第56話 下僕、報酬バグで勇者に昇格する
視界に、またいつもの青白く光る文字が現れた。しかも、今回は長い!
【村の防衛戦に参加:達成度一〇〇%】
【イベント達成】
村の防衛戦を完了しました。
五十四体の魔獣を浄化または退治しました。
災厄級魔獣・キマイラの討伐を完了しました。
魔人を捕縛、騎士団が身柄を確保しました。
「銀の旅団」メンバーに報酬を付与します。
神獣位階が上がる、もしくは新たに付与されます。
新たに“称号”と付随する権能が付与されます。
【報酬】
神獣銀霜猫王・ギン:神獣位階が上がりました
「レジェンド・オブ・ペット(伝説の飼い猫)」の称号を付与します。
スキル「ゴッド・モフモフ(神獣の防護毛皮)」を取得しました。
(物理攻撃無効化・状態異常無効化・精神汚染無効化)
精霊獣カーバンクル・ゲン:神獣位階が付与されます
「スター・ディフェンダー(輝星の額冠)」の称号を付与します。
スキル「キャット・ウォーク・ディメンション(次元跳躍)」を取得しました
(テレポーテーション:瞬間移動能力)
精霊獣フェンリル・ポンタ:神獣位階が付与されます
「カタストロフ・イーター(災厄喰い)」の称号を付与します。
スキル「ステラ・バースト(極星光波)」を取得しました。
(敵を一撃で消滅させる極太のレーザーを放つ)
忍者・カイ
「シャドウマスター」の称号を付与します
(影の棟梁:リーダーとして活躍)
※新たな権能については、別途スキルカタログを参照のこと。
魔法使い・リーネ(中級魔法士)
「ツイン・シンフォニー」の称号を付与します。
(火と氷の魔法を使いこなす)
※新たな権能については、別途スキルカタログを参照のこと。
【連動報酬】
神獣ギンの下僕一:意思疎通レベルが上がりました。
“女神の助言”が付与されました。
この世界の恩寵モデルでは、人の役に立てば立つほど、力が増していく。
そして、その奔流に身を任せれば、もっと役に立つことができる。
考えてみたら、やっぱり恩寵ってすごいシステムだ。
(ん? 最期のオマケみたいな“女神の助言”って、いったい何だ?)
――その瞬間、どこからともなく弾んだ声が響いた。
「そこまで褒めていただけるなんて……」
「な、なんだ?」
突然の出来事に、僕はあたりをキョロキョロと見渡した。
「ふふっ。では、タロウさんには特別報酬です!」
そして次の瞬間、淡い光の文字が刻まれていく。
【報酬】
タロウの職業を『神獣の下僕』から『勇者』へ変更。
勇者レベル1になりました。
思考が止まった。二度見しても、文字は変わらないが意味が分からない。
「…………えっ?」
「えっ⁉」
聞き返すと、また、女性の声が聞こえる。
「えっ?」
首をかしげた気配まで感じる。
「“勇者”になりたかったですよね?」
「いえ……まったく。これっぽっちも」
即答すると、声の主が固まる気配がした。
「…………。」
「ま、まあ! 少しくらい、早くてもいいんじゃないですか!
いずれタロウさんは勇者になる予定でしたし……!」
頭の中に、はっきりと声が直接聞こえている。
「はい?」
「だって、あなた――祝福の魂を持ってるじゃないですか?」
(祝福の魂? こいつは一体何を言ってるんだ?)
あまりに無茶な言葉に、言葉を失う。
(この声の主は、ちょっと気の毒な感じの子なのか……)
そう胸の内で呟いた瞬間――
「いま、ものすっごく失礼なことを考えましたよね?」
頬を膨らませた気配がした。
「ぷんすかですよ!」
心を読まれたことより、抗議の幼さが気になる。
「というか……あなた、いったい誰なんですか?」
すると相手は、待ってましたとばかりに胸を張った――気がした。
「わたしですか? 女神です」
「愛と美の女神アフロディーテ様に仕える侍女の一柱にして――」
「この世界の恩寵の流れを司り、人々に祝福を授ける恩寵の女神、
その名も――カリスちゃんです!」
得意げな声で名乗った。
「ええええっ!?」




