夜明け前の真実
「たぶん、朝の6時だよ。」
「そう……。」
突然の来訪に驚きを隠せなかったが、彼はどうやら何時に何をしに来たかは理解しているようだった。
「この前の質問に……、ちゃんと答えようと思ってね。」
お茶をした時のことを言っているのだろう。
確かに、あの時の答えは分かりづらい。
「この世界が不完全だから、霧崎君が生きてる……って言ってたこと?」
「そう。そういえば。」
降りかえって、こちらを見る。
「今日は予定とか、なかった?」
朝いきなり来たかと思えば、こういう風に相手の予定を聞いたりするのだ。
私は彼が、他人への配慮をするのかしないのか、わからないでいた。
「あー、うん。それは、大丈夫。」
「そう……、これから向かうのは学校だ、それも、中庭。」
中庭……?
「以前、朧月さんとあった場所だよ。」
「そういえば、そうだったわね。」
あの時は確か……。
「結局、園芸部には入ってないんでしょう?」
「そう。だけど、朧月さんに説明するにはちょうどいいかなって。」
「何が?」
「え。」
「何が私に説明するのに、ちょうどいいの?」
「……まあ、いろいろ、ね。」
というわけで、日の上らないうちに私たちは学校へと向かった。
今は夏休みだし、朝練している部活動の人以外は恐らくいないだろう。
「それじゃあ、中庭に行こうか。」
「うん。」
二週間ぶりの学校、それはそれで何か新鮮だ。
「ここ、だよね。」
先に私が話した。
「そう、ここがこの前、朧月さんとあった場所だ。あの時は、肥料をやったって……。」
彼がかがむ。
鉢の前で。
「ごまかしたけれど。本当はここを見ていた。」
彼が鉢を動かす。
その6号鉢は土が入っていたのか、なかなか動かなかったけれど、ゆっくりとは、動いた。
そこにあるのは雨の時に水がたまらないようにする排水溝、側溝だった、
しかし、青白く光る何かがあった。
「ここ……、見える?」
そういわれ、私もかがんでみた。
光る亀裂、何か、この世のものではないような気がした。
「これは……?」
「この世界の不完全なところさ。そういったところを……。」
彼は右手から何かを出した。
それは優しい暖かさと橙色の光を伴い、その亀裂をふさいだ。
「いまのは……?」
「これが俺のやってること。そして……、その、驚かないでほしいんだが……、おれは……。」
「異世界から来た。」




