魔蟲戦 その2
「規則でそうなっているのだから間違いない。」
そう言って冒険者カードを見せる。
「間違いなくDランクですわね・・・でも・・・」
確かにフレヤの疑問はもっともなことだろう。
実力が“Dランク”相当かと言えば、それよりかなり高いと言える。
(レベルの上限であるLv75に到達しているからなぁ・・・。)
基本的にスキルの上限はLv75である。
ただし、限界突破の条件を満たすことでLv80、Lv90、Lv100と高めることが出来る。
Lv100となれば恐るべき実力となるのだが、その条件は厳しい。
武器系統なら一つもしくは二つなのは当然として、魔法の制限の様な他のスキルに対する制約がある。
Lv100と言うのはその道を究めた者しか到達できない、正に“オンリー・ワン”なのである。
そう言うわけなので、いろいろスキルを使える俺の上限はLv75。
うまく限界突破できたとしてもL85辺りが限度だろう。
「わたしは研究で冒険者カードの更新をしていなかったのよ。」
と言うのはパメラの話。
「私は今年卒業したばかりだし、最初は“Eランク”からって言われていたから・・・。」
フレデリカも俺と同じ様に最初は“Eランク”と言われていたらしい。
で、俺は
「今年、フレデリカの卒業と同時に冒険者登録したのと最近ランクアップしたから・・・。」
「なるほど、今年登録で最近ランクアップした為、Dランクなのですね。」
冒険者のランクアップの基準はギルドに対する貢献度が関係する。
半年間でこなした依頼の数が重要視される。
その為、一度ランクアップすると半年間はランクアップできない。
しばらくは“Dランク”のままなのだ。
「さて、次の“ニジオオキリムシ”を探すか・・・。」
俺はフレヤに声をかけ、次の魔蟲を探す。
「よく注意してください。森は薄暗いので見落とす可能性があります。」
「探索の呪文が使えたらいいのだけど、呪文を打ち消すからね・・・」
「そっか、呪文で見つけることは出来ないんだ。」
フレデリカはパメラの説明にうなずいている。
だが何か引っかかる。
“ニジオオキリムシ”を探索しようにもその対象が呪文を阻害する。
探索呪文は自分を中心に放射状に魔力を飛ばすことにより対象となる相手を探す呪文だ。
その結果はレーダーの様に点(人により色は違う)で脳裏に投影される。
“ニジオオキリムシ”を対象に探索呪文を使った場合、呪文が阻害されレーダーには何も映らないのだ。
対象を絞らずに呪文を使った場合、空気中の目に見えない微小な生物にも反応し、レーダーには大小さまざまな大きさの点で埋め尽くされる。
やはりこの場所でさえ、点で埋め尽くされる。
?
頭のレーダーの何か所かが丸く欠けている・・・。
「ヴィン?」
フレデリカが訊ねる。
何か考え事をしている俺に気を使ったのだろうか?
「いや、探索呪文の一部が欠けているのが・・・」
「?それならその場所を確かめてみたら?」
確かにその通りである。
何らかの原因で呪文の効果の一部が欠けるならば、原因を調べてみるべきだろう。
立ち並ぶ“エルブンデンドロン”の間を注意深く進み、探索呪文の欠けている場所にたどり着く。
そこには討伐対象である“ニジオオキリムシ”がいた。
「そうか!」
“ニジオオキリムシ”は呪文を阻害する。
その阻害の形が探索呪文の欠けに出ていたのだ。
あらゆる生物を探索できる呪文さえ阻害する“ニジオオキリムシ”。
今回それが仇となった。
俺たち四人はわずかな時間で討伐目標数の三体を倒せた。
「この分じゃもっと倒せそうね。」
とパメラ。
三体目の頭から拳を引き抜きつつ話す。
「普段は探すのが大変ですから。この方法は実に助かります。」
「そうね、フレヤ。
もう少し多めに倒した方が旅費も助かるし・・・ヴィン?」
「いや、探索呪文が急に反応が悪くなった。」
そう言った時、そいつは現れた。




