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作戦会議

「いやぁ…驚きました…。まさか燈夜くんが…その、主犯、いや…脱走の“お手伝い”をしていたなんて…」

嶺亜の部屋。嶺亜から話を聞いた高科がおどおどと感想を漏らした。高科からしてみれば、機密レベル最上位の人物を逃がしておいて翌日普通に出勤をするなど考えも及ばない行為だ。

「何もしてなくても挙動不審のお前とは大違いだな?爪の垢を煎じて飲ませてもらえ。汚ねー。」

「でも、そのぉ…、よくわかりましたね?あの二人が繋がってるなんて…」

「お人形ちゃんとすれ違った時によ、こっち見て笑ったんだ。」

今まで嶺亜が見ていたのは何をしても眉一つ動かさない“無”そのもののF‐369だった。

連れ戻された後も多少反抗的な顔はしていたが、あんな人間じみた笑顔をするとは思わなかった。

そんな笑顔を向けるのは、F‐369にとって、燈夜が特別な人物だからだ。

「その、…よく燈夜くんを見て笑ったってわかりましたね?」

「は?俺とあいつしか居なかったんだからあいつしか居ねぇだろ。」

「あ…嫌われている自覚は…あったんですねぇ…ぁあ!すみません!すみません!!」

嶺亜のデスクから投げられる物から逃げ惑う高科。二人を止めたのは扉をノックする音だった。

「お待たせしました。」

入って来たのは、燈夜と彼に連れられた流輝だった。

「おー、来たか。悪いなカノジョちゃん。そいつが巻き込んでも良いって言ってたから力借りるぜ。文句は彼氏に言いな。」

「俺たち、幼馴染なだけです。」

「言ってろ言ってろ。カノジョちゃん、名前は?」

呆れた様子の燈夜の言葉も嶺亜は気にする様子も無い。

「流輝です。あの…海陸を助けれるかもってホントですか?」

「俺にとっては通過点。ついでだ。」

嶺亜の考えを読めず、互いに顔を見合わせる燈夜と流輝。高科だけは何か知っているのか、心配そうに目を泳がせながら全員を眺めている。

「道筋は一緒だが俺はお前らより高いところを見てる。元お人形…海陸だっけ?あいつを助けるのがゴールじゃねぇ。俺の見る高みまで来るってんなら、奴らに色々いじられる前に取り戻してやるよ。…どうする?」

燈夜は既に心を決めていた。無言で頷く。その燈夜を視界に入れず、嶺亜だけを真っ直ぐ見返して流輝も意思を示した。

「やります!」

「良い返事だ。燈夜、流輝に海陸と蒸都の事、話してあるだろうな?わかってる前提で話すぞ。上のカス共は早々に海陸を元通りのお人形ちゃんにして安定供給に戻したい。エネルギー残量気にしながら生きるのが嫌だからな。」

流輝もここへ来る前に全て聞いている。理解をした上で嶺亜の話に耳を傾け、頷く。

「俺の読みでは海陸が医務室から出されるのはもうちょい後の予定だったんだがな。楊震の野郎、人形転がしが上手いヤツを手駒に持ってやがる。こうなると調整に持ってかれるまで時間が読めねぇ。そこで、だ。流輝。お前毎日声を拾え。奴らは証拠が残るから文面のやり取りはしない。反応するべきは“F‐369”、“適合者”、“調整”。特にこの三つだな。」

流れるように進む展開を聞き逃すまいと、余計な言葉を挟まずにただ受信する。

「燈夜。お前、信用出来るやつで排気口とか配管詳しいやつ捕まえろ。まずリストアップして俺に渡せ。高科、俺の宿題は?」

「へ?燈夜さん、三日以内って…!」

「納期設定されたらそれより早くに納めろよ。だからお前いつまで経っても補佐なんだよ。」

嶺亜の言葉にぐうの音も出ない高科。眉尻が下がる一方だ。

「私も、そのぉ、もうすぐ…子供が生まれますので…あまり激しく行動して睨まれたりしてしまうとぉ…」

「ガキを言い訳にすんな。生まれてくるガキに胸張れる生き方しろバカ。」

「うぅ…」

嶺亜は泣きそうな高科に目もくれず燈夜と流輝に向き直る。

「ここまではお前らと同じ道だ。ここからは俺が見てる高みだ。頷いたからには戻れねぇからな。」

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