであたしは、どういえばいいかわからなくて。
世間的には、グリエ君が悪者になっているがあたしだって別に被害者なわけではない。
あたしは、最後に見たときのグリエ君とマリカさんのことを思い出していた。
2人とも、なんだか申し訳なさそうだたし!
なにより胸が痛むのは、グリエ君の悲しげな、悔しげな横顔だった。
こんな感じで婚約を破棄するのはあたしたちの本意ではなかった。
それを婚約破棄してくれたのは、グリエ君の優しさだ。
後ろ楯のないグリエ君にとっては、ただの公爵令嬢であるあたしと婚約するよりも教会の聖女であるマリカさんと婚約する方がずっと価値があった。
しかも、叔父さんは、婚約破棄後もグリエ君の後見をしていくつもりだと言っていた。
それでも。
やはり、あたしたちが元通りの友人同士にもどることはできないに違いない。
最悪、あたしたちのチームは、あたしとメイアとアンナさんの3人だけになるかも。
でも、アンナさんは、もう、その話はしなかった。
あたしたちは、しばらくヨゼフさんの新しい発明品である通信に使える魔道具の話をした。
アンナさんは、あたしに巻き貝の形をした魔道具を1つ渡した。
「これでいつでもチカと話ができるわね」
そして、アンナさんは、あたしに見送られて去っていった。
まだまだ話していたかったけど、あたしが急ぎの用があったのではやめに切り上げてもらったのだ。
あたしは、休暇中にいくつか片付けておかなくてはならない事案があった。
おおまかに言えば2つ。
1つは、あたしのあたらしい養母となる人に挨拶にいくこと。
もう1つは。
『幻獣の国』のこと。
今、叔父さんと『西の魔女』を中心として『幻獣の国』の調査が行われている。
その調査が終了したらあたしは、叔父さんたちと一緒に世界樹を探して『幻獣の王』を目覚めさせに行かなくてはならない。
『幻獣の王』
あたしは、旅の荷造りをしている手を止める。
かつて『幻獣の女王』が愛した人。
だけど。
彼が眠りについてからあまりにも長い時が過ぎてしまった。




