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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
冒険編
40/48

ドワーフ少女(仮)

でも何故、味覚異常になったのだろうか?

取り立てておかしなものを食べていた記憶はない。

学園のサバイバル訓練時に不味いものは食べたが、そのうち慣れた。


ん?


少し気になって、サバイバル訓練時に食べた”干し肉”を見てみる。

通常は火であぶったり煮込んだりして食べるものだが、サバイバル訓練時にはそのまま食べる訓練を行った。

最初は不味かったが、その内慣れた。

冒険者たるものはそう言うものだと教えられもした。


「解析(オシリス)」


干し肉

 5年物、価格 1CS 不味い。

効果

 空腹度-0.5%、味覚にダメージ、味覚異常+10EXP


「おまえかーい!!」


びったーん!


思わず干し肉をたたきつけてしまった。

いけない、いけない。食料を無駄にすればフレデリカが怒る。

一人騒いでいるとその当人が起きてきた。


「ヴィン、おはよう、はやいねぇ。」

「今から用意をす・・・」


ゴゴゴゴゴ


フレデリカさんは材料の残りを見た途端こちらを睨んでいる。

しまった、片付けるのを忘れていた。


「・・・ヴィン。」

「はい。」

「食べ物で実験しちゃダメだって言ったわよね?」

「いやそれは、実験じゃなくて料・・・」

「いいわけしない!」

「はい。」


ぐいッと材料の入ったボールを突き出される。

「きちんと浄化(ピュリファイ)。」

「終わるまで朝食はありません。」


朝食抜きはかなわない。

急いで浄化(ピュリファイ)を唱える。


「浄化した中身はちゃんと土に埋めておいてね。」

「はい!」


ボールの底に昨日食べたパンケーキの材料がまだ少し残っていた。

その材料に魔法を唱える。


物体Xの元

 これを焼くことで物体Xを製作できる。


物体X

 空腹度-10%、朦朧、猛毒、麻痺、幻覚、石化、瀕死、味覚異常+1000EXP


+100EXPということは追加スキル×10の影響で10000EXP。

レベルが恐ろしく上がるわけだ。

しかし、瀕死とか石化とかよく無事だったな・・・。

おかげで無効を得たのだろうが、魔王もいない世の中では役に立ちそうもない。



何とか朝食を食べた後はギルダーの遺跡のある町へ向かって馬車を進める。

このペースだと予定以上かかるかもしれない。

そうしている内に町、アサギリが見えてきた。

今日は宿に泊まることが出来るだろう。


アサギリの門には衛兵が二人立っており出入りの人々を調べている。

その前を小さな女の子が騒いでいる。

少しくせのある赤い髪を後頭部で一つにまとめ上げ白いリボンを結んでいる。

身長は120cmぐらいだが傍らにある荷物も同じぐらいの大きさだ。

するとパメラが

「あれはドワーフね。」


ドワーフの少女(仮)の様だ。


「ちょっと、私(ワタクシ)はシャーウッドの森からやって来たと言っているでしょう。」

「いや、ドワーフは山や鉱山に住む者だろう、森から来るはずが無い。」

「うむ。森にドワーフが住むなんて聞いたことが無い。」


どうやら出身地が森なので怪しまれているみたいだ。

シャーウッドと言えばかなり遠く離れており、この国にはなじみのない名前だ。

町から出ない衛兵や市民にはまず知らない。

俺の場合、爺ちゃんの話で知っている為、ドワーフの少女(仮)のいう事があながち間違いではないと知っている。


シャーウッドの森にはエルフの他、ドワーフが住む。

森に住むドワーフは森ドワーフもしくはグリーンドワーフと言われ、木工細工を得意としている。

仕方がない、これも何かの縁だろう。


「シャーウッドの森にはドワーフが住むと俺の爺さんから聞いたことがあるよ。」

俺は冒険者カードを出しながらそう声をかけた。

「本当か?お前の爺さんてのは・・・ジンネマン?」

「ジンネマンといや冒険者一家のあのジンネマンか!」

「こっちのお嬢ちゃんは・・・ラインフォード!!」


冒険者カードは魔法的に本人と結びついており偽造は出来ない。

(偽造が出来たという報告はない)

それと、アサギリはケレス村から近い町である為ジンネマンの名前は知られている。

その事が俺の言葉に真実味を持たせていた。


「・・・そうなのか、すまなかった、お嬢さん。」

「いいえ判って下さればいいのです。」

外見は目がぱっちりとした小さなかわいらしい女の子にしか見えないのだが、言葉使いや仕草からするとそれなりの年齢であり、いい所のお嬢さんに思える。


「貴方がおかげで無事町に入れました。ありがとうございます。」

ドワーフ少女(仮)は深々とお辞儀をした。

「私はシャーウッドのドワーフ、フレヤ・レンノ。成人の儀式の旅をしています。」

ドワーフは成人の儀式の旅を行わないドワーフを成人として認めない。

成人したドワーフは全て世界を旅しているとも言える。


「そうだわ、町へ入る時のお口添えのお礼にこれに挑戦してみますか?」

「私が作った品物ですが・・・」

といってフレヤは四角い小さな木箱を俺に渡してくれた。

何処にも開け口の見つからない不思議な木箱だ。

振るとカラカラ音がする。


「普段は1回の挑戦に銅貨10枚から銀貨1枚ですが、お礼の明日の朝まで無料で挑戦してよいことにします。」

「箱の中には金貨10枚ほどの価値のあるブローチが入っていますので取り出せたら差し上げます。」

「ただし、箱は壊してはいけません。」

「明日の朝まで開けることができず返却され無い場合、自動的に不運の呪いがかかります。」

「同意されるのであれば、箱の上に手を置き同意すると宣言してください。」


箱を見ると、今フレヤが話したことが青く光る文字になって表されている。

俺は少し考えて

「同意する」

と宣言した。


「それでは私は少し用事があるので、ここで失礼しますね。」

そう言うとフレヤは宿屋街に向かって行った。


俺は木箱を観察しながら

「俺達も宿を取るか?」

「それよりも先に冒険者ギルドでしょう?」

俺たちの旅は過去の賢者の遺跡を訪ねる他に世界を見る目的もある。

その為には冒険者ギルドでクエストを受けるべきなのだ。


俺たちは冒険者ギルドへ向かって歩き出した。


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