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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
冒険編
44/48

魔蟲戦 その3

「何か来るわよ!よけなさい!」

とパメラが叫ぶ。

咄嗟にフレデリカを抱きかかえ、その場から回避する。


ドォォォォン!


轟音と共に子山ほどあるモノが落ちてきた。

前半分は“ニジオオキリムシ”のそれだが、後ろ半分は小山の様に丸く大きい。

亀の胴体に頭の部分がカミキリムシになっている様な生物と言えばわかるだろうか?

そいつが目の前にいる。

所謂、超大型魔蟲と言う奴だ。


亀の様に小山の様な胴体は分厚い虹色の羽で覆われ、その尻尾に当たる部分にある細長い管の様な物が弧の字を描いてこちらを向いている。


その細長い管の途中が大きく膨らんだ。


「シールド!」


嫌な予感がしてシールドを張る。


バフッ!バフッ!バフッ!


細長い管から白っぽく大きな何かが発射される。


発射されたモノがシールドの呪文で弾かれ地面に落ちる。

弾かれたそれは青白く細長い少し弾力性のある物の様だ。

微妙に脈動していて、何やら不気味なものである。


残りのいくつかは後ろにそびえ立つ“エルブンデンドロン”にぶつかったようだ。

その方向を横目で見ると、デンドロンの幹に深く食い込んで穴が開いている。

まともに喰らうと大惨事だった。


「パメラ!そっちは大丈夫か?」

超大型魔蟲によって分断されたパメラに声をかける。


「こっちはなんとか大丈夫よ!」

「こっちも何とか無事だけど、こいつ尻尾から何かを撃ってきたぞ!すごい威力だ!」


威力の高い砲撃の様な物だが、一門しかない様だ。

だが、超大型となると攻撃がそれだけであるはずが無い。


少なくとも目の前に見えている強力な大顎、大人一人の胴体を軽く断ち切れそうだ。

頭から突き出る触角は長く櫛状になっており、櫛一つ一つが虹色をしている。

あの触覚から魔法的な何かを感じる。


超大型を観察していたのは数秒に足らない時間だった。


だが、その数秒の間に後ろで恐るべき事態が起こっていた。


バリバリバリ


木をかみ砕く音と共に、デンドロンの幹に開けられた大穴から“キクイオオム”が姿を現した。


「キクイオオム!そうか!あれは卵か!」


どうやらこいつは“キクイオオム”成虫である“ニジオオキリムシ”の更に成長した物の様だ。

魔物の場合、成長速度が著しく速いという点がある。

周りのマナを吸い取ることもあるが、即活動できなければ生死にかかわることが多いからだという説もある。

当然、卵の状態では活動できない為、環境さえあれば即孵化するのだろう。


見るとシールドに弾かれ地面に落ちた卵も孵化しそうである。


「フリッカ!後ろの“キクイオオム”をたのむ。俺は前の卵を潰す。」


「判ったわ!アイスランス!」

そう返事をすると、フレデリカは青系統魔法でキクイオオムを凍結してゆく。



「ハイパークラッシュ!」


おれは橙系統魔法で石を作り出し、卵をプレスする。


ギシャギシャギシャギシャ!!


超大型がこちらを睨みつけ尻尾をこちらに向ける。


「ま、当然だろうな。」


だがそれも想定の内である。

頭がこちらを向いて背中を見せている相手にパメラが何もしない事は無い。


小山ほどある超大型魔蟲のはるか上からその影が飛来した。


「流星掌打(メテオスマイト)!!」


パメラの体重を乗せた掌打が超大型の背中に命中する。


その一撃で超大型魔蟲はダメージを負うかに思えた。

だが、


「こいつ、掌打が通らない!」


パメラの掌打はいわゆる浸透勁と言われるもので防御力を激減させる。

今回の様な防御力の高い相手には効果的な攻撃方法なのだ。

その攻撃方法が通用しない。


そんな一瞬の隙を超大型魔蟲は見逃さなかった。

櫛型の触角が輝くとそこから無数の光の矢が辺り一面に発射された。


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