魔蟲戦 その4
おびただしい数の光の矢が辺り一面を埋め尽くす。
フレデリカを庇いつつ呪文を唱える。
「魔法反射!」
反射された光の矢は正確に超大型魔蟲に帰ってゆくが虹色に輝く外殻に阻まれ打ち消される。
「魔法は撃てるが撃たれないってことか!!」
光の矢は俺達だけでなくその周り全てに発射された。
その結果、生まれたばかりの“キクイオオム”も打ち倒していたが意に介していないようだ。
「パメラ!そちらは無事か?」
「あたしは大丈夫だけど、フレヤちゃんが怪我をしたわ。」
パメラによると何本かの光の矢を受けたらしい。
(今の所、命に別状はないようだ。)
しかし、パメラの浸透頚が通じない所を考えると、表面に弾力性があるのか?
「それならば!」
持っていた六尺棒を逆向きに構える。
六尺棒は尖った石突があり逆向きに構えることで槍のように扱える。
「身体強化!」
「加速!」
「腕力上昇!」
「疾風!」
呪文を矢継ぎ早に唱え、六尺棒を構え超巨大魔蟲に突撃する。
身体強化で強化された体と加速により移動速度が上昇。
速度の上がった体を疾風で後押しし、更に速度を加える。
そしてインパクトの瞬間、上昇した腕力で六尺棒を突き出す。
突き出す速度は音速を越え衝撃波が発生する。
その恐るべき威力の前に、流石の超巨大魔蟲もダメージを受けるかに見えた。
ガキッ!
柔らかいはずの外殻に阻まれる。
六尺棒での突きの手ごたえは固い外殻の様な感触だった。
固い外殻であるならばパメラの浸透頚が効果的なはず。
だが待てよ?
今の突撃は音速を越えた為、衝撃波が発生した。
だがそれに対する影響は何も見当たらない。
以前練習で試した時は槍が命中した地点から放射状に草がなぎ倒された。
だが今の攻撃にその跡は見られない。
いや、命中した地点での跡は見られないが超巨大魔蟲から少し離れた、約1mの地点に存在する。
超巨大魔蟲の周りに何かある。
それは何か?
ある程度の予想はついていた。
そんな時、再び超巨大魔蟲が櫛型の触覚を広げた。
「不味い!フリッカ広範囲の防御呪文を!」
光の矢の呪文を反射呪文で防ことができる上、回復の呪文が使える。
対して、パメラやフレアは回復手段がない。
こちら側は光に矢に対応可能だが、パメラやフレアにはその手段がないのだ。
通常、広範囲呪文は戦闘前に使用する呪文で戦闘中はまず使わない。
使う場合は相手がその呪文の効果を受けても問題の無い場合である。
「氷盾!」
樹氷の様に体の周りを細かい氷が張りつき氷の盾が広範囲に展開される。
ただ、超巨大魔蟲の周囲は魔蟲の形に切り取られた様になっている。
俺は、再び押し寄せる光の矢を魔法反射で弾き返す。
「ふぅ。助かったわ。盾が無ければ危なかったわね。」
とパメラの声が聞こえる。
「パメラ!タイミングを合わせて流星掌打を超巨大魔蟲の天辺に打ち込んでくれ!」
「流星掌打?それは効かないわよ?」
「それはこちらで何とかする!」
「了解!」
「フリッカ!カウントを頼む。カウント10で。」
「はい!カウントします。」
そう答えるとフレデリカはカウントを始めた。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」
カウント1の時点で呪文を唱え始める。
「・・・0」
パメラが飛びあがり流星掌打を打ち込むよりわずかに早く俺の呪文が発動する。
「解呪!」




