魔蟲戦 その5
メギョッ!
流星掌打が超巨大魔蟲の背中に突き刺さりその猛威を振るう。
パメラの拳から放たれた衝撃は魔蟲の堅い殻の中を無造作に駆け巡りその中身を壊してゆく。
流星掌打はその対象の防御力が高いほど威力が増す技なのだ。
「硬い殻に囲まれている分、中身はもろいな。」
超巨大魔蟲はピクリとも動かない。
殻の中にある筋肉繊維をズタズタにしたのだろう。
しかし、この様な状態になってもまだ生きている。
それが魔蟲たる所以だろうか。
動かない超巨大魔蟲の殻の隙間から剣を差し込み止めを刺す。
昆虫の場合、哺乳類と違い心臓?は腹にある。
脳の位置は頭なのでそこを狙う。
心臓は判り難い上、すぐ死ぬわけではないからだ。
魔蟲に限らず魔物の場合、放置しておくと再生する場合が多い。
したがって、確実に止めを刺す必要があるのだ。
「ちょっと、どう言う訳?」
パメラが詰め寄ってくる。
何故打撃の効果が出たのか知りたいのだろう。
「“魔蟲は広範囲の魔法を打ち消す能力を持っている。”と言うのは判っているよな。」
「ええ、だからエルフも手を焼いているのよ。」
「だけど、櫛型の触覚から魔法を放つことも出来る。」
広範囲の魔法を打ち消す能力があるのに魔法を放てる。
この能力同士は相反する効果を持ち、広範囲の魔法を打ち消すならば魔法を撃った瞬間、打ち消さすことになるはずなのだ。
それに反して魔法を撃つことが出来る。
という事はどちらかが誤っているのだ。
“魔法を撃つ”という事は確定情報である。
という事は“広範囲の魔法を打ち消す”ではなく、“広範囲に魔法を打ち消したように見える”と考えるとどうなるか?
それを確定させたのは、氷盾を唱えた時である。
範囲呪文ならば魔蟲を中心に球形もしくは魔蟲の姿を大きくした形に切り取られる。
しかし、そうならず魔蟲の姿の形に切り取られた。
魔蟲の魔法を打ち消す効果は範囲ではなく、魔蟲自身という事になる。
それ以外、魔蟲の周りには魔法を使用できる。
そして、魔蟲の周りに対して解呪を試みたのだ。
魔蟲は直接接触されない様に空気の盾を自分の周りに張り巡らせていたのだ。
「それにしても大きな蟲ね。」
超巨大魔蟲の解体現場でフレデリカと話す。
「この外殻は素材として使えるのからかなりの量になるね。」
「へぇ。じゃあ、この殻を材料にした鎧とか作ってくれるのかなぁ。」
「多分作ってくれるけど、性能は微妙だなぁ・・・。」
「?」
「強化系や回復系の魔法の恩恵を受けられなくなるからね。」
強化や回復の恩恵が受けることが出来ないと戦闘では不利になる。
単独行動でも、範囲索敵に反応しない。
だが、そこだけ切り抜かれた形になる為、逆に判るだろう。
「・・・そうか、この方法なら魔法の効果を受けない物を探すことが出来る。」




